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婚約破棄の算段

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「ねえ~、ドリアでんかあ。いつになったら私を婚約者にしていただけるんですかあ?あの人とまだ婚約者じゃないですかあ。」

甘ったるい声でしな垂れかかり、潤んだ瞳で上目遣いをする。

ドリアは鼻の下を伸ばし、マリアを見た。

豊かな胸の谷間は柔らかそうだ。


「王族の婚約はややこしいんだ。あいつが不適格ならいいんだが。あいつ、勉強できるし。素行も悪くないからな。」



「ねえ、それならあいつを悪役に仕立てたらどうかしら。」

「ん~?今更それは無理だろう?どちらかといえばこちらが…。」


「えー。じゃあどんなだったら殿下のお嫁さんにはなれないわけ?」


「王族だけは相手に処女性を求める。だから、私たちだって最後まではしてないだろう?あいつがどっかの誰かとくっついてしまえば話は早いんだ。」

「ふーん、そういうわけね。」


マリアは首を傾げる。


「本当はどうであれ、噂でもいいからなってくれたらいいんだがな~。」

「噂でいいんですよね。最近、公爵家に知らない馬車がよく止まってるって聞きますわ。お相手が会いに来てるってことにしましょうよ!」


「え~それ、うちの弟じゃないの?」

弟は共同プロジェクトを代表しているから、よく城や公爵家に出向いているようだ。



「それが…。家紋のない馬車なんですよ。」


「マリア、情報通だなぁ。」

「だってぇ。何か私たちにとって都合がいい情報はないかしらって。」


「なるほど、噂にできるか。」



ふふふ、と2人はほくそ笑んだ。




その馬車はセチア王国からの遣いなのだが。
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