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呆れた女
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「近づくな!不敬である!」
スカイ王子に制止され、ネイルはビクッと肩を揺らした。
さすがにまずいと思ったらしく、母親が娘を捕まえる。
「ネイル=モスグリーン公爵令嬢もアンドレ王子と同様、勇者夫婦を怒らせた。お二人がいうように、二人は全くお似合いだ。生涯ともに生きるように。」
陛下の言葉に愕然とし、ネイルはスカイ王子の隣のオリーブを睨んだ。
「は、陛下っ。私じゃなくてもあんな出来損ないは王妃には向きませんわ!まさかオリーブを王太子妃にするおつもり、とはいいませんよねえ!」
「私はオリーブ以外を妃にするつもりはない!」
スカイ王子の言葉に嬉しく思いながら、オリーブは自分は確かに王太子妃に相応しくないと思っていた。
分かりにくいけど私には障害がある。
スカイ王子の右腕がもしあったなら。
スカイ王子くらい素晴らしい人なら素晴らしい相手とご縁があるのに。
この右腕。
治せたら。
治れば。
そんな風に思いながら、オリーブはない場所を撫でた。
「!?」
「なっ。何が起こっているの!?」
突然オリーブから光が放たれる。
そして、その指が触れたぶらりとした袖は、やがて膨らんでいく。
(やはり、彼女が聖女だった!)
ミリオンとカナリアは、小さく拳を握る。
スカイ王子に制止され、ネイルはビクッと肩を揺らした。
さすがにまずいと思ったらしく、母親が娘を捕まえる。
「ネイル=モスグリーン公爵令嬢もアンドレ王子と同様、勇者夫婦を怒らせた。お二人がいうように、二人は全くお似合いだ。生涯ともに生きるように。」
陛下の言葉に愕然とし、ネイルはスカイ王子の隣のオリーブを睨んだ。
「は、陛下っ。私じゃなくてもあんな出来損ないは王妃には向きませんわ!まさかオリーブを王太子妃にするおつもり、とはいいませんよねえ!」
「私はオリーブ以外を妃にするつもりはない!」
スカイ王子の言葉に嬉しく思いながら、オリーブは自分は確かに王太子妃に相応しくないと思っていた。
分かりにくいけど私には障害がある。
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スカイ王子くらい素晴らしい人なら素晴らしい相手とご縁があるのに。
この右腕。
治せたら。
治れば。
そんな風に思いながら、オリーブはない場所を撫でた。
「!?」
「なっ。何が起こっているの!?」
突然オリーブから光が放たれる。
そして、その指が触れたぶらりとした袖は、やがて膨らんでいく。
(やはり、彼女が聖女だった!)
ミリオンとカナリアは、小さく拳を握る。
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