45 / 66
噂の美形兄弟
しおりを挟む
ビューテ侯爵家の美形兄弟といえば、今、社交界で一番の噂の兄弟だ。
アクオス公爵家に睨まれてパッとしなかった貧乏公爵家は、誰もが納得するような国への貢献をいくつも重ねていて、末っ子のジェニーさまが王太子の妃に選ばれたのを契機に陞爵し、侯爵となり、今や飛ぶ鳥を落とす勢い。
王家の親族にもなって、王家の覚えもよい。
考えてみたら、国で使われている医薬品は全てビューテ領産だったし、王都の奥座敷ともいわれる裏手の山あいを領地にする彼らは、言わば森や山にいる魔物や獣、外敵から王都を守る番人。
王都のすぐ裏手を領地にしている時点で、王家の覚えがよいのは当たり前だった。
王太子妃もたいへん優秀な人だが、長男と次男も優秀。
頭が良くて、有能で、性格もよく、強く、そして何より顔が良い。
娘婿としても嫁ぎ先としても申し分がない。
どうしてこんな優良物件を見逃していたのか。
2人ともまだ未婚だと、どの家も躍起になって釣書を送っているが、お断りの手紙ばかり。
繋がりを作ろうにも、ビューテ侯爵家の者は社交界には殆ど出ない。
姿を見たのは、学園の卒業パーティーやらデビュタントやら、国王陛下の招集するパーティ。つい先日であれば、王太子夫妻の結婚式が最後。
しかも、彼らは声を掛けようと思ったらいつの間にか消えたようにいなくなる。
夫人でさえ神出鬼没で、最近は王都をよく出歩いているようだが、捕まらない。
しかし、近々、国王陛下がパーティを開くらしい。
これはチャンス!
…………と、いうわけで。
いまだに婚約者のいないご令嬢やその親は、ここぞとばかりに張り切っているのであった。
「くしゅ!」
「くしゅん!」
「なんだ、近々ジェニーに会うのに。風邪か?早く治してしまえ。」
レニーはマンドラゴラをむんずと掴む。
抜くときに叫び声をあげ、聞いたものを即死させる波長を出すマンドラゴラだが、なに、叫ばさなければいいだけのことだ。
マンドラゴラは賢い。こちらの言葉も理解できているのだから。
「ふはははは!!泣け!叫ぶがいい!お前の泣き叫ぶ表情を見るのがこっちは生きがいなんだよぉ。……どうしたぁ?泣けないのかぁ?」
軽く凄んで闇のオーラを出してやると、かわいいもので、怯えて叫べなくなる。
その瞬間を狙って一気に引き抜き、獲りたてを水洗いして足からすりおろせば、ほぉら☆栄養満点、マンドラゴラジュースの出来上がりっ。
「ありがとう、お父様。」
「くぁー。みなぎるー。」
「安定期に入ったとはいえ、お腹にあかちゃんがいるんだ。うつさないようにしないとな。そういえば、お前たち分かっているな?」
「もちろんだよ。ミルキィには可愛らしさが引き立つドレープの効かせた衣装を贈ってあるよ。やっと花嫁衣装も用意できたし、近いうちに式をあげるってジェニーたちに報告もしなきゃな。」
「俺もリリーにドレスを贈っておいた。エスコート楽しみだなあ。俺もお前も何気にパートナーをエスコートして夜会に出るのは初めてだよな。」
「うんうん、我が家の未来は明るいな!」
アクオス公爵家に睨まれてパッとしなかった貧乏公爵家は、誰もが納得するような国への貢献をいくつも重ねていて、末っ子のジェニーさまが王太子の妃に選ばれたのを契機に陞爵し、侯爵となり、今や飛ぶ鳥を落とす勢い。
王家の親族にもなって、王家の覚えもよい。
考えてみたら、国で使われている医薬品は全てビューテ領産だったし、王都の奥座敷ともいわれる裏手の山あいを領地にする彼らは、言わば森や山にいる魔物や獣、外敵から王都を守る番人。
王都のすぐ裏手を領地にしている時点で、王家の覚えがよいのは当たり前だった。
王太子妃もたいへん優秀な人だが、長男と次男も優秀。
頭が良くて、有能で、性格もよく、強く、そして何より顔が良い。
娘婿としても嫁ぎ先としても申し分がない。
どうしてこんな優良物件を見逃していたのか。
2人ともまだ未婚だと、どの家も躍起になって釣書を送っているが、お断りの手紙ばかり。
繋がりを作ろうにも、ビューテ侯爵家の者は社交界には殆ど出ない。
姿を見たのは、学園の卒業パーティーやらデビュタントやら、国王陛下の招集するパーティ。つい先日であれば、王太子夫妻の結婚式が最後。
しかも、彼らは声を掛けようと思ったらいつの間にか消えたようにいなくなる。
夫人でさえ神出鬼没で、最近は王都をよく出歩いているようだが、捕まらない。
しかし、近々、国王陛下がパーティを開くらしい。
これはチャンス!
…………と、いうわけで。
いまだに婚約者のいないご令嬢やその親は、ここぞとばかりに張り切っているのであった。
「くしゅ!」
「くしゅん!」
「なんだ、近々ジェニーに会うのに。風邪か?早く治してしまえ。」
レニーはマンドラゴラをむんずと掴む。
抜くときに叫び声をあげ、聞いたものを即死させる波長を出すマンドラゴラだが、なに、叫ばさなければいいだけのことだ。
マンドラゴラは賢い。こちらの言葉も理解できているのだから。
「ふはははは!!泣け!叫ぶがいい!お前の泣き叫ぶ表情を見るのがこっちは生きがいなんだよぉ。……どうしたぁ?泣けないのかぁ?」
軽く凄んで闇のオーラを出してやると、かわいいもので、怯えて叫べなくなる。
その瞬間を狙って一気に引き抜き、獲りたてを水洗いして足からすりおろせば、ほぉら☆栄養満点、マンドラゴラジュースの出来上がりっ。
「ありがとう、お父様。」
「くぁー。みなぎるー。」
「安定期に入ったとはいえ、お腹にあかちゃんがいるんだ。うつさないようにしないとな。そういえば、お前たち分かっているな?」
「もちろんだよ。ミルキィには可愛らしさが引き立つドレープの効かせた衣装を贈ってあるよ。やっと花嫁衣装も用意できたし、近いうちに式をあげるってジェニーたちに報告もしなきゃな。」
「俺もリリーにドレスを贈っておいた。エスコート楽しみだなあ。俺もお前も何気にパートナーをエスコートして夜会に出るのは初めてだよな。」
「うんうん、我が家の未来は明るいな!」
60
お気に入りに追加
2,030
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる