上 下
59 / 90

カルチャーショックのカシューさん

しおりを挟む
「わ、ぁあわ。街の中に、陸に星が!! こんな小さな鉄の箱がはしっ。石炭もない、煙突もないのに!」

「そうねぇ。向こうはちょっと違いすぎて、蒸気機関車と蒸気船までしか作れてないものね。」

「俺が整備した電気があるでしょ?あれが各家庭に行き届くと、こんなふうになるの。」


「灯りが強い……。しかも色とりどりの灯りが。あの派手な灯りはなんですか?」


「あれは歓楽街だね。カシュー君は近づいたらいけないよ。」

「そうね。きっとカモにされるわね。」


「カモ?大丈夫ですよ。私は騎士団長ですよ。病かもしれないとはいえ、一般人に遅れをとるような男ではありませんから!」

「この世界で武器を振り回したら、それだけで犯罪者だから気を付けてくださいね。」


「なんと。武器がなくてどうやって身を守るのですか。」


「うーん、向こうよりは治安がいいから、かなぁ?」




ふふっ。カシューさんかわいいなあ。


なるほど、向こうでの僕はこんな感じだったんだなあ。




「それでは、すぐに旦那様たちもお見えになるということなので。」

「ありがとう。」

運転手に礼を言い、須藤家の敷地に入る。



久しぶり。


まだそんなに経っていないのに、何年も帰ってきてないみたい。



「いらっしゃいませ。おかえりなさい、旦那様、奥様、お坊ちゃま。」

従業員は、かつてこの屋敷を管理していた使用人の人たち。


解雇になっていた彼らを、塚本家は再雇用してくれていた。



「ただいま。」


あの頃に戻った気分。今度は、シュトロームも連れてきたい。

というか、両親はこれから時々こっちにくる気がする。



緊張した面持ちのカシューさんの大きくてざらざらした手。
指に指を絡めて、俺は、屋敷の中に入った。




明日は、検査か。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子!今日こそ貴方様から逃げさせていただきます!

krm
BL
ランヴェルセ王子の幼馴染であり世話係でもある僕、ルセットには悩みがある。 それは、王子が僕のことを好き過ぎるということ。僕はただの従者なのに、彼はまるで恋人に接するかのように接してくるのだ。度が過ぎるスキンシップに耐えられなくなった僕は――。 俺様王子×天然従者のすれ違いラブコメディ!ハッピーエンドです。 *はR18です。 ムーンライトノベルズにも投稿しています。

最高の魔術師は平凡な容姿で騎士を志す 【BL】

高牧 まき
BL
ジェフリー・レブルはオメガにして最高の魔法使い。次期王妃とうわされている魔法宮長官だ。 しかしある日のこと、辞表を残してジェフリー・レブルは忽然と姿を消した。 そして同じころ、ジェフ・アドルという名の青年(姿を変えたジェフリー)が、騎士見習いとして騎士団の任命書を受け取った。 そんなジェフリーの騎士団員独身寮の同室は、よりにもよってアルファの同期、リチャード・ブレスコットだった。

召喚聖女が十歳だったので、古株の男聖女はまだ陛下の閨に呼ばれるようです

月歌(ツキウタ)
BL
十代半ばで異世界に聖女召喚されたセツ(♂)。聖女として陛下の閨の相手を務めながら、信頼を得て親友の立場を得たセツ。三十代になり寝所に呼ばれることも減ったセツは、自由気ままに異世界ライフを堪能していた。 なのだけれど、陛下は新たに聖女召喚を行ったらしい。もしかして、俺って陛下に捨てられるのかな? ★表紙絵はAIピカソで作成しました。

お嬢様の身代わり役

325号室の住人
BL
僕はいわゆる転生者のイード。 こうして日本で生きた前世の記憶を持っているのだもの。何かの話の登場人物なのかな?と思った時期もあったが、容姿から攻略対象者にはなれない、男爵令息…いや、貧乏男爵んちの子なので王都に行く用事もないし夜会にも招待されない、って言うか着てく服もなければその費用も材料も被服スキルもない。 そんな僕の18歳の誕生日、とうとう家が爵位を失って平民になり、僕はとある公爵家で使用人として住み込みで働くことになった。 仕事は当主一家の居住フロアのベッドメイキングだ。 1人で仕事をする初日のこと。僕は見てはいけないものを見てしまって…… ☆完結済み 長くなったので、短編→長編変更しました(12/14)

【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。

天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。 しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。 しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。 【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話

騎士団長である侯爵令息は年下の公爵令息に辺境の地で溺愛される

Matcha45
BL
第5王子の求婚を断ってしまった私は、密命という名の左遷で辺境の地へと飛ばされてしまう。部下のユリウスだけが、私についてきてくれるが、一緒にいるうちに何だか甘い雰囲気になって来て?! ※にはR-18の内容が含まれています。 ※この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

【完結】婚約破棄をされた魔法使いは王子に溺愛されるようです

七咲陸
BL
「ニーア、本当にごめん」 「…うん。 仕方ないよ、こればっかりは」 そう言って、婚約までした男を許した。 これで僕の恋は終わり。 だと思ったのに。 「私の妻になって欲しい。一生大切にするよ。子供も3人は欲しいかな。なんならすぐに孕んでも良いくらい。既成事実が先でも構わないと思ってるんだ」 と、別の人物に、にっこりと麗しい微笑みで言われるなんて思ってもなかった。 □溺愛執着王子×庶民魔法使い □魔法を使ってるとこはほぼありません □オリジナル設定です □妊娠表現あります □R18は※で注意を促します。自己責任でお願いします □ざまぁ展開はあまりないです。

クマ族最強の騎士は皇太子に抱かれるお仕事をしています。

セイヂ・カグラ
BL
旧題:王子の剣術担当→閨担当?! 最強の騎士と呼ばれたクマ族ボロルフ。戦争が終わり平和が訪れた国で彼は、王家兎族のレオンハルト皇太子の剣術担当とし王宮で働いていた。穏やかで優しいレオンハルトは、いつも皆に優しく微笑みかける。けれど、ボロルフには一度も笑いかけてくれたことがない。きっと嫌われてしまっているのだと悩む、そんな最中、何故かレオンハルトの閨相手としてボロルフが選ばれてしまう。それもレオンハルト直々の命だと聞いてボロルフは混乱する。 【両片想い】 兎族の王子×クマ族の騎士 【攻め】レオンハルト・バニー:兎族の皇太子、白い髪、立ち耳、176㌢、穏やか、細身、魔法が使える。ヤンデレ、執着気質。 【受け】ボロルフ・ベアルド:クマ族、最強の騎士、焦げ茶髪、丸く短い耳、198㌢、仏頂面、男らしい、ガタイ良し。他人にも自分にも鈍感。

処理中です...