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後悔しかない結婚式
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伯爵家の実権はマチルダに握られた。
言動はアレだが、意外と金遣いは荒くないし、素直で可愛らしい。
貴族同士の駆け引きや社交は向いていないが、領民とも仲良くなっている。
マチルダに飽きても、もう浮気は許されない。
人生の墓場だ………。
諦めて式場に入り、神の前で愛を誓わされる。
「おめでとう。マチルダ様。ミリオンです。」
目の前にミリオンが現れた。
ミリオン。
勇者ミリオン!
私の愛する人!
妻だった人!
隣の金髪碧眼の顔は見覚えがある。
第三王子のカナリア殿下。
臣下の礼をとる。
「よい。今日は其方の式ではないか。私は、彼のエスコートで来ただけだからね。」
その声に聞き覚えがある。
ミリオンが公爵家から連れてきた…………。
「勇者が私の従兄のミリオンだったのね。言ってくれたらよかったのに。お母様達が言うような人じゃないじゃない。素敵だわ。でもふふ、ごめんなさあい。愛されるのは私の方だったみたい♡」
マチルダは夫の腕に腕を絡ませて、今度はカナリアを見た。
「カナリア殿下は男がよかったのねえ。グラマラスで女性の魅力に溢れる私じゃダメだったわけね。」
「マチルダ様は旦那さまに夢中なんだね。」
「この人姿は素敵だから磨き甲斐があるの。子どももきっと可愛いだろうし。それに私がお尻に敷けるから楽しいって気づいたのよ?」
「はは………。」
私はまるで着せ替え人形。
アクセサリーだ。
「領地経営も私がしてるの!最初は税金をあげればって思ったんだけど、みんな優秀だし、特産品を作ってお金持ちになるわ!」
ミリオンが目を丸くして。
マチルダを労い、共同事業の約束をしている。
目の前が涙で滲んだ。
本当なら私たちが………
手に手を取り合って、領地経営をしていたんだ。
「おや、伯爵は嬉しくて涙が出ているようだ。」
違う。
私には分かる。
王子はミリオンを………。
「いやだわ、涙もろいなんて。ふふ、可愛い♡」
正装の裾が翻り、美しい後ろ姿は遠くなる。
もう二度と、手に入らない。
言動はアレだが、意外と金遣いは荒くないし、素直で可愛らしい。
貴族同士の駆け引きや社交は向いていないが、領民とも仲良くなっている。
マチルダに飽きても、もう浮気は許されない。
人生の墓場だ………。
諦めて式場に入り、神の前で愛を誓わされる。
「おめでとう。マチルダ様。ミリオンです。」
目の前にミリオンが現れた。
ミリオン。
勇者ミリオン!
私の愛する人!
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臣下の礼をとる。
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マチルダは夫の腕に腕を絡ませて、今度はカナリアを見た。
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「マチルダ様は旦那さまに夢中なんだね。」
「この人姿は素敵だから磨き甲斐があるの。子どももきっと可愛いだろうし。それに私がお尻に敷けるから楽しいって気づいたのよ?」
「はは………。」
私はまるで着せ替え人形。
アクセサリーだ。
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違う。
私には分かる。
王子はミリオンを………。
「いやだわ、涙もろいなんて。ふふ、可愛い♡」
正装の裾が翻り、美しい後ろ姿は遠くなる。
もう二度と、手に入らない。
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