天涯孤独な天才科学者、憧れの異世界ゲートを開発して騎士団長に溺愛される。

進展しない

「進展しない……………。」


騎士団ではナッツ団長が頭を抱える。

休憩時間の度に頭を抱えたり前髪を弄たりする姿が日常茶飯事になっている。


春の花の季節は過ぎ、緑が青々と色づきを濃くし、日差しが強く、暑い日も増えて。

もうすぐ夏。


来月にはマリーナ王国に彼は向かう。


そのまま向こうに定住したらどうしよう！

プリにもガツンと言われた。

『王族なんだから、向こうがひきとめる可能性はあるし、縁談だってあるはずだよ。しっかりしな？』


「団長、マリーナ王国へはプリ殿下も行くんですよね？シュドーのエスコート兼護衛で行くしかないでしょ！」

「ボディタッチとかキスとかくらいしないと！」

「シュドーにお尻なら触られたぞ！」


「団長が触りなさいよ！」

「あの人鈍いから！まず自分は草臥れたおっさんだと思い込んでるから！多少押したくらいで丁度良いよ！」

ローゼスたちにガツンと言われる。





「ナッツさーん！みんなー！」



シュドーが窓から手を振る。


「カレー作りすぎたから、よろしかったらどうぞ～！」



行く！


犬が尻尾を振るように、ナッツが走るのを見て、3人は首をすくめるのだ。