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ローズガーデンの騎士団長の息子

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リリーナはすっきりした気持ちで廊下を歩く。

(とっとと正式に婚約を解消してもらわなきゃ。)



「ケイトっ!お前だけ居残り!校庭30周腹筋スクワット各100回!素振り300回!」

「はいっ………」

銀色の髪の男子が教師から扱かれている声が聞こえて、リリーナは立ち止まった。

確か彼はケイト=マックス。

騎士団長であるマッスル=マックス公爵の長男だ。

「全くマックス家の恥さらしめ。」
「マックス家は代々武門の家系だぞ。後継はエドワード兄様だなっ。」

エドワードとノックス。
マックス公爵家の次男三男。

周りの生徒が同調して嗤う。

「マックス家の人間なのに、あんなに弱いなんて。」
「見ろよ。ヒョロガリ。」


苛つく!

彼はマックス家の肩書きがあるから厳しく見られているだけで、人並みには出来てるでしょう!?

だいたい、彼の母方は魔法騎士だったはず。
私から見た彼の適性は………。

かわいそうに、マックス家と言えば物理攻撃、剣だという呪いが彼を苦しめている。


「彼をそんな風に言う貴方たちはどんなものかしら。少なくとも、そこの筋肉バカたちは置いといて、貴方方より彼は強いでしょうに。」

ああもう、我慢ならないわ!

「リリーナ=タイガー公爵令嬢!」

「それに?そこの筋肉バカだって大したことないわね。」

「はあっ!?」


そこら辺の棒きれを掴む。

「かかってらっしゃい?坊や。」


「くそう!生意気な!」

「怪我しても、お前が悪いんだからな!」


逆上して向かってくる二人。

なるほど、剣筋は悪くないわね。


だけど!



私には止まって見える。



ワザとギリギリ。
軽やかに避ける。

「貴方たちなんか、目をつぶっていても楽勝よ。ケイトの真の力が活かせる状態なら、ケイトの方が上だわ。」

しばらく遊んでやって、強烈な一打で地面に叩き込む。


「ぎゃあ!」


「ほほほ。怪我してもよわあい貴方方が悪いのよ?」

ふん、と追い払ってやった。


「エッジ先生?敬愛する騎士団長のためなのか頼まれているのか分かりませんけど、彼にこんな扱きは不要ですわよ。彼は確実に魔法に適性がありますわ。魔法を鍛えればみるみる上達して、そうね。大魔法使いになれる器。そんな彼に適性と真逆の鍛錬をさせるなんてナンセンス。国の損失よっ。彼は私が貰い受けますわねっ!」

「え、」


お姫様を助けるヒーローになるのも悪くないわ!
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