最強で美人なお飾り嫁（♂）は無自覚に無双する

ルイーダの怒り

「なんだ、これっ！」


新聞を見て、ルイーダは思わずくしゃっと力を入れた。

握った個所から歪に歪み、皺がよる。



はっとなり、新聞を整える。



千歳を突き飛ばしてその命を奪った女が讃えられるなんて。


みんな外面に騙されているのだ。


あの女は、前世のときも外面がよかった。






「ルイーダっ！新聞を見た！？」


公爵家の庭にグロス様が入ってくる。



「う、うんっ。許せない…！」


「許せないよね、ねえ、このままではいけないよ。もうアレを使っちゃわない？」



大丈夫。

君は従弟だもの。


可愛い可愛い、守ってあげたくなるような子どもを疑ったりはしない。



第一、証拠なんて出ないよ。

そうでしょう？


この世界で明かされていない毒だもの。




「それに僕、怖い……。いつあの人が本性を現して、僕を襲うんじゃないかって。いつ、前世の記憶を取り戻すか不安で。」

「グロス様…。」


小さな体にグロスがしなだれる。



「分かった。僕やるよ。今度こそ二人、幸せにならなくちゃ。」


「嬉しい。」




魔女は本当はそこにいる。