天涯孤独な天才科学者、憧れの異世界ゲートを開発して騎士団長に溺愛される。

竜鳴躍

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胸がドキドキするのはきっとびっくりしてるから

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「あ、あわわわわ…。」

ナッツさんが挙動不審だ。


「ナッツ団長。騎士団長。よかったですね。年上ですけど、結婚できますよ。」


けっこん???年上?



「えっ。団長さん俺より年下だったんですか!?」


「団長は27歳ですよ。僕は25歳で、ハンスも25歳。グリーンは20歳です。ちなみに陛下は43歳です。」


へぇ。団長さんは俺くらいかなと思ってた。
陛下も50台かと思ったし、やっぱり環境か人の造りが違うのかな。

みんなが老けているのではなく、俺が若いのだろう。



「シュドー様っ…。」

ナッツさんが俺に向かって片方の膝をつき、潤んだ瞳で右手をとった。

「はい、なんでしょう…。」


まさか?まさかね…。

でもさっき結婚って言ってたし。

もしかして、俺が異世界人だから誰か監視を兼ねた保護者が必要なんだろうか。



「年甲斐もなく一目ぼれをしてしまいました。私がお守りいたします!どうか私の妻に「ごめんなさい」」


こんなカッコいい人を俺の夫にするなんて気が引ける。

どきどきするのは、きっとびっくりしてるからだと思う。

だって俺は同性となんて考えたこともない。



高校1年の時、両親がなくなるまではそれなりに同級生と仲良くやっていたと思うけど、文学青年でいわゆるオタクだった俺は、そういえば思春期とか青春とか恋とかの記憶がない。

両親がなくなってからは、叔父家族の奴隷みたいなものだったし。


あっ。そっか。俺って恋愛感情がないんだわ。



「こんなおじさんを妻になんて罰ゲーム、あなたが受ける必要ないですよ。陛下、大人しく王都に引っ越しをします。ただ、その代わり私は科学者で家に色んな機材があるので、それを運ばせてください。だから、引っ越しには時間がかかってしまいますが…。きちんと目の届くところにおりますので、ご安心ください。」



ニッコリほほ笑むと、あちこちから深いため息が聞こえた。



何故。






「プっ。ふっ。ふふっ。」


ん?どこからか声がする。



振り返れば、真っ赤な髪のこれまた美男子が。



「殿下!」

ナッツさんたちが礼をとったので、俺も習う。

殿下、ってことはこの国の王子様かな。



「ふふ、貴方は面白い人ですね。これほど素敵な方が32歳だなんて、もしかして向こうには家族は?」


「おりません。私は天涯孤独です。」


「恋人も?」


「いたことなどありませんよ。」


「ふむ、純潔か。」



その瞬間、ナッツさんの顔が青くなった。



「ナッツが嫌なら、私の妃になるのはどうだい?」



えー。この世界の人は目が腐ってるのかな。

俺は男の妻になって自分の肛門を魔改造する気はないんだけど。



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