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ブレーキ王子の憂鬱

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ペールグリーンのさらさらした髪にアイスブルーの瞳の麗しき君。

妖精王アヴァロンの血を引く、高貴な方。

ハピネス王子は、愚兄の行いを詫びに来た僕を温かく迎えてくれた。

「ほんとうに……本当に、兄が申し訳…ありません…っ。父も母も処分をする方向で動いております。ただ、その…、兄は外面がいいものですから、支持している派閥も多く…、すぐには…。せめて、アミュレット様が健やかに生活できるよう、兄から切り離し、一丸となってお守りしておりますのでっ…。」


「………ありがとう、自ら状況を伝えに来てくれて。座って?君は苦労するね…。」


「ハピネス殿下…。」

「うふふ、僕たち親戚で幼馴染じゃない。ハピネス、でいいからね。でも親族だからこそ、アレがそんな男だと見抜けなかったのが悔しいな。まだ君の方がよかった。2つくらい年上の妃でも問題ないだろうに。」

「………いえ、僕なんか。」


僕は、ハピネス殿下が好き。


だけど、クローバー王国の人と違って、僕は赤ちゃん産めないし。

それに――――――


「なんか、だなんて言ってはいけないよ。君があの国を継ぐのでしょう?」


そうですね…。

そうですよね…。


兄がどうしようもない以上、僕が継がなきゃ。


「はい…。おそらくそうなると思います。」

「少なくても、あれよりは、よっぽど素晴らしい王になれるだろう。自信を持ちなさい。大人になるまで時間もたくさんある。」

「あの、ハピネス様は時機に王位を継がれるのですよね?」


「ああ、王太子として執務もしているしね。」


「……僕に、心得を教えていただけますか。」


「もちろんだとも。その代わりと言ってはなんだけど、込み入ったことを聞かせてもらってもいいかな?」

「もちろんです。」


「ふふ、何を聞きたいか聞く前に即答しちゃだめだよ?たとえ相手が誰でも、ね。」

「あっ…。」


「ゆっくり、王らしさを身に着けていこうね。なんでアレはあんな風になったのか、わかる?」

「多分ですけど…。支援者のゴウマン侯爵……。彼の影響ではないかと思っています。」



「ゴウマン、ね。オオバコ王国の軍需産業を支える一大商会を持っていたっけ。」

「ええ、野心家で国の要職からは遠ざけていましたが、いつの間にか国防に大きな影響力を持つに至り。元々、ゴウマン侯爵家は父の妃に一族の令嬢を押していました。しかし、ライバルを出し抜くため、いじめを繰り返したり、母に冤罪をしかけようとしたそうです。令嬢の単独行動ということで侯爵家はその娘を廃嫡し、修道院送りにし、多額の賠償金を支払って終わりましたが、今度は兄の妃の座を狙っているのだと思っています。侯爵家には丁度娘がいますから。証拠、がありませんけどね。」


「アクセルはその家の令嬢と懇意なのだな。全く愚かな。」

「僕もそう思います。」



アミュレット様に向かい合ってくれたら。
行動を思い直してくれたら。

父も母も僕も、そう思っていますが、破滅に一直線に向かっています。



もう、兄に未来はない。

気付いていないのは、本人とその周りの者たちだけ。




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