73 / 90
愚か者は愚かな選択しかしない…
しおりを挟む
就労所の朝は早い。
看守に起こされて、1日の労働が始まる。
「…ん?なんだこりゃ。煤か?」
庭掃除をしていると、何か地面からふつふつと湧き上がる黒いものに、ドリアは思わずそれを手に触れた。
「こら!サボるな!炭鉱に行きたいのか!」
ずっと自分たちを見張ってるなんて、全く暇な奴だと思う。
そんなことするより、ちょっとくらい手伝ってくれてもいいのに。
最近では、マリアの奴は看守に粉をかけているようだが、無視されてる。
ざまあみろ。
歪んでしまった自分の顔が見たくないからいいんだけど、ここに鏡はない。
自分では気づかないかもしれないが、マリアも酷いものだ。
身ぎれいにして化粧をして、ドレスを着ていた時は可愛らしかったものだが、スッピンなだけじゃなく、手入れも行き届かなくなり、すっかり汚らしくなってしまった。
「いやね、こんなところに煤が。掃いてもとれないんですよ。」
「やだわ、綺麗にしてよ。」
「どれ!?」
看守が近づいてくる。
だが、その煤は。
ドリアが触れたときは大人しかったのに、意思を持っているかのように突如鋭い棘のようになって、看守を串刺しにした。
「!!!!」
「きゃああああああ!」
「あわわわわわ」
「なによ、なんなのよぉ」
腰を抜かした私と、動けなくなったマリアはその場で立ちすくむ。
棘はすっと看守の体から抜けると、霧のまま、ゆるりと人型のような影となった。
【お前ら、なかなか面白いな…、お前らのような性根の腐った奴は人間にしておくには勿体ない。】
「ひぃぃいい!貴方様は!!」
【ふふ、私は魔王。魔物の王。妬み、憎悪、欲、恨み……人の負の感情が日々この地に蓄積され、それがやがて私になる。この地にお前らがいたから、早く形になれた。】
「まままま魔王!?」
【お前、私の入れ物になれ。私の入れ物になれば、損なった体の機能も回復するだろう。】
「本当ですか!なります!なります!!」
「私もあなたに従います!どうか、私めをあなたの妻に!」
ひれ伏した二人を魔王は面白そうに眺めた。
【いいだろう。ともに人間を滅ぼそうではないか。】
しゅるしゅると霧が二人の目や鼻や口から入っていく。
「うが…!」
「ぐへっ……!!」
ごごごと全て吸い込まれ、そして、二人の姿は変わった。
「ふはははあ!俺様が魔王だ!人間め、特に俺にこんな仕打ちをした奴ら、苦しめて苦しめて苦しめてやる!」
「いやだぁ~!私、美しくなっちゃったみたい!この世に美しいものは私だけでいいわよね!」
漆黒の衣装を身にまとい、白目は黒く、赤い眼をしている。
「いいぞ、この体!憎しみで溢れている!お前たち、行くぞ!」
パチンと指を弾けば、土壌から霧が浮かび上がり、魔物の大群が現れる。
魔王は、にっくき人間を滅ぼすため、進軍を始めた。
看守に起こされて、1日の労働が始まる。
「…ん?なんだこりゃ。煤か?」
庭掃除をしていると、何か地面からふつふつと湧き上がる黒いものに、ドリアは思わずそれを手に触れた。
「こら!サボるな!炭鉱に行きたいのか!」
ずっと自分たちを見張ってるなんて、全く暇な奴だと思う。
そんなことするより、ちょっとくらい手伝ってくれてもいいのに。
最近では、マリアの奴は看守に粉をかけているようだが、無視されてる。
ざまあみろ。
歪んでしまった自分の顔が見たくないからいいんだけど、ここに鏡はない。
自分では気づかないかもしれないが、マリアも酷いものだ。
身ぎれいにして化粧をして、ドレスを着ていた時は可愛らしかったものだが、スッピンなだけじゃなく、手入れも行き届かなくなり、すっかり汚らしくなってしまった。
「いやね、こんなところに煤が。掃いてもとれないんですよ。」
「やだわ、綺麗にしてよ。」
「どれ!?」
看守が近づいてくる。
だが、その煤は。
ドリアが触れたときは大人しかったのに、意思を持っているかのように突如鋭い棘のようになって、看守を串刺しにした。
「!!!!」
「きゃああああああ!」
「あわわわわわ」
「なによ、なんなのよぉ」
腰を抜かした私と、動けなくなったマリアはその場で立ちすくむ。
棘はすっと看守の体から抜けると、霧のまま、ゆるりと人型のような影となった。
【お前ら、なかなか面白いな…、お前らのような性根の腐った奴は人間にしておくには勿体ない。】
「ひぃぃいい!貴方様は!!」
【ふふ、私は魔王。魔物の王。妬み、憎悪、欲、恨み……人の負の感情が日々この地に蓄積され、それがやがて私になる。この地にお前らがいたから、早く形になれた。】
「まままま魔王!?」
【お前、私の入れ物になれ。私の入れ物になれば、損なった体の機能も回復するだろう。】
「本当ですか!なります!なります!!」
「私もあなたに従います!どうか、私めをあなたの妻に!」
ひれ伏した二人を魔王は面白そうに眺めた。
【いいだろう。ともに人間を滅ぼそうではないか。】
しゅるしゅると霧が二人の目や鼻や口から入っていく。
「うが…!」
「ぐへっ……!!」
ごごごと全て吸い込まれ、そして、二人の姿は変わった。
「ふはははあ!俺様が魔王だ!人間め、特に俺にこんな仕打ちをした奴ら、苦しめて苦しめて苦しめてやる!」
「いやだぁ~!私、美しくなっちゃったみたい!この世に美しいものは私だけでいいわよね!」
漆黒の衣装を身にまとい、白目は黒く、赤い眼をしている。
「いいぞ、この体!憎しみで溢れている!お前たち、行くぞ!」
パチンと指を弾けば、土壌から霧が浮かび上がり、魔物の大群が現れる。
魔王は、にっくき人間を滅ぼすため、進軍を始めた。
35
あなたにおすすめの小説
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!
モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。
その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。
魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。
その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?!
ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。
皆さまありがとうございます。
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
番外編。
リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。
――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。
令嬢に転生したと思ったけどちょっと違った
しそみょうが
BL
前世男子大学生だったが今世では公爵令嬢に転生したアシュリー8歳は、王城の廊下で4歳年下の第2王子イーライに一目惚れされて婚約者になる。なんやかんやで両想いだった2人だが、イーライの留学中にアシュリーに成長期が訪れ立派な青年に成長してしまう。アシュリーが転生したのは女性ではなくカントボーイだったのだ。泣く泣く婚約者を辞するアシュリーは名前を変えて王城の近衛騎士となる。婚約者にフラれて隣国でグレたと噂の殿下が5年ぶりに帰国してーー?
という、婚約者大好き年下王子☓元令嬢のカントボーイ騎士のお話です。前半3話目までは子ども時代で、成長した後半にR18がちょこっとあります♡
短編コメディです
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)
てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。
言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち―――
大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡)
20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる