8 / 42
ミレルダ、驚愕し、陰謀を巡らす。
しおりを挟む
…なに!何なのよ!!!!
アクセル殿下から聞いていたのと違う。
どこが肥え太った豚なのよ。
どこをどう見たら醜いと思えるのよ。
もしかしたら、8年前、たった8つの幼い子どもは、幼さゆえの丸みを帯びていたのだろう。
幼いうちは、お腹が多少膨れていても太っているというわけではない。
ただ、少し、もしかしたら、8年前は少しふくよかだったのかもしれないが。
少なくとも、16歳の今、アミュレットという小国出身の殿下の婚約者は、眩いほどの美しさを持っていた。
ペールグリーンの髪はさらさらと腰まで伸び、真っ白な肌は透き通って。
アイスブルーの瞳は神秘的で、長い睫毛が縁取り、スッと伸びた鼻は美しく、唇は瑞々しく紅く熟れて、美しい躰のラインはまるで月夜に咲く可憐な花のよう。
人間離れした、清楚で清廉な美しさ。
8年前の第一印象で嫌ったアクセル殿下は、それから全く、婚約者を目にしていない。
―――――まずい。
確かもうすぐ、『婚約の儀』がある。
美しくなった今の姿を殿下が見れば…。
きっと、心変わりしてしまうだろう。
お飾りなら、正妃が他にいてもいい。
国母は私。側妃でもいい。
そう思っていた。
けれど、殿下がアミュレットを好めば、全て状況は変わってしまう。
「アミュレット……。殿下の妃になるのは私。消すしかないわね。」
ミレルダは物陰でこっそりと不敵な笑みを浮かべる。
開いた扇子の内側では、三ケ月に瞳が変形し、唇が歪んだ。
アクセル殿下から聞いていたのと違う。
どこが肥え太った豚なのよ。
どこをどう見たら醜いと思えるのよ。
もしかしたら、8年前、たった8つの幼い子どもは、幼さゆえの丸みを帯びていたのだろう。
幼いうちは、お腹が多少膨れていても太っているというわけではない。
ただ、少し、もしかしたら、8年前は少しふくよかだったのかもしれないが。
少なくとも、16歳の今、アミュレットという小国出身の殿下の婚約者は、眩いほどの美しさを持っていた。
ペールグリーンの髪はさらさらと腰まで伸び、真っ白な肌は透き通って。
アイスブルーの瞳は神秘的で、長い睫毛が縁取り、スッと伸びた鼻は美しく、唇は瑞々しく紅く熟れて、美しい躰のラインはまるで月夜に咲く可憐な花のよう。
人間離れした、清楚で清廉な美しさ。
8年前の第一印象で嫌ったアクセル殿下は、それから全く、婚約者を目にしていない。
―――――まずい。
確かもうすぐ、『婚約の儀』がある。
美しくなった今の姿を殿下が見れば…。
きっと、心変わりしてしまうだろう。
お飾りなら、正妃が他にいてもいい。
国母は私。側妃でもいい。
そう思っていた。
けれど、殿下がアミュレットを好めば、全て状況は変わってしまう。
「アミュレット……。殿下の妃になるのは私。消すしかないわね。」
ミレルダは物陰でこっそりと不敵な笑みを浮かべる。
開いた扇子の内側では、三ケ月に瞳が変形し、唇が歪んだ。
9
お気に入りに追加
670
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幼馴染は僕を選ばない。
佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。
僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。
僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。
好きだった。
好きだった。
好きだった。
離れることで断ち切った縁。
気付いた時に断ち切られていた縁。
辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ペイン・リリーフ
こすもす
BL
事故の影響で記憶障害になってしまった琴(こと)は、内科医の相澤に紹介された、精神科医の篠口(しのぐち)と生活を共にすることになる。
優しく甘やかしてくれる篠口に惹かれていく琴だが、彼とは、記憶を失う前にも会っていたのではないかと疑いを抱く。
記憶が戻らなくても、このまま篠口と一緒にいられたらいいと願う琴だが……。
★7:30と18:30に更新予定です(*´艸`*)
★素敵な表紙は らテて様✧︎*。
☆過去に書いた自作のキャラクターと、苗字や名前が被っていたことに気付きました……全く別の作品ですのでご了承ください!
望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【忘れるな、憎い君と結婚するのは亡き妻の遺言だということを】
男爵家令嬢、ジェニファーは薄幸な少女だった。両親を早くに亡くし、意地悪な叔母と叔父に育てられた彼女には忘れられない初恋があった。それは少女時代、病弱な従姉妹の話し相手として滞在した避暑地で偶然出会った少年。年が近かった2人は頻繁に会っては楽しい日々を過ごしているうちに、ジェニファーは少年に好意を抱くようになっていった。
少年に恋したジェニファーは今の生活が長く続くことを祈った。
けれど従姉妹の体調が悪化し、遠くの病院に入院することになり、ジェニファーの役目は終わった。
少年に別れを告げる事もできずに、元の生活に戻ることになってしまったのだ。
それから十数年の時が流れ、音信不通になっていた従姉妹が自分の初恋の男性と結婚したことを知る。その事実にショックを受けたものの、ジェニファーは2人の結婚を心から祝うことにした。
その2年後、従姉妹は病で亡くなってしまう。それから1年の歳月が流れ、突然彼から求婚状が届けられた。ずっと彼のことが忘れられなかったジェニファーは、喜んで後妻に入ることにしたのだが……。
そこには残酷な現実が待っていた――
*他サイトでも投稿中
婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました
ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。
愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。
*****************
「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。
※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。
評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。
※小説家になろう様でも公開中です。

【完結】身代わり婚の果てに
325号室の住人
BL
☆全6話
完結しました
とあるノートの内容から、双子の妹と自分の死を回避するため奔走する俺は、最終的に双子の妹と入れ替って第2王子と婚姻したのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる