わんこな庶務は魔王な生徒会長に憧れる

竜鳴躍

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子ども時代の終わり

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「………えっ。ルナ様の馬車が。」


夏休み。


ルナ様御一家が避暑地へ向かう途中、崩落事故に巻き込まれ、シャイニング伯爵家の御当主であるルナ様のお父様も、お母様も亡くなられてしまった。

伯爵家にはルナ様しかいなかったため、何かあった場合の当主は叔父になる。

卒業までは学園には通わせて貰える。

でも、頼りにしていた婚約者は、後ろ盾をなくしたルナ様と婚約解消した。


あっさりと華麗に捨てたのだ。


貴族としては正しいかもしれないけど、許せない。


思えば、親が決めた婚約でも、ゼロ先輩たちはそれなりに仲良くしてる。

でも、ルナ様は、私達が婚約者の存在を知らなかったくらい、元々婚約者とは疎遠だった。

ならば、情など一切ないだろう。それなら、仕方ないのか。
でも。


ゼロ先輩と同じように、頭が回るルナ様。

見た目は女神なのに、時々毒舌で。

ふふっと笑う顔がゼロ先輩に重なる。




葬儀に駆けつけると、黒い装いの集団の中に、縁戚関係のゼロ先輩とクラウド様もいらしていた。
レイナ様と、金髪の美しい女性も一緒だ。

久しぶりに見たルナ様の顔色は色がない。


「私、わたし…………っ。」

「君だけでも無事で良かった。ルナ。」


「ルナ、私達何か飲み物を持ってくるわ。」
泣き続けるルナ様のために、レイナ様たちが外す。

「私、私も死ぬはずだったのよ。お父様お母様が死んで、私も大怪我して……っ。」

両手を見て、震える。

「私、しにたくないって思ったの!そしたら、体が光って!傷が………。」



何ていうことだ。


「何を荒唐無稽な。ルナ、お前は疲れているんだ。」

「そうだ、そんなことは誰にも言ってはならない。」


ゼロ先輩、クラウド様。だめだよ。


「ルナ様、私はルナ様を信じますよ。」

「しゅ、シュヴァリエくん……っ。」


親指の腹を歯で噛み切る。


ルナ様は頷いて、私の傷を癒やした。



ゼロ先輩たちが驚く。



「お守りします。ルナ様。先輩たちも、みんなで守りましょう!この力は皆の秘密に。」


ハッとなったオリエが提案した。


「シュヴァリエ。彼女と婚約しろよ。彼女、伯爵家には居づらいだろう。お前にはまだ婚約者はいないし、辺境伯は伯爵より上だ。お前なら、守ってやれるだろう?」
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