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終章 魔王と勇者
卒業式
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その日、英雄高校はざわついていた。
しばらく学校に来ていなかった栗栖が来る。
リモートで単位を修得し、大学もちゃんと受験して、合格したという。
ここから離れたところにある、私立の難関大学。
そして、彼の体の内側は、『女性』でもあって、最近戸籍を女性に変えたという。
男性の方の生殖機能がなかったらしい。
「あれ…誰だ?」
「可愛い…。あんな子、いたっけ。」
みんなが振り返る。
清楚なセーラー服。
短めの黒髪は風に揺れる。
「栗栖くん!」
保健室のミカ先生が手を振る。
出須先生に付き添われる。
「何も、そっちの制服じゃなくてもよかったんだぞ?」
「俺も、どうしようか迷ったんですけど…。どうしても、見たいって。いうから…っ。」
恥ずかしそうに、もじもじする奥には、先日一足先に卒業式を終えた婚約者が見守っている。
「変態…。」
ミカ先生にジト目でなじられて、アイスはウっとなった。
ーーーーーミカ先生と、出須先生って、ミカエルとハデスだよな。
俺のこと、見守ってくれてたんだ。
今回も。
なんだか、うれしくなる。
でも、寂しい。
もっと早く記憶を思い出して、もっと早く。そしたら、もっと先生たちとお話できたのに。
「ミカ先生、出須先生。卒業しても先生たちとお話したいから、LINE交換したいです!」
2人とも了承してくれた。
ーーーーーー卒業式が終わり。
最後、同級生が集まってきて、一緒に写真を撮った。
「全然、わかんなかった。修学旅行も一緒だったし、一緒に着替えもしたのに。今考えるとやばいけど、お前はお前だし、体なんて関係ないわ。」
って言ってくれる友達もいてくれて、うれしかった。
さあ、おうちに帰って。
今度は結婚式の準備をしなくっちゃ。
「…って。なんでそんなにイライラしてるの?」
「だって、修学旅行の時は、あいつらと雑魚寝したんでしょ!一緒に大浴場入ったんでしょ!プールの時とか体育の時に一緒に着替えたり、上半身とか裸見せたんでしょ!!!」
「…おま、そんなこと言ってもしょーがないじゃん。」
「今のクリスは女の子なんだよ!?」
「あのね、女の子じゃないから。男のつもりだから!書類上だけのつもりだから。」
ちゃんとついてるんだから!小さいけど!
「それに、下半身を見せたことは一度もないからな。だってこんな小さいの、コンプレックスだったもん。」
…それでも、釈然としないんですけど。
「イライラしたから、うちに帰ったらトレーニングルームに行く…。」
「イライラ直れ―直れー。」
腕にぎゅうっとしがみついて、呪文を唱えると、あら不思議。
しばらく学校に来ていなかった栗栖が来る。
リモートで単位を修得し、大学もちゃんと受験して、合格したという。
ここから離れたところにある、私立の難関大学。
そして、彼の体の内側は、『女性』でもあって、最近戸籍を女性に変えたという。
男性の方の生殖機能がなかったらしい。
「あれ…誰だ?」
「可愛い…。あんな子、いたっけ。」
みんなが振り返る。
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短めの黒髪は風に揺れる。
「栗栖くん!」
保健室のミカ先生が手を振る。
出須先生に付き添われる。
「何も、そっちの制服じゃなくてもよかったんだぞ?」
「俺も、どうしようか迷ったんですけど…。どうしても、見たいって。いうから…っ。」
恥ずかしそうに、もじもじする奥には、先日一足先に卒業式を終えた婚約者が見守っている。
「変態…。」
ミカ先生にジト目でなじられて、アイスはウっとなった。
ーーーーーミカ先生と、出須先生って、ミカエルとハデスだよな。
俺のこと、見守ってくれてたんだ。
今回も。
なんだか、うれしくなる。
でも、寂しい。
もっと早く記憶を思い出して、もっと早く。そしたら、もっと先生たちとお話できたのに。
「ミカ先生、出須先生。卒業しても先生たちとお話したいから、LINE交換したいです!」
2人とも了承してくれた。
ーーーーーー卒業式が終わり。
最後、同級生が集まってきて、一緒に写真を撮った。
「全然、わかんなかった。修学旅行も一緒だったし、一緒に着替えもしたのに。今考えるとやばいけど、お前はお前だし、体なんて関係ないわ。」
って言ってくれる友達もいてくれて、うれしかった。
さあ、おうちに帰って。
今度は結婚式の準備をしなくっちゃ。
「…って。なんでそんなにイライラしてるの?」
「だって、修学旅行の時は、あいつらと雑魚寝したんでしょ!一緒に大浴場入ったんでしょ!プールの時とか体育の時に一緒に着替えたり、上半身とか裸見せたんでしょ!!!」
「…おま、そんなこと言ってもしょーがないじゃん。」
「今のクリスは女の子なんだよ!?」
「あのね、女の子じゃないから。男のつもりだから!書類上だけのつもりだから。」
ちゃんとついてるんだから!小さいけど!
「それに、下半身を見せたことは一度もないからな。だってこんな小さいの、コンプレックスだったもん。」
…それでも、釈然としないんですけど。
「イライラしたから、うちに帰ったらトレーニングルームに行く…。」
「イライラ直れ―直れー。」
腕にぎゅうっとしがみついて、呪文を唱えると、あら不思議。
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