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カシューさんの体はあちこち傷があって、ふくらはぎの裏に痣があったけれど、これが異常のあるものかどうかが不明だった。

もし、病気だとしたら。

この世界では治すことができない。


俺が持って来た機械では、薬を作ることはできるけど、どの薬を処方してよいか治療法を判別するための検査ができない。


幸い、病気だとしてもまだ無症状で、息切れとかもない。

両親と再会して、相談したい。



場合によっては―――――――――。




殿下に報告すると、暫くカシューは君たちにつけてゆっくりしてもらうことにするよ。と言ってくださった。


「えい!やあ!」


騎士団の訓練場を背景に屋敷の庭では、シュトロームの剣が空気を切る音と、掛け声が響く。



海から戻って、毎日シュトロームはカシューさんから剣を習っている。

ひ弱だった腕が、少しずつしなやかな筋肉を纏うようになっていく。


「いいぞ。ドリアをぶちのめせ!」

「はい!」


なんだか親子みたい。

いいな。




カシューさんの家系に白血病の人がいないか、殿下は調べてくださっていた。

結果は分からないけど、5代前の当主で騎士団団長を務めた方が、戦場で失血死していた。
単に致命傷を負ったのか、それとも血が止まらなかったのかは分からないそうだ。



俺の中では覚悟している。

それは、殿下からも注意を受けたところだけど。

一度、あの世界に戻らないといけない。


足りないものを持ってこなければ。

でも。

それ以前に…。



連れて行かなければならない。

カシューさんを、異世界へ。

何故なら、機材だけ持ってきても、検査ができる専門の人材が、この世界にはまだいないから。




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