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夜着

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新しい洋服がたくさん届いた。

代わりに防刃服をプレゼントしたら、真顔で他の団員にも作って欲しいって言われた。

お金がいっぱいもらえることになった。ラッキー。
プリ殿下が払ってくれるそうだ。


そのうちこの世界の上下水道や電気事情も整備したい。

魔法で大体何とかなるっていっても、魔力がない人や少ない人は困るわけだし。


あとはやっぱり医療問題。


魔法で何とかなっちゃうせいで、薬学についての研究が進んでいないって思う。

俺は知識はあるけど、向こうの世界で作ってた薬がこの世界の素材で作れるかどうかはわからない。
屋敷に移した機材を全て正常に動かせるようにするためには、ちょっと時間がかかるし。

機器の整備をしつつ、こちらの素材も分析したいな。


手始めは薬草を手に入れてやってみよう。




「やっぱりこの世界は中世っぽいなぁ。男でもふりふりやレースのついたシャツを着るんだなあ。作業着は飾りの内シャツとスラックスか。これに白衣を着ればいいか。」


もらった服をベッドやソファに並べ、確認する。

下着や靴下、靴やアクセサリーまで本当に一式もらってしまった。


ちらりと下着や夜着を見る。


「…………これを俺が着るのかぁ。なんか恥ずかしいな。こっちの世界はみんなこんななんだなー。まあ、日本も昔はふんどしだしな。」

いわゆるTバック。

腰のところで紐で結ぶやつ。

俺のだから入るけど、こっちの人って大きそうだけど零れないのだろうか。

棒を包み込む部分の面積も小さい気がする。


ナッツさんもみんな履いてるのかな。
ローゼスさんなら似合いそうだけど、なんか変なの。

夜着も兎の耳がついてる着ぐるみパジャマや、夏に着たら涼しそうな透け感のある服。

どことなくエッチ。


「郷に入りては郷に従え。ま、いっか。誰に見せるものでもなし。」







「ふふふ。可愛い私の弟よ。お兄ちゃんはいい仕事をしたぞ?」

「なんですか。お兄様。気持ちが悪い。」

ナッツ家のだんらん。

父の現侯爵であるヘーゼル=ナッツは妻であるリリー=ン=セチアとほほ笑みあう。
ヘーゼル色の髪に青い目の美丈夫とプラチナブロンドに翠の目の美女は仲良し夫婦だ。


「あなた。嬉しいですわね。やっとカシューにいい人が出来て。貴方たちの世代は妻を独占しようと思えばできるのですから、いい結婚をしないとね。私たちみたいな通い婚ではないのだから、合わないと喧嘩しちゃうわ。」

両親の世代は貴重な女性を複数の夫で共有しているため、女性は結婚しても生家にいて、夫たちの家を行き来している。
妊娠時の相手を特定する目的から1か月通ったら1か月はどちらにも通わず、次は別の相手のところへ通う。
お互いの粗が見えないため、いつまでも恋人気分ではいられるのだが、愛し合っている仲では物足りないものがあった。

「近いうちに連れてきなさい。」

ヘーゼルはニコニコ微笑む。

「あなた、いい仕事って何をなさったの?」

マカデミアの隣のすみれ色の髪と目の美女は小柄で愛らしい。
赤子のいる膨れた腹に沿う腕が一際細く見える。
垂れ目がちの目をくりくりさせて、彼女は話を戻した。


「カシューの相手に渡す下着と夜着をとびきりセクシーなやつにしたんだよ。」

「あらまあ、旦那さまのえっち!」

「何を送ったか後でカタログで教えてあげるから、夜のおかずにすればいいよ。」

「お兄様!」

「ははは、早く結婚したまえ。」

「うちの子に従兄弟が出来るといいですわね。」


全く。お兄様ときたら。



カシューはその晩、おかずには困らなかった。


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