天涯孤独な天才科学者、憧れの異世界ゲートを開発して騎士団長に溺愛される。

竜鳴躍

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愚か者は愚かな選択しかしない…

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就労所の朝は早い。

看守に起こされて、1日の労働が始まる。



「…ん?なんだこりゃ。煤か?」

庭掃除をしていると、何か地面からふつふつと湧き上がる黒いものに、ドリアは思わずそれを手に触れた。



「こら!サボるな!炭鉱に行きたいのか!」


ずっと自分たちを見張ってるなんて、全く暇な奴だと思う。
そんなことするより、ちょっとくらい手伝ってくれてもいいのに。


最近では、マリアの奴は看守に粉をかけているようだが、無視されてる。
ざまあみろ。


歪んでしまった自分の顔が見たくないからいいんだけど、ここに鏡はない。

自分では気づかないかもしれないが、マリアも酷いものだ。

身ぎれいにして化粧をして、ドレスを着ていた時は可愛らしかったものだが、スッピンなだけじゃなく、手入れも行き届かなくなり、すっかり汚らしくなってしまった。



「いやね、こんなところに煤が。掃いてもとれないんですよ。」

「やだわ、綺麗にしてよ。」


「どれ!?」

看守が近づいてくる。


だが、その煤は。

ドリアが触れたときは大人しかったのに、意思を持っているかのように突如鋭い棘のようになって、看守を串刺しにした。

「!!!!」


「きゃああああああ!」




「あわわわわわ」
「なによ、なんなのよぉ」

腰を抜かした私と、動けなくなったマリアはその場で立ちすくむ。



棘はすっと看守の体から抜けると、霧のまま、ゆるりと人型のような影となった。


【お前ら、なかなか面白いな…、お前らのような性根の腐った奴は人間にしておくには勿体ない。】


「ひぃぃいい!貴方様は!!」



【ふふ、私は魔王。魔物の王。妬み、憎悪、欲、恨み……人の負の感情が日々この地に蓄積され、それがやがて私になる。この地にお前らがいたから、早く形になれた。】

「まままま魔王!?」



【お前、私の入れ物になれ。私の入れ物になれば、損なった体の機能も回復するだろう。】


「本当ですか!なります!なります!!」

「私もあなたに従います!どうか、私めをあなたの妻に!」

ひれ伏した二人を魔王は面白そうに眺めた。


【いいだろう。ともに人間を滅ぼそうではないか。】




しゅるしゅると霧が二人の目や鼻や口から入っていく。

「うが…!」

「ぐへっ……!!」


ごごごと全て吸い込まれ、そして、二人の姿は変わった。




「ふはははあ!俺様が魔王だ!人間め、特に俺にこんな仕打ちをした奴ら、苦しめて苦しめて苦しめてやる!」

「いやだぁ~!私、美しくなっちゃったみたい!この世に美しいものは私だけでいいわよね!」

漆黒の衣装を身にまとい、白目は黒く、赤い眼をしている。


「いいぞ、この体!憎しみで溢れている!お前たち、行くぞ!」

パチンと指を弾けば、土壌から霧が浮かび上がり、魔物の大群が現れる。



魔王は、にっくき人間を滅ぼすため、進軍を始めた。
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