あなたがいい~妖精王子は意地悪な婚約者を捨てて強くなり、幼馴染の護衛騎士を選びます~

竜鳴躍

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ミレルダ、驚愕し、陰謀を巡らす。

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…なに!何なのよ!!!!

アクセル殿下から聞いていたのと違う。


どこが肥え太った豚なのよ。

どこをどう見たら醜いと思えるのよ。



もしかしたら、8年前、たった8つの幼い子どもは、幼さゆえの丸みを帯びていたのだろう。
幼いうちは、お腹が多少膨れていても太っているというわけではない。

ただ、少し、もしかしたら、8年前は少しふくよかだったのかもしれないが。


少なくとも、16歳の今、アミュレットという小国出身の殿下の婚約者は、眩いほどの美しさを持っていた。


ペールグリーンの髪はさらさらと腰まで伸び、真っ白な肌は透き通って。

アイスブルーの瞳は神秘的で、長い睫毛が縁取り、スッと伸びた鼻は美しく、唇は瑞々しく紅く熟れて、美しい躰のラインはまるで月夜に咲く可憐な花のよう。


人間離れした、清楚で清廉な美しさ。




8年前の第一印象で嫌ったアクセル殿下は、それから全く、婚約者を目にしていない。




―――――まずい。


確かもうすぐ、『婚約の儀』がある。



美しくなった今の姿を殿下が見れば…。


きっと、心変わりしてしまうだろう。


お飾りなら、正妃が他にいてもいい。
国母は私。側妃でもいい。

そう思っていた。


けれど、殿下がアミュレットを好めば、全て状況は変わってしまう。




「アミュレット……。殿下の妃になるのは私。消すしかないわね。」




ミレルダは物陰でこっそりと不敵な笑みを浮かべる。

開いた扇子の内側では、三ケ月に瞳が変形し、唇が歪んだ。


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