36 / 42
婚約と戴冠式と結婚式
しおりを挟む
あれから3か月。
皆が助け合って、スズナ王国の街並みは元に戻り、各国も落ち着きを取り戻した。
オオバコ、クローバー、スズナ。
これからは良き隣人として生きていける。
「第二十三代オオバコ王国国王、ブレーキ陛下。祝福します。」
「ありがとうございます。」
綺麗に修繕された宮殿で、ブレーキ陛下の戴冠式が執り行われた。
クローバー王国からはお父様お母様、それにお兄様。
スズナ王国からはルシェル殿下が出席する。
「陛下!おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」
前陛下夫妻とアクセルはいないけど、そのぶん皆が祝福している。
「ありがとう。僕はまだ若いが、日々学びながら、今この時の想いを忘れることなく、国民のため尽くしていくことを誓う。オオバコは、まだまだこれからだ。他国から優れたところを学びながら、我が国でしかできない強みを探していこう。みなもよろしく頼む。」
声変りが始まった、独特の少年の声。
それでもその声は凛として、国民に浸透した。
「それから…。ぼ、私の婚約者を皆に紹介する!」
陛下が一度壇上から降り、エスコートに向かったのは俺のお兄様。ハピネスお兄様。
クローバー王国の次期陛下だったはずのお兄様が現れ、会場が騒然とした。
「ハピネス=ルイス=クローバーです。陛下よりだいぶ年上ですが、陛下を支えてまいります。よろしくお願いいたします。」
お世継ぎは?
陛下が若いからそれを支えるための御妃なのだろうか。
今はよくても側妃を娶るのかもしれない。
ものすごく小声だけど、そういう声が聞こえる。不快だなあ。
ブレーキ陛下には聞こえていないだろうけど、お兄様は聞こえているはず。
でも、我関せずだ。
カッコいい。
「結婚は私の成人を待ってのことになる。王としての在り方を教えてくれる素晴らしい伴侶だ。私たち二人をこれから見守っていただきたい。―――――それで、クローバー王国の新しい王太子とその婚約者を紹介する。」
さ、俺の出番。
かっこいいシュナイダー。見せびらかしちゃうんだから!
「アミュレット=バイス=クローバーです。先日、自国でも公表しましたが、何分閉鎖的な国ですので、ご存じなかった方も多いと思います。それから、ご存じの方も多いと思いますが、明日結婚式を挙げる、伴侶となります。」
シュナイダーを紹介する。
「スズナ王国第二王子、シュナイダー=エム=スズナです。アミュレット様と歩んでまいります。」
俺たちを祝福するフラワーシャワーはいつまでも空を舞っていた。
世界中で新聞に掲載され、スズナ王国では、国民が今更シュナイダーにしてきた仕打ちを後悔していると、ルシェル殿下が教えてくれた。
皆が助け合って、スズナ王国の街並みは元に戻り、各国も落ち着きを取り戻した。
オオバコ、クローバー、スズナ。
これからは良き隣人として生きていける。
「第二十三代オオバコ王国国王、ブレーキ陛下。祝福します。」
「ありがとうございます。」
綺麗に修繕された宮殿で、ブレーキ陛下の戴冠式が執り行われた。
クローバー王国からはお父様お母様、それにお兄様。
スズナ王国からはルシェル殿下が出席する。
「陛下!おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」
前陛下夫妻とアクセルはいないけど、そのぶん皆が祝福している。
「ありがとう。僕はまだ若いが、日々学びながら、今この時の想いを忘れることなく、国民のため尽くしていくことを誓う。オオバコは、まだまだこれからだ。他国から優れたところを学びながら、我が国でしかできない強みを探していこう。みなもよろしく頼む。」
声変りが始まった、独特の少年の声。
それでもその声は凛として、国民に浸透した。
「それから…。ぼ、私の婚約者を皆に紹介する!」
陛下が一度壇上から降り、エスコートに向かったのは俺のお兄様。ハピネスお兄様。
クローバー王国の次期陛下だったはずのお兄様が現れ、会場が騒然とした。
「ハピネス=ルイス=クローバーです。陛下よりだいぶ年上ですが、陛下を支えてまいります。よろしくお願いいたします。」
お世継ぎは?
陛下が若いからそれを支えるための御妃なのだろうか。
今はよくても側妃を娶るのかもしれない。
ものすごく小声だけど、そういう声が聞こえる。不快だなあ。
ブレーキ陛下には聞こえていないだろうけど、お兄様は聞こえているはず。
でも、我関せずだ。
カッコいい。
「結婚は私の成人を待ってのことになる。王としての在り方を教えてくれる素晴らしい伴侶だ。私たち二人をこれから見守っていただきたい。―――――それで、クローバー王国の新しい王太子とその婚約者を紹介する。」
さ、俺の出番。
かっこいいシュナイダー。見せびらかしちゃうんだから!
「アミュレット=バイス=クローバーです。先日、自国でも公表しましたが、何分閉鎖的な国ですので、ご存じなかった方も多いと思います。それから、ご存じの方も多いと思いますが、明日結婚式を挙げる、伴侶となります。」
シュナイダーを紹介する。
「スズナ王国第二王子、シュナイダー=エム=スズナです。アミュレット様と歩んでまいります。」
俺たちを祝福するフラワーシャワーはいつまでも空を舞っていた。
世界中で新聞に掲載され、スズナ王国では、国民が今更シュナイダーにしてきた仕打ちを後悔していると、ルシェル殿下が教えてくれた。
7
お気に入りに追加
673
あなたにおすすめの小説
【完結】世界で一番愛しい人
ゆあ
BL
好きになった人と念願の番になり、幸せな日々を送っていたのに…
番の「運命の番」が現れ、僕の幸せな日は終わりを告げる
彼の二重生活に精神的にも、肉体的にも限界を迎えようとしている僕を
慰めてくれるのは、幼馴染の初恋の相手だった
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
最愛の夫に、運命の番が現れた!
竜也りく
BL
物心ついた頃からの大親友、かつ現夫。ただそこに突っ立ってるだけでもサマになるラルフは、もちろん仕事だってバリバリにできる、しかも優しいと三拍子揃った、オレの最愛の旦那様だ。
二人で楽しく行きつけの定食屋で昼食をとった帰り際、突然黙り込んだラルフの視線の先を追って……オレは息を呑んだ。
『運命』だ。
一目でそれと分かった。
オレの最愛の夫に、『運命の番』が現れたんだ。
★1000字くらいの更新です。
★他サイトでも掲載しております。
婚約破棄から始まる人生
朏猫(ミカヅキネコ)
BL
第二王子との婚約が破棄された。なんでも王子殿下と親しくしていた女性が懐妊したので責任を取りたいからだという。もともと気持ちを伴う婚約ではなかったから、怒りや悲しみといったものはない。そんなわたしに詫びたいと現れたのは、元婚約者の兄である王太子殿下だった。※他サイトにも掲載
[王太子殿下 × 貧乏貴族の子息 / BL / R18]
【完結】身代わり婚の果てに
325号室の住人
BL
☆全6話
完結しました
とあるノートの内容から、双子の妹と自分の死を回避するため奔走する俺は、最終的に双子の妹と入れ替って第2王子と婚姻したのだが……
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子
葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。
幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。
一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。
やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。
※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる