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【地球】消えた離れと天才科学者
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テレビの取材を受け、内々に薬の販売契約も取り付け、ほくほくして須藤一家は屋敷に戻り、離れに向かって絶句した。
利益をあげるために会社の研究部門には実は職員はいない。
兄が経営していた時代はいたが、嵐が思った以上に優秀で、どんな無茶な指示でも命ずれば納期までには新商品や新技術を開発して来たので、嵐が使えるようになってすぐに解雇した。
嵐は家族だから給料を払わなくていいし、人件費が浮く分利益率が上がってウハウハだ。
だから離れにこそ、会社の全てがあった。
それが――――――
「な、ななっ!」
「なんでっ!?研究に失敗して建物ごと吹っ飛んだとか?」
「嘘!何それウケる」
離れがない。
爆発したわけではない。
なぜなら周りの木や塀に損傷も無ければ、焦げ跡もない。
初めから離れなどなかったかのように。
その跡地には雑草まで生えている。
「あいつは!嵐はどこに行ったんだ!」
使用人たちに聞いてみても分からないという。
妻に聞いてみても………。
妻はエステの後ショッピングをしてきたらしく、部屋で衣装をしまっている。
「あいつは!あいつはどこに!」
「知らないわ。何を慌てているのよ。」
「あいつがいなくなった。離れもどういうわけか無くなってるんだ!研究資料も!全部あそこにあるのに!」
「何をおっしゃっているのかしら。会社には研究部門がおありでしょ?何故それほど慌ててらっしゃるの?あの子がいなくなったのなら、貴方から自由になれたということだわ。あの子ほど優秀なら、生活に困ることはないでしょう。会社がとった特許も全部あの子のもので、うちの子は偽物でしょう?」
「お前は何を………。」
いつも無口な妻だったのに、違和感を覚える。
いつの間にか妻のマネージャーが来ていた。
ラガーマンあがりの屈強な男。
「私はトロフィーワイフとして自由にさせていただけましたけど、家の中のことに口出しできなかった。あの子を助けたかったけどできなかった。だって、目の前であの子があなたに虐待されているのをみたら怖かったのよ。あの子が勇気を出したなら私も出すわ。離婚しましょう?家を出るわ。」
「へ?」
マネージャーの車で妻は出て行った。
得られるはずの特許は得られない。
製品は開発できない。
妻は出て行き、そして今までのことが週刊誌に暴露され、会社はあっという間に傾き、人手に渡る。
忌々しい兄の友人であった者が会社を買った。
利益をあげるために会社の研究部門には実は職員はいない。
兄が経営していた時代はいたが、嵐が思った以上に優秀で、どんな無茶な指示でも命ずれば納期までには新商品や新技術を開発して来たので、嵐が使えるようになってすぐに解雇した。
嵐は家族だから給料を払わなくていいし、人件費が浮く分利益率が上がってウハウハだ。
だから離れにこそ、会社の全てがあった。
それが――――――
「な、ななっ!」
「なんでっ!?研究に失敗して建物ごと吹っ飛んだとか?」
「嘘!何それウケる」
離れがない。
爆発したわけではない。
なぜなら周りの木や塀に損傷も無ければ、焦げ跡もない。
初めから離れなどなかったかのように。
その跡地には雑草まで生えている。
「あいつは!嵐はどこに行ったんだ!」
使用人たちに聞いてみても分からないという。
妻に聞いてみても………。
妻はエステの後ショッピングをしてきたらしく、部屋で衣装をしまっている。
「あいつは!あいつはどこに!」
「知らないわ。何を慌てているのよ。」
「あいつがいなくなった。離れもどういうわけか無くなってるんだ!研究資料も!全部あそこにあるのに!」
「何をおっしゃっているのかしら。会社には研究部門がおありでしょ?何故それほど慌ててらっしゃるの?あの子がいなくなったのなら、貴方から自由になれたということだわ。あの子ほど優秀なら、生活に困ることはないでしょう。会社がとった特許も全部あの子のもので、うちの子は偽物でしょう?」
「お前は何を………。」
いつも無口な妻だったのに、違和感を覚える。
いつの間にか妻のマネージャーが来ていた。
ラガーマンあがりの屈強な男。
「私はトロフィーワイフとして自由にさせていただけましたけど、家の中のことに口出しできなかった。あの子を助けたかったけどできなかった。だって、目の前であの子があなたに虐待されているのをみたら怖かったのよ。あの子が勇気を出したなら私も出すわ。離婚しましょう?家を出るわ。」
「へ?」
マネージャーの車で妻は出て行った。
得られるはずの特許は得られない。
製品は開発できない。
妻は出て行き、そして今までのことが週刊誌に暴露され、会社はあっという間に傾き、人手に渡る。
忌々しい兄の友人であった者が会社を買った。
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