最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する

竜鳴躍

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醜い人

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「門番や騎士を洗脳しているところを記録したよ。彼らには悪いことしたけどね。ルイーダも操ってたんだろ、自分が鳥居千歳だと言い張って。花沢百合さん。君は僕じゃなく、酒田くんのストーカーだったんだな。」

「もう逃げられない。諦めろ。」




「……………は。」

グロスの顔が醜く歪む。


「!」
何かが来る。


「許せない。私から酒田くんを二度までも奪って!酒田くんは私の運命の王子様なの!今度こそ結ばれるはずだったのに………。お前なんか邪魔だっ!しぶとい害虫めっ!」


グロスの目が光り、カナリアが短い声をあげた。

「カナリア………?」


「ふふ、お前ばかりずるいもの。その王子は私がもらう。」

カナリアはふらふらとグロスのもとへ。
目もうつろでぼうっとしているようだ。

「カナリアっ」

「グロス様。あいつが憎いんですか?だからルイーダにもこうして、あいつの両親をころさせたんですか?」

カナリアの口が紡ぐ。

「そうよ。酒田くんは優秀なのに公爵家が継げないなんてかわいそうでしょ?あいつの両親がオメガ以外を産んだら継げないじゃない。あいつも苦しめられそうだし、だから殺させたのよ。産む前に殺さなきゃ意味ないからね。」

「苦しめるだけじゃなくてころすことにしたんですね。」

「あいつはしぶとくて、苦しまなかったからね。ねぇ、私にキスして。その方が苦しめられそうだわ。」


「グロス様。」


カナリアの唇が近づく。




『ロック。』

「!」

グロスの体に魔法の鎖が繋がる。

じゃらりと重く冷たい感触に、グロスは狼狽えた。


「お前にキスなんて、死んでもごめんだ。」


「馬鹿な!なぜっ」

「私もLV99なんだよね。」
ミリオンの隣に並ぶ。

「お前は城に来た時点で、こちらの手の内だったということだ。」

ミリオンは右手をあげる。


さあっと景色が変わる。



「!なっ、なんだっ」


そこは、城内の法廷の中。

陛下や各貴族の当主、中央教会の聖王がずらりと並ぶ。



「自白してくれて、ありがとう。」

全てミリオンの手の内で。

法廷の中だったなんて。



「ぐぬぬ………!」

髪をくしゃくしゃにかき混ぜて、血走った目で睨む。


「法に裁かれろ。」


キエエと叫ぶグロスは、自殺防止に猿轡を噛まされ、縛り上げられた。

ギロチンにかけられたあと、魂さえ殺すように、聖火で火葬され、消滅するだろう。
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