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廃太子と王太子
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「カナリア殿下、ミリオン妃殿下。アンドレ王子とその婚約者が非礼を働き、申し訳ございません。」
陛下と王妃、側妃がフロアに降りてくる。
貴族たちはさっと分かれて僕たちに向かう道を作り、彼らは僕たちの前で止まって頭を下げた。
「アンドレ。全く愚かなこと。王族こそ慎み深く、皆の手本でなければならないとこの母は言い続けてきましたが…………残念です。」
王妃様はまともらしいな。
「お母様!」
「帝国に配慮し、王族としては残すが、お前は廃太子とする。それより先の処分については、帝国に伺いを立ててから決める。」
「お父様!…………では、ではっ。あいつを王太子とするのですか!?」
「もちろんだ。」
陛下はスカイ王子を見る。
スカイ王子は陛下に礼をとった。
「あいつは腕が一本ないんですよ!あいつの母親だって、女官あがりの伯爵令嬢じゃないですか!」
「私の妃を侮辱するな。アリア妃の実家のオーケストラ伯爵家は、代々この国の裁判官を務め、王家を支える中立で清廉な古くからの由緒正しい貴族家だ!法を扱うことから、目立つような功績や富はないかもしれない。だが、この国の国民が幸せに暮らし、王家が続いた、それこそがオーケストラ伯爵家の功績である!」
「腕の一本くらいなんでしょう。だいたい、あの視察は本来お前の仕事だったではないですか。お前は自分の執務もスカイ王子に押しつけて。以前はオリーブ嬢にも押しつけていたでしょう!何も出来ない上に外交では問題行動を起こすような者より、スカイ王子を王太子にと考えるのは当然です!」
「そんな!お母様!側妃の子が王太子になってもいいのですか!」
「あなた方は私の実家である帝国に忖度しているけれど、私個人はアリア妃とも仲が良いし、スカイ王子も自分の子のようにかわいいわ。あなたがまともになるように苦言を言い続けて20年。貴方のワガママで横暴な行為の賠償やケアを続けて、最近ではお飾りの陛下になれば良いかと思っていましたが、限界よ。最初からスカイ王子がふさわしい。世界の最高戦力である勇者夫婦を怒らせたとあれば、帝国だって納得します。」
「そんな!」
アンドレは力なく、へたっと座り込む。
「アンドレ王子!嫌よ。陛下になれないの?!なら、スカイ王子!私と結婚しましょう!腕が片方しかなくても、ダンスでは私がフォローできますわ!そんな『出来損ない』は王妃には向きません!」
ネイルはあっさりアンドレ王子を捨て、スカイ王子にねっとりした笑顔を向けた。
陛下と王妃、側妃がフロアに降りてくる。
貴族たちはさっと分かれて僕たちに向かう道を作り、彼らは僕たちの前で止まって頭を下げた。
「アンドレ。全く愚かなこと。王族こそ慎み深く、皆の手本でなければならないとこの母は言い続けてきましたが…………残念です。」
王妃様はまともらしいな。
「お母様!」
「帝国に配慮し、王族としては残すが、お前は廃太子とする。それより先の処分については、帝国に伺いを立ててから決める。」
「お父様!…………では、ではっ。あいつを王太子とするのですか!?」
「もちろんだ。」
陛下はスカイ王子を見る。
スカイ王子は陛下に礼をとった。
「あいつは腕が一本ないんですよ!あいつの母親だって、女官あがりの伯爵令嬢じゃないですか!」
「私の妃を侮辱するな。アリア妃の実家のオーケストラ伯爵家は、代々この国の裁判官を務め、王家を支える中立で清廉な古くからの由緒正しい貴族家だ!法を扱うことから、目立つような功績や富はないかもしれない。だが、この国の国民が幸せに暮らし、王家が続いた、それこそがオーケストラ伯爵家の功績である!」
「腕の一本くらいなんでしょう。だいたい、あの視察は本来お前の仕事だったではないですか。お前は自分の執務もスカイ王子に押しつけて。以前はオリーブ嬢にも押しつけていたでしょう!何も出来ない上に外交では問題行動を起こすような者より、スカイ王子を王太子にと考えるのは当然です!」
「そんな!お母様!側妃の子が王太子になってもいいのですか!」
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「そんな!」
アンドレは力なく、へたっと座り込む。
「アンドレ王子!嫌よ。陛下になれないの?!なら、スカイ王子!私と結婚しましょう!腕が片方しかなくても、ダンスでは私がフォローできますわ!そんな『出来損ない』は王妃には向きません!」
ネイルはあっさりアンドレ王子を捨て、スカイ王子にねっとりした笑顔を向けた。
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