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熟年編
浮気疑惑
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うるうる目を潤ませながらしょぼんとしている少年を前に、リリーナは戸惑った。
いつも冷静で判断力の正確さはさすがサンダルフォン家の血筋と評される賢妃なのに、頭が働かない程度には。
だって、どこからどうみても、頭の先からつま先まで自分の夫を若くしてちっさくしたのがそこにいたのだから。
「デュラン……さま?違いますわよね?????」
「えっ!なに!違う!違うよ!!いくらなんでもその子と俺とでは年が近いじゃないか!精通もまだの子どもに子どもが作れるわけないし、大体俺は君一筋なんだから!!!!!」
……そうか、それもそうよね。と、リリーナはブツブツ言いながら、えっ、でもそうしたらもしかして。とつぶやいている。
リリーナ様が言いたいことはわかる。
ケヴィンも、この子の顔をみたら、一瞬疑った。
自分の父親である陛下が、どっかで子どもをこさえたのではないか。と。
でも、よくよく考えたら、陛下がそういうことをなさるとはとても思えない。
そういうことができる男だったなら、何も自分の母が、当時特例で入団を認められた騎士を辞してまで、親友である王妃のために側室にあがる必要はなかったはずなのだ。
「………あの。僕の顔、そちらのお兄さんと似ているんですか?」
かわいそうに頬に涙の乾いた後と、まだ目の中に涙をためて、少年は見上げている。
顔が似ているのが分からない?
生まれてから一度も鏡を見たことがないのだろうか。
「あなたたち、いつまでそんな隅っこで何をやっているの。デュラン、あなたは今日の主役なのよ?」
そこに王妃がやってくる。
カーテンをめくって中に入り、そして、王妃もやっぱり固まった。
「………離婚よ。離婚してやるわ。」
「待ってください!落ち着いて!!お母さま!まだそうと決まったわけではありません!」
「そうですよ!父親に向かって言うのもなんですが、あのヘタレにそんな甲斐性があるものですか!」
「離してちょうだい!デュラン!ケヴィン!ぶちのめさないと気が済まないわ!」
「お待ちください!!!!王妃殿下!!!!!!!!!」
そこへ現れたのは、いなくなったヒューズを探していたオリエだった。
いつも冷静で判断力の正確さはさすがサンダルフォン家の血筋と評される賢妃なのに、頭が働かない程度には。
だって、どこからどうみても、頭の先からつま先まで自分の夫を若くしてちっさくしたのがそこにいたのだから。
「デュラン……さま?違いますわよね?????」
「えっ!なに!違う!違うよ!!いくらなんでもその子と俺とでは年が近いじゃないか!精通もまだの子どもに子どもが作れるわけないし、大体俺は君一筋なんだから!!!!!」
……そうか、それもそうよね。と、リリーナはブツブツ言いながら、えっ、でもそうしたらもしかして。とつぶやいている。
リリーナ様が言いたいことはわかる。
ケヴィンも、この子の顔をみたら、一瞬疑った。
自分の父親である陛下が、どっかで子どもをこさえたのではないか。と。
でも、よくよく考えたら、陛下がそういうことをなさるとはとても思えない。
そういうことができる男だったなら、何も自分の母が、当時特例で入団を認められた騎士を辞してまで、親友である王妃のために側室にあがる必要はなかったはずなのだ。
「………あの。僕の顔、そちらのお兄さんと似ているんですか?」
かわいそうに頬に涙の乾いた後と、まだ目の中に涙をためて、少年は見上げている。
顔が似ているのが分からない?
生まれてから一度も鏡を見たことがないのだろうか。
「あなたたち、いつまでそんな隅っこで何をやっているの。デュラン、あなたは今日の主役なのよ?」
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「………離婚よ。離婚してやるわ。」
「待ってください!落ち着いて!!お母さま!まだそうと決まったわけではありません!」
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「離してちょうだい!デュラン!ケヴィン!ぶちのめさないと気が済まないわ!」
「お待ちください!!!!王妃殿下!!!!!!!!!」
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