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兄と妹

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「来る!」

ドローンからの映像で、魔物の群れがこちらに押し寄せてくるのが見えた。

巨大な黄金竜の上に乗っている黒いドレスの女には見覚えがある。


マリア=フール……。

須藤乱。


「全員配置につけ!絶対に国に入れてはならん!」

プリ殿下が剣を掲げる。



「元気に帰ってきてね。」
騎士団長として戦うカシューさんの唇にキスをする。

「帰ってきたら……。して、いいから…。だから。」


「はい!」


まだ男同士のエッチは怖いけど。



「ローゼス、ハンス、グリーン。それぞれ連携してあたれ。ワイバーンはハンス、蛇の化け物にはグリーン。ケルベロスはローゼスが指揮を!私はあのデカいのをやる!」

「カシュー。無理をするなよ。私はあの女を仕留めよう。」


「みんな……。」

「安全地帯に下がりますよ。邪魔してはいけない。そして、私たちが潰れてはいけない。」
「はい。」


プリ殿下と手の甲をぶつけあって進むカシューさん。

ローゼスさんたちもばらばらに進む。


斎藤さんに声を掛けられて、俺は下がる。

俺に力があったら。
何か役立つ魔法に目覚めていればよかったのに。







「ファイヤーフレイム!サンダーボルトっ!」

プリ殿下の持つ2属性の魔法が広範囲に魔物にダメージを与える。

「ソーン・リストレイント!」
ケルベロスは、ローゼスさんの茨魔法が拘束を。

「ストーン!」
石化魔法を使う蛇の魔物は、グリーンが先に石化。

「ストーム!!!」
空を飛ぶワイバーンは、ハンスの風が煽って地に落とした。


「な、なによぉおおおおおおお!!!!!さりなのくせに生意気よ!!!!!」

「さりなさりな言うな!前世の頃からお前なんか大嫌いだ!今世では他人だ、せいせいするわ!」


「ゴールドドラゴン!!やっておしまい!」

マリアは竜から降りると、プリ殿下の前に来た。


「俺が!一番優秀なんだ!お前は馬鹿だっただろうが!」
男の口調で叫ぶ。

「馬鹿はお前だ!私が引導を渡してやる!」

プリ殿下は合図をして、マリアを他の勢力から離す。



さっとカシューは飛び出して、大地に手をついた。

「我が呼び声に応えよ。出でよ、ゴーレム………。」


ゴゴゴ、と地響きがし、大地からカシューを包むようにゴーレムが生まれる。

今までのゴーレムとは違い、カシューを中に内包した形で、巨大なゴーレムが現れた。



「え?あれって……。」

後方支援者用の天幕の中から、嵐は見た。


あれって…。昔からある有名なアニメに出てくる巨大ロボットじゃない?

そうか。魔法はイメージする力。

得た知識がそのまま魔法の力になるんだ。

ゴーレムを召喚するカシューにとって、ものすごく参考になったのだろう。

でも…あのアニメって………。なんか嫌な予感しかしないんだけど…。



「カシュー、いきます!」

巨大ロボットは、空を飛んで、黄金竜に向かっていく。
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