わんこな庶務は魔王な生徒会長に憧れる

竜鳴躍

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熟年編

海は広いな大きいな

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南国の照り付ける太陽。

真っ青な空。

白い砂浜。


…………予定では、シュヴァリエとふたりっっっきりの旅行のはず、だったのだがな。



事情も分かるし、仕方ない。



「わぁぁ!すごい!海の底まで見える!!!」

「スケッチブック、スケッチブック!!」


ケイとグレイがきゃっきゃと砂浜で戯れている。



「怪我しないように気を付けるんだぞ!あと、結構波が荒いんだから!泳いだり遠くまで行くのは禁止!」

シュヴァリエが自分で仕立てたハイビスカス柄のおそろいのアロハシャツを着て、私たちは砂浜にいる。

子どもたちに声をあげているのはシュヴァリエ。

ビーチパラソルを刺したり、寝そべることができるチェアを用意しているのは、私、ゼロ=サンダルフォンである。



なぜ、子連れでバカンスに来ることになったかというと。





「オリエ、これが海なんだね!」

「そうですよ、この広い広い海で世界はつながっているのです。」


海を見たい。

水族館に行ってそうつぶやいたヒューズ殿下の希望を叶えるため、私たちのいちゃこら旅行に同行させて、という話になったからです。



「オリエ?約束は分かってる、な?」


「もちろん、分かってますよ。二人の邪魔はしません。子どもたちは俺が見ていますから。どうぞイチャイチャしてください。」


「まあまあ、いいじゃないですか。私もケイがあんなにはしゃいでいるの、嬉しいし。あんまり希望を言わない子だけど、海はやっぱり楽しいんだなって分かってよかったなぁって。」


「家族で来ることになったのを嫌だと思っているわけじゃない…。」

「ゼロもすねることあるんですね。」


「………。散歩に行くぞ。」


「……はい。??」




ゼロに手を引かれていくのを、オリエは半ばあきれる様に手をひらひらさせて見送った。


帰って来た時に、果たしてシュヴァリエは自分で歩けているのだろうか。



お昼のバーベキューの準備はこちらでやっておこう。
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