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愚かな兄のせいでシュトロームがいなくなった
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「グラタン。おおグラタンや。怒らないで聞いておくれ。」
父親のパスタ=ボーノ=チーズ陛下に呼び出され、グラタンは笑顔を貼り付けた。
父親の隣にいる自分そっくりの母親―カルボナーラ王妃も自分と同じような笑顔を貼り付けている。
「マリーナ王国にドリアのバカがバレちゃった…。」
「それで?婚約破棄にでもなるんですか?こちら有責で。」
「ソダネ…。」
「なんでこないだの時点で自分からすぐに報告&謝罪をしないんですか!この無能!さっさと私に冠をよこしてくれませんかね!!!?負の遺産をこれ以上作る前に!!!!!」
「ひぃい!笑顔で怒らないで!怖い!ママにそっくり!!」
「だ・か・ら・王太子はグラタンにすべきだって私は申し上げたでしょう!?あなたが王位争いを避けるためにも長男が継ぐってした方がいいからってごねるから!」
「だってこれほどのバカだとは思わなかったんだもの!」
はぁ~~~。
グラタンは右手を額にあて、左手は腰に、嘆く。
自分はシュトロームが好きだ。
自分は共同プロジェクトの現場責任者として、仕事を通じてではあるが、公爵家とも向こうの王家とも良好な関係を築いている。
だから、こちらから兄の悪事を報告し謝罪の上、自分が兄に代わってシュトロームの婚約者になるつもりだった。
こちらが報告するより先に向こうが調べて気づいたということは、かなり心証が悪い。
「父上。」
「ひゃい!」
「一刻も早く!謝罪を!!!こちらも丁度調査して報告するところだったというのです!そして誠意を!関税を下げ、プロジェクトの取り分を5:5から6:3にしてください!あとそうですね。あのバカは国益を損ねたのですから、子どもが出来ないように処置をして平民落ちさせ、北の就労所で牛の世話係にしてください!そんなにおっぱいが好きなら、好きなだけおっぱいと暮らさせてあげましょう。」
「えっ。」
「甘い!向こうの王族に暴力まで振るってるんですよ?そのくらい誠意を見せなければ我が国に未来はないと思いなさい!なんならもっと重い罰を与えてもいいくらいだと個人的には思っているんですが?」
「立派ですよ、グラタン。」
ドリアの知らないところで、廃嫡の手続きは進み、パスタ陛下は退位し、グラタン王が即位する。
後見人は王妃であるカルボナーラ。
元公爵令嬢で宰相の娘、王国始まって以来の才女と名高い王妃だ。
陛下の退位とドリアの廃嫡等、様々な手土産を持ってグラタンは即座にマリーナ王国に出向き、自ら謝罪した。
その真摯な姿にマリーナ王国は感心し、この後のドリアの処遇について話し合われることとなる。
「……それで、エレナ様。シュトローム様は……?愚かなアレのせいで、傷つけてしまって…。私はシュトローム様を愛している。もはや信用はないかもしれませんが、もしよかったら、私の妻になっていただきたいのです。」
「丁度来月の夏の祝宴に、私たちの長男がセチア王国から来ることになっているので、それまでセチア王国に預けましたの。こちらにいれば、辛いことも多いですし。兄の嵐やセチア王国の王族の方とこちらへ戻る予定ですわ。」
えっ。
セチア王国と言えば、美形で有能な王太子のプリ殿下がいるところじゃないか。
しかもまだ未婚!!婚約者もいない…!
くそっ……!あのバカのせいで…!
もしシュトロームが見初められたら!
腹の中でどろどろ渦巻かせながら、グラタン王は笑顔を貼り付ける。
「………ところでうちのバカはどうやって断罪してやりましょうかね…。」
「聞くところによるとこちらのバカ男爵令嬢と一緒になっているようですな。うちも処罰を考えておりましてね?」
「馬鹿男爵令嬢のところの男爵は病気で療養中よ。親のいない隙に好き放題しているのよ。お兄様、男爵への罰は軽くして差し上げて?どうやら娘の躾がうまくいかない心労がたたってのようだから…。」
すぐに処罰することはできるが、皆の前で辱められ、苛められたシュトロームの仇。
思う存分、辱めて断罪してやりたい。
父親のパスタ=ボーノ=チーズ陛下に呼び出され、グラタンは笑顔を貼り付けた。
父親の隣にいる自分そっくりの母親―カルボナーラ王妃も自分と同じような笑顔を貼り付けている。
「マリーナ王国にドリアのバカがバレちゃった…。」
「それで?婚約破棄にでもなるんですか?こちら有責で。」
「ソダネ…。」
「なんでこないだの時点で自分からすぐに報告&謝罪をしないんですか!この無能!さっさと私に冠をよこしてくれませんかね!!!?負の遺産をこれ以上作る前に!!!!!」
「ひぃい!笑顔で怒らないで!怖い!ママにそっくり!!」
「だ・か・ら・王太子はグラタンにすべきだって私は申し上げたでしょう!?あなたが王位争いを避けるためにも長男が継ぐってした方がいいからってごねるから!」
「だってこれほどのバカだとは思わなかったんだもの!」
はぁ~~~。
グラタンは右手を額にあて、左手は腰に、嘆く。
自分はシュトロームが好きだ。
自分は共同プロジェクトの現場責任者として、仕事を通じてではあるが、公爵家とも向こうの王家とも良好な関係を築いている。
だから、こちらから兄の悪事を報告し謝罪の上、自分が兄に代わってシュトロームの婚約者になるつもりだった。
こちらが報告するより先に向こうが調べて気づいたということは、かなり心証が悪い。
「父上。」
「ひゃい!」
「一刻も早く!謝罪を!!!こちらも丁度調査して報告するところだったというのです!そして誠意を!関税を下げ、プロジェクトの取り分を5:5から6:3にしてください!あとそうですね。あのバカは国益を損ねたのですから、子どもが出来ないように処置をして平民落ちさせ、北の就労所で牛の世話係にしてください!そんなにおっぱいが好きなら、好きなだけおっぱいと暮らさせてあげましょう。」
「えっ。」
「甘い!向こうの王族に暴力まで振るってるんですよ?そのくらい誠意を見せなければ我が国に未来はないと思いなさい!なんならもっと重い罰を与えてもいいくらいだと個人的には思っているんですが?」
「立派ですよ、グラタン。」
ドリアの知らないところで、廃嫡の手続きは進み、パスタ陛下は退位し、グラタン王が即位する。
後見人は王妃であるカルボナーラ。
元公爵令嬢で宰相の娘、王国始まって以来の才女と名高い王妃だ。
陛下の退位とドリアの廃嫡等、様々な手土産を持ってグラタンは即座にマリーナ王国に出向き、自ら謝罪した。
その真摯な姿にマリーナ王国は感心し、この後のドリアの処遇について話し合われることとなる。
「……それで、エレナ様。シュトローム様は……?愚かなアレのせいで、傷つけてしまって…。私はシュトローム様を愛している。もはや信用はないかもしれませんが、もしよかったら、私の妻になっていただきたいのです。」
「丁度来月の夏の祝宴に、私たちの長男がセチア王国から来ることになっているので、それまでセチア王国に預けましたの。こちらにいれば、辛いことも多いですし。兄の嵐やセチア王国の王族の方とこちらへ戻る予定ですわ。」
えっ。
セチア王国と言えば、美形で有能な王太子のプリ殿下がいるところじゃないか。
しかもまだ未婚!!婚約者もいない…!
くそっ……!あのバカのせいで…!
もしシュトロームが見初められたら!
腹の中でどろどろ渦巻かせながら、グラタン王は笑顔を貼り付ける。
「………ところでうちのバカはどうやって断罪してやりましょうかね…。」
「聞くところによるとこちらのバカ男爵令嬢と一緒になっているようですな。うちも処罰を考えておりましてね?」
「馬鹿男爵令嬢のところの男爵は病気で療養中よ。親のいない隙に好き放題しているのよ。お兄様、男爵への罰は軽くして差し上げて?どうやら娘の躾がうまくいかない心労がたたってのようだから…。」
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