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優秀な妃

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「ジェニー、恐ろしい子。」

王妃様はジェニーの報告を受け、全く持って我が息子にはもったいない出来すぎた嫁だと感心していた。

ジャスティ陛下と向かい合ってティータイム中である。

王太子である息子・フォールも負けじと執務に集中し、息子夫婦が二人で切磋琢磨した結果、少しばかり余裕ができてきた二人だった。


「妃教育もあっという間に終わっちゃったんでしょ?ルーチェが教えることがあまりないって言ってたらしいね。」

「本当に何でもできちゃうんだな、と思いましたよ。私と違ってお茶会の開き方も妃の社交術もすんなりマスターしたみたいですし、今度、社交界を仕切ってもらってもいいですね。」



「こんなに素晴らしいのに、本人は謙虚を通り越してるんだよねぇ…。」

「あれはもう病気の域ですね。一体何があったからああなったのか。ビューテ侯爵家は、確かに父君も兄上たちも薬学の天才ではあるけれど、兄弟で比べたり、一方を蔑むような人たちではないんですがね。」

あの性格は、少し治してほしいと思う。


2人はまさか、ジェニーかわいさにフォールが彼の芸能界入りを邪魔したり、就職を希望した先がジェニーを取り合って互いに牽制した結果、合否がこなかったり、フォールがジェニーを囲い込んでいたことが原因で自己評価が低くなってしまったことを知らない。

そして、ジェニーにとってはむしろまだ知らないそういうことの方が、許せないことであるのだが…。





「うわぁぁああああああああああん!!!!」

城の中でミルキィの泣き叫ぶ声がこだまする。

これも最近の風物詩。


「なんで隠密魔法で忍び込んでるのに気づくんだよぉ!」

先のとがった変わった形のナイフを投げるミルキィ。

それを笑顔で躱しつつ、手刀で落としていくジェニー。


「えい、ニンジュツがダメなら魔法だ!ボクだって魔法には自信があるんだからねっ!いけっ、メテオ!!」

「もう、お城にメテオ振らせちゃ危ないでしょ!ないない!」

空間に隕石が現れたと思いきや、消えてしまう。亜空間にぽいぽいしたらしい。

「ブラックホール!」

「あぶないでしょ。」

「ファイヤー!トルネード!アクア!」


「ダメダメ!アクア!トルネード逆回転!ヒート!」

ミルキィの火は消火され、竜巻は打ち消され、水は蒸発する。


ミルキィの頬がぷくぅと膨れ上がっていく。


「覚えていろよ!」




「家柄もいいし、優秀ではあるし、見目も可愛らしいし、あの性格さえなければ殿下と結婚できていたでしょうに。」
ジェニーはため息をついているけど、性格が良くても息子がミルキィを選んでいるとは到底思えないのだが。
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