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フィッシュ伯爵の初恋
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「はあ、本当になんであんなのと結婚することになってしまったんだ。せっかく公爵家に申し入れたのに、あの子じゃなくてあんなのが来るなんて。同じなのは色だけじゃないか。」
主人のぼやきに、お茶を淹れながらセバスチャンは尋ねた。
「旦那さまは公爵家の方をお望みで?あの方はアルファですよ?」
ルイーダ様はまだ13歳。3年前はまだ10歳だ。
旦那さまはペドフィリアだったのか。
最悪だ。
「違う、違う。あそこにはもう一人いるだろう?名前も忘れたけど………。前公爵が存命の時にお茶会で何度か見たんだ。すごくかわいい子だった。一目ぼれなんだ。なのに………。」
は?
セバスチャンは目を点にする。
貴方の妻がその方ですが?
「…………あの、悪いことはいいません。奥様ともう少し向き合っていただけませんか?」
「はあ!?なんで私が!あんなの押しつけられて迷惑だ!」
「顔くらい、一度見てみては?絵姿と実物は違いますよ。」
「私は分かってる、大体絵姿の方が3割増しだっ。」
取り付く島もない。
亡き旦那さまたちは確かに一人息子の希望どおりの婚約を取り付けたというのに。
ミリオン様は旦那さまが嫌いで離縁するつもりだ。
あんな素晴らしい方がずっとこの家の奥様なら、いいのに。
だが、ミリオン様の意にそぐわぬ事もしたくない。
複雑だ………。
「このままでは白い結婚で離縁になりますよ。」
「はっ、あれはバカだから学園にも行ってなければ教育も受けていない。白い結婚理由の離縁制度など知るものか。」
ミリオン様はバカではない。優秀だ。
虐げられていたから学園に通えなかっただけで、おそらく高度な教育を受けている。
「もし、旦那さまが望んだ方だったらどうされてましたか?」
旦那さまは下卑た笑みを浮かべる。
「閉じ込めて誰にも見せない。一晩中抱いて、毎年子を孕ませるのもいいな………。」
ダメだこれは。
ミリオン様は逃げて正解だ。
セバスチャンは完全に主に見切りをつけた。
主人のぼやきに、お茶を淹れながらセバスチャンは尋ねた。
「旦那さまは公爵家の方をお望みで?あの方はアルファですよ?」
ルイーダ様はまだ13歳。3年前はまだ10歳だ。
旦那さまはペドフィリアだったのか。
最悪だ。
「違う、違う。あそこにはもう一人いるだろう?名前も忘れたけど………。前公爵が存命の時にお茶会で何度か見たんだ。すごくかわいい子だった。一目ぼれなんだ。なのに………。」
は?
セバスチャンは目を点にする。
貴方の妻がその方ですが?
「…………あの、悪いことはいいません。奥様ともう少し向き合っていただけませんか?」
「はあ!?なんで私が!あんなの押しつけられて迷惑だ!」
「顔くらい、一度見てみては?絵姿と実物は違いますよ。」
「私は分かってる、大体絵姿の方が3割増しだっ。」
取り付く島もない。
亡き旦那さまたちは確かに一人息子の希望どおりの婚約を取り付けたというのに。
ミリオン様は旦那さまが嫌いで離縁するつもりだ。
あんな素晴らしい方がずっとこの家の奥様なら、いいのに。
だが、ミリオン様の意にそぐわぬ事もしたくない。
複雑だ………。
「このままでは白い結婚で離縁になりますよ。」
「はっ、あれはバカだから学園にも行ってなければ教育も受けていない。白い結婚理由の離縁制度など知るものか。」
ミリオン様はバカではない。優秀だ。
虐げられていたから学園に通えなかっただけで、おそらく高度な教育を受けている。
「もし、旦那さまが望んだ方だったらどうされてましたか?」
旦那さまは下卑た笑みを浮かべる。
「閉じ込めて誰にも見せない。一晩中抱いて、毎年子を孕ませるのもいいな………。」
ダメだこれは。
ミリオン様は逃げて正解だ。
セバスチャンは完全に主に見切りをつけた。
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