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アルカナとバニラ
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王太子アルカナは愛しの婚約者の様子に、どうやって接したらいいか迷っていた。
彼女の悩みは分かる。
隣国の女王の夫になることを早々に決めたルナリアは、ある意味一番正解で、幸せだと思う。
花を飾ったガーデンテーブルにアフタヌーンティーのセット。
向かい合って、沈黙に耐えられず、アルカナは紅茶を一口飲んで、ティーセットを置いた。
「君の悩みは分かるよ。私のせいだね。不甲斐なくてごめん。」
「そんなことはっ。」
勇者のバディである第三王子・カナリア。
そして既に勇者がその妃になるだろうと囁かれている。
もうすぐ開かれる夜会で発表されれば、おそらく、その声はもっと強くなる。
勇者は類い希なる力で私たち守ってくれるだけではない。
私たちの暮らしを良くするための画期的な取り組みを提案し、実績を作っている。
本人たちにそんなつもりはないとしても、周りは思うのだ。
第三王子夫妻こそ、将来の王と王妃に相応しい。
私たちだって、優秀だと自負している。
バニラだって王妃教育も終えた優秀な令嬢だ。
ミリオンが規格外なだけなのだ。
「彼らにそんなつもりはないよ。人と自分を比べても仕方ない。私も弟に嫉妬したことがある。私たちは歴代の中では上位に入るほどだと思う。立派にこなしていけばいいんだ。私たちならできるよ。」
「はい………。」
こんな醜い想いは捨てなきゃ。
アルカナ様のためにも。
「教会に寄ってください。」
バニラは馬車に乗ると、御者にお願いをした。
吸い込まれるように、馬車は公爵領の教会へ入って行った。
彼女の悩みは分かる。
隣国の女王の夫になることを早々に決めたルナリアは、ある意味一番正解で、幸せだと思う。
花を飾ったガーデンテーブルにアフタヌーンティーのセット。
向かい合って、沈黙に耐えられず、アルカナは紅茶を一口飲んで、ティーセットを置いた。
「君の悩みは分かるよ。私のせいだね。不甲斐なくてごめん。」
「そんなことはっ。」
勇者のバディである第三王子・カナリア。
そして既に勇者がその妃になるだろうと囁かれている。
もうすぐ開かれる夜会で発表されれば、おそらく、その声はもっと強くなる。
勇者は類い希なる力で私たち守ってくれるだけではない。
私たちの暮らしを良くするための画期的な取り組みを提案し、実績を作っている。
本人たちにそんなつもりはないとしても、周りは思うのだ。
第三王子夫妻こそ、将来の王と王妃に相応しい。
私たちだって、優秀だと自負している。
バニラだって王妃教育も終えた優秀な令嬢だ。
ミリオンが規格外なだけなのだ。
「彼らにそんなつもりはないよ。人と自分を比べても仕方ない。私も弟に嫉妬したことがある。私たちは歴代の中では上位に入るほどだと思う。立派にこなしていけばいいんだ。私たちならできるよ。」
「はい………。」
こんな醜い想いは捨てなきゃ。
アルカナ様のためにも。
「教会に寄ってください。」
バニラは馬車に乗ると、御者にお願いをした。
吸い込まれるように、馬車は公爵領の教会へ入って行った。
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