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ゴウマン侯爵家の破滅

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「これより、ゴウマン元侯爵一派の処刑を執行する。」



「ひぃぃ、陛下あ!私たちは悪魔に、悪魔に操られて…………!」


「黙れ、悪魔の甘言に乗り、長い月日、国民を苦しめ、国をめちゃくちゃにしたのはお前たちの罪である!」

そして手をこまねいていた私たちにも、という言葉をクロム陛下は飲み込んだ。


また悪魔はやってくるだろう。
しかしそれは、オオバコかもしれないし、他の国かもしれない。

あいつは人間が滅べばそれでいいのだから。
戦争を起こす国はオオバコでなくてもいいのだ。


対悪魔対策でクローバー王国王妃バイオレットとシュゼット陛下は聖なる結界をオオバコにまで延ばした。
この結界があれば、邪悪な者は侵入できない。
なる程、あれほど妖精王に執着するあの悪魔が、クローバー王国に現れなかったわけである。

元々、クローバー王国は妖精たちの国だった。
その昔、オオバコと隣接した小国のムーンライト王国。オオバコからの侵略戦争に敗戦し、生き残った末の王子とその従者たちが瀕死の重傷を負って妖精の国の深い森の中に迷い込んだ。
自らの永遠の命を魔力に変えて、妖精王アヴァロンは彼らを救った。
アヴァロンと王子は恋に落ち、従者たちもやがて妖精を妻に娶って、彼らは人となり、クローバー王国になったと言われている。
悪魔にとって故郷を追われ、余計に人間への恨みを募らせたのだろうが、それはそれ、許してはいけない。

そして、奴らも、アクセルも。



壊れた城の上でギロチンに首をはめていく。


奴らの被害者には、それを見ることを許した。
希望した者達は、家族の遺影を胸に静かに見守る。

辺りには神葉樹の葉が並べられ、遺族の心の闇を浄化する。



「あー、やああ!」

ザシュッと嫌な音がして、侯爵はこの世から消えた。



「次!」


「いやああ!私は、悪くない!だって妻としてあの人に逆らえるわけないじゃないのよぉ!」

「黙れ、むしろ嬉々としてお前も侯爵を唆したのだろうが!悪女め!」

「私は直接何もしてないわ!なのに実行した奴らが処刑されないのはどうしてなのよ!」
夫人は騎士たちや仲間だった者、一部の縁者を見つけては睨む。

「彼らはお前らの仲間ではあったが、家族を人質にとられた者、本意ではなかった者たちなどだ。クローバー王国の妖精の力で心を覗き、更生が可能な者とお前らを分けた。例え一族の端だろうが、虐げられた妾の子やまだ何もわからぬ幼な子を罪に問う気はないわ!爵位没収は変わらぬ、浄化や教育の上、それぞれ関わった内容によってそれでも罰を負う。しかし彼らには、罪を償い、本人次第で爵位を得、のしあがることを許そう。侯爵家をはじめとした貴族家は、心清き彼らの手で復興されることを私は望む。」



「心清き!!?妾や愛人の子が…!?使用人風情、いや我が一族の奴隷たちが我が家を…!!!?」


「下種な一族だ。人妻やよそのご令嬢に強引に手をつけて、生まれた子や彼女たちを虐げて。」


芋づる式に次々と発覚した悪行。
いうことを聞かなかった貴族家や平民の家から美しい女を見つけては強引に屋敷に連れ去っていた。
陛下が合図をすると、騒がしい悪女の口も永遠に噤まれた。


「……次。」



陛下は片隅に視線を移して、呼んだ。




「あああ、こんなのおかしいわ!私は子どもよ!私が何をしたっていうの!お父様たちに育てられたとおり貴族の娘らしくライバルを排除しようとしただけじゃないの!」

引き摺られるように連れてこられたミレルダは、鬼のような形相で、整えられていた髪は乱れ、ドレスの裾はあちこち汚れている。


「貴族は駆け引きをするもの。ライバルを蹴落とそうとするのも貴族としてはよくあることだろう。だがそれは、全て領民を守るために行うことだし、だからといって犯罪は許されない。目的と手段、自分に非があることを分からない。だから君を生かすわけにはいかぬのだ。」


「うう、陛下、私は更生します!アクセル、アクセル、お願い!貴方が後見人になってくれるなら私は死ななくていいの!助けて!!」



アクセルはうずくまったまま、耳をふさいで目を閉じる。






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