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ヘリオス公爵家
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煌やかな銀髪が白髪混じりに変わった初老の男は、王家からの招待状を開いて目を細めた。
鍛え上げた息子は、王家に妃として取られてしまった。
娘はあっぱれなもので、宰相家の息子やその父親を口説き落として他家へ嫁ぎ、夢を叶えた。
妻はとうに先立ち、屋敷は寂しいものだが、ピクルスが一人前になるまでは頑張らないとな。
立派にやる子どもたちが後ろ髪をひかれないようら、殊更に強くやってきた。
二家しかない公爵家の一つであるアクオス公爵家がやらかしてしまったために、勢力のバランスは歪にヘリオス公爵家に傾いてしまった。
故になるべく子どもたちと距離をとってきた。
たまにカリブはブレインを連れてきたが、基本嫁いだ者が実家に入り浸るものではない。
「しかし、もう気にせずいいかもしれんな。」
アクオス公爵は今や王太子妃の親友だ。
しかも、王太子妃の兄が婿入りする。
情報収集能力のない奴らは分かっていないが、今後の夜会で知るだろう。
眉をひそめる者がいたとしても、勢いを取り戻すのはすぐだ。
久しぶりにオリーブと話をしよう。
「セバスチャン、返事を出しておいておくれ。それから衣装を新調したい。業者を呼んでくれないか。」
ベルを鳴らして、現れた家令に指示を出す。
昔からこの家に仕えるセバスチャンは、私より少し年上だ。
私の結婚も、オリーブやカリブが成長するのも見守ってくれた。
若い頃はまっすぐ背筋が伸び、筋肉質で逞しかった美丈夫も、今では若干背が縮み、深い皺に目尻が下がる。
「旦那様、出席されるのですね。」
「うむ。皆に私の健在をそろそろ主張してもよいだろう。それに、初めて会う孫の嫁や孫たちには、かっこいいと思ってもらいたいしな。」
後を継ぐことになるだろう、幼いピクルス王子にも、ヘリオス公爵家は素敵だと感じてもらわなくては。
「さっそく業者を呼びましょう。腕が鳴ります。」
これからは、もっと孫たちと交流しよう。
領地の名物料理も食べさせたい。
楽しみである。
鍛え上げた息子は、王家に妃として取られてしまった。
娘はあっぱれなもので、宰相家の息子やその父親を口説き落として他家へ嫁ぎ、夢を叶えた。
妻はとうに先立ち、屋敷は寂しいものだが、ピクルスが一人前になるまでは頑張らないとな。
立派にやる子どもたちが後ろ髪をひかれないようら、殊更に強くやってきた。
二家しかない公爵家の一つであるアクオス公爵家がやらかしてしまったために、勢力のバランスは歪にヘリオス公爵家に傾いてしまった。
故になるべく子どもたちと距離をとってきた。
たまにカリブはブレインを連れてきたが、基本嫁いだ者が実家に入り浸るものではない。
「しかし、もう気にせずいいかもしれんな。」
アクオス公爵は今や王太子妃の親友だ。
しかも、王太子妃の兄が婿入りする。
情報収集能力のない奴らは分かっていないが、今後の夜会で知るだろう。
眉をひそめる者がいたとしても、勢いを取り戻すのはすぐだ。
久しぶりにオリーブと話をしよう。
「セバスチャン、返事を出しておいておくれ。それから衣装を新調したい。業者を呼んでくれないか。」
ベルを鳴らして、現れた家令に指示を出す。
昔からこの家に仕えるセバスチャンは、私より少し年上だ。
私の結婚も、オリーブやカリブが成長するのも見守ってくれた。
若い頃はまっすぐ背筋が伸び、筋肉質で逞しかった美丈夫も、今では若干背が縮み、深い皺に目尻が下がる。
「旦那様、出席されるのですね。」
「うむ。皆に私の健在をそろそろ主張してもよいだろう。それに、初めて会う孫の嫁や孫たちには、かっこいいと思ってもらいたいしな。」
後を継ぐことになるだろう、幼いピクルス王子にも、ヘリオス公爵家は素敵だと感じてもらわなくては。
「さっそく業者を呼びましょう。腕が鳴ります。」
これからは、もっと孫たちと交流しよう。
領地の名物料理も食べさせたい。
楽しみである。
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