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熟年編
ヒューズは他を知らないだけ
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「……いかないで。僕を捨てないで。」
「ヒューズ…。」
泣きながら縋りつくヒューズに、もうオリエは話しかける言葉はなかった。
オリエにだって、ヒューズに対する情はある。
潤んだ瞳で請われて、拒否できない。
でも、彼を不幸にしたくない。
「陛下、ヒューズの世界は狭い離宮だけ。最近は俺しかいなかったんです。だから、選択肢を持ってほしいです。」
「わかった。でも、ヒューズ君には君が必要なようだ。離宮の生活が好きなようだったから、いつでも遊びに来ていいとは言ったが、公表するなら、望むなら城で暮らしてほしいと思う。だが、二人を離せない。」
陛下は、ゼロに目配せした。
「オリエ、離れるのではなく。見守ったらどうだ?」
「そうだよ、オリエ。広い世界を見て、それでもオリエが好きってヒューズが言うなら、考えてみてもいいんじゃない?」
シュヴァリエだって、オリエには幸せになってほしい。
あの、オリエのヒューズをみる目。
あの目は覚えがある。
自分をみるゼロの目だ。
うぬぼれじゃないのなら、その目は、愛している者を見る目。
「―――分かったよ。ヒューズ。俺も行くから、城で暮らそう。お兄さんと一緒だ。そして、いっぱい色んな人を見て、それでもヒューズが俺の嫁になりたいっていうんだったら、俺も考える。それでいいか?」
「うん!」
それから先は早かった。
サンダルフォン家の力を総動員して、全ての責任と悪は前陛下に。(実際そうだが)
ヒューズは悲劇の王弟として公表された。
何も知らない無垢な王弟を利用したい者が群がってくるが、それはみな、オリエが交通整理していた。
「ヒューズ…。」
泣きながら縋りつくヒューズに、もうオリエは話しかける言葉はなかった。
オリエにだって、ヒューズに対する情はある。
潤んだ瞳で請われて、拒否できない。
でも、彼を不幸にしたくない。
「陛下、ヒューズの世界は狭い離宮だけ。最近は俺しかいなかったんです。だから、選択肢を持ってほしいです。」
「わかった。でも、ヒューズ君には君が必要なようだ。離宮の生活が好きなようだったから、いつでも遊びに来ていいとは言ったが、公表するなら、望むなら城で暮らしてほしいと思う。だが、二人を離せない。」
陛下は、ゼロに目配せした。
「オリエ、離れるのではなく。見守ったらどうだ?」
「そうだよ、オリエ。広い世界を見て、それでもオリエが好きってヒューズが言うなら、考えてみてもいいんじゃない?」
シュヴァリエだって、オリエには幸せになってほしい。
あの、オリエのヒューズをみる目。
あの目は覚えがある。
自分をみるゼロの目だ。
うぬぼれじゃないのなら、その目は、愛している者を見る目。
「―――分かったよ。ヒューズ。俺も行くから、城で暮らそう。お兄さんと一緒だ。そして、いっぱい色んな人を見て、それでもヒューズが俺の嫁になりたいっていうんだったら、俺も考える。それでいいか?」
「うん!」
それから先は早かった。
サンダルフォン家の力を総動員して、全ての責任と悪は前陛下に。(実際そうだが)
ヒューズは悲劇の王弟として公表された。
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