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これからのこと

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「なるほど、それじゃあ斎藤君にお願いしてみようか。だけどなぁ。斎藤君だけ向こうに連れてっても、それで済むかなぁ。医療の世界には、様々な職種があるし専門分野もある。本当にこちらの医学を向こうに持ち込むのならば、斎藤君だけでは足りないだろう。医療機器や薬はどうにか作れるとしても。」

「しかし、次元渡りのことはなるべく信用できる者たちだけで秘匿にしたいのだよ。」


「どちらかといえば、文明が違いすぎるからこちらの世界では絶対に秘匿にした方がいいが、医学を急速にこちらレベルにするためなら、そちらでは限定的に開示してもいいのではないか?」


「と、いうと?」


お父様とたっきゅん―――――塚本巧、塚本玲の父が話をしている。

そうなのだ。

医療が遅れているのは事実で、今回、カシューさんを連れてこの世界に来たけど、カシューさんや自分の周りの人だけ助ければいいかっていうと、それは違うと思う。

いつかは、向こうでも同じ治療が受けられるようにしなければならない。



「最初は斎藤君を向こうに連れてって、医療の知識を叩き込む。ある程度のレベルになって、斎藤君が認めたら、その時はこちらの世界に留学させた方がいい。他国の医療が遅れている地域の医師だということでうちの病院で受け入れて、研修させよう。看護師やレントゲン技師、いろいろ必要だろう?そして、こちらで研修した者が、向こうで普及させたらいいんじゃないかな?」

「じゃあ次元渡りのルールを作ろう。私も時々はこちらに戻って来たいし。たっきゅんたちにお世話になって申し訳ないが、代々の墓参りにも元気なうちは行きたい。たっきゅんとも会いたいし。」

「いやぁ。こっちはむしろ嵐君の研究を引き継がせてもらったし、気にしなくていいんだよ。よかったら私もそちらに行ってみたいなぁ。」





「………たまには、こちらに来れそうだな。」
塚本君がほほ笑む。

「そうだね。しばらくはこちらにいるけど…。」

「もっと、嵐と一緒にいたかったんだ。学生時代も遊びに行きたかった。ファンタジーの世界に憧れていたものな。
向こうは楽しい?」


「うん!楽しいよ。弟もいるんだ。向こうで生まれて…。俺はまだ魔法は使えないけど、弟が使えているんだからきっと使えると思うんだ。魔法、練習してるんだよ。」

「そっか。」


「ずいぶん仲がいいんだな。」

ナイフとフォークで綺麗に食事をしていたカシューさんは、なんだろう、ちょっと不機嫌?
やっぱり知らない世界ってストレスだよね。ごめんね。


「幼馴染なんですよ。」

「そうなんですか。」(絶対コイツ、ランのこと好きだろう!)





「あらあら、恋の三角関係かしらね。そういえば、エレナ。こちらにいる間にうちの行きつけのエステに行かない?あなたもよく知っている人がオーナーよ。」

「もしかして、亜里沙さんかしら!元パリコレモデルの。義姉妹で仲が良かったのよ!」

「そう。あの方が自分の夫の罪を暴露したのがきっかけで、嵐君に対する仕打ちが明るみになったの。さりなさんも、顧問弁護士を通じて色々手を打っていてくれて。いい子よね。真面目だし、頭も悪くない。あれの娘には思えないわ。」

「そうなのね。ぜひ行くわ。」




こうして夜は更けていく。
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