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新章(アリスの結婚編)
雪解け
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最近、普及してきたテレビをつけると、ニュースをやっていた。
------------------------------------------------------------------------------------
王子による公爵夫人への暴行で、我が国からも訴えられていたフルール王国ですが
夫人を慕う各国からの経済制裁を受け、王族の責任を問う声が各地で起こっております。
これはもう『革命だ』という声もあり、
国民は、スノーフォレストのような民主制を望んでいます。
…!
たった今、最新のニュースが入ってきました!
今、フルール王国の王制が廃止となりました!無血革命です!!!
王族の排斥により、各国は経済制裁を解除するとの声明を発表しました!
今も苦しんでいる公爵夫人。みんなあなたの味方です。
快復を心よりお祈りしております。
-------------------------------------------------------------------------------------
「…そっか。」
クリスは、どこかぼーっとしている。
「王族は過去の罪も全部調べ上げられて、幽閉だったり、処刑だったり、いろいろ。少なくとも、一生あの国の限られた空間からは出られない。そういうことになったそうだよ。」
アリスが、部屋に入って来て補足した。
「キャッツアイ、アヴニール。お母さまへ。」
アイスに背中を包まれ、振り返る。
キャッツアイが抱える箱の中には、いっぱいの手紙。
「フルール王国で、あの時つかまっていた女性たちや、病院で話をした女性たち。国内外の人たちからの手紙です。
助けてくれて、ありがとうって。これまで、団長が助けた人たちや、友人たちからの手紙ですよ。」
ぽろっと、目から涙がこぼれる。
「冒険者ギルドが集めてくれました。」
手紙の箱を受け取る。
「それとお母さま。これ…。」
「これーーーーーーーー。」
見間違えようはずもない。
就職できなくて、冒険者になって。まだ、自分に自信がなかったころ。
自分の在り方に悩んで悩んで、自分の価値を見出せなくて、苦しんで傷ついていたとき。
そんなときに使っていた、冒険者になって初めての剣。
「冒険者の人が取っててくれたんだって。ちゃんと直してるって。」
箱をアイスに渡して、剣を抱きしめる。
「…俺、つよくなる。忘れられるわけじゃないけど、ちゃんと生きていくから。ありがとう、ありがとうみんな。」
雪が解け、手折られた竜胆の花は、新しい芽を吹かせようとしていた。
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王子による公爵夫人への暴行で、我が国からも訴えられていたフルール王国ですが
夫人を慕う各国からの経済制裁を受け、王族の責任を問う声が各地で起こっております。
これはもう『革命だ』という声もあり、
国民は、スノーフォレストのような民主制を望んでいます。
…!
たった今、最新のニュースが入ってきました!
今、フルール王国の王制が廃止となりました!無血革命です!!!
王族の排斥により、各国は経済制裁を解除するとの声明を発表しました!
今も苦しんでいる公爵夫人。みんなあなたの味方です。
快復を心よりお祈りしております。
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「…そっか。」
クリスは、どこかぼーっとしている。
「王族は過去の罪も全部調べ上げられて、幽閉だったり、処刑だったり、いろいろ。少なくとも、一生あの国の限られた空間からは出られない。そういうことになったそうだよ。」
アリスが、部屋に入って来て補足した。
「キャッツアイ、アヴニール。お母さまへ。」
アイスに背中を包まれ、振り返る。
キャッツアイが抱える箱の中には、いっぱいの手紙。
「フルール王国で、あの時つかまっていた女性たちや、病院で話をした女性たち。国内外の人たちからの手紙です。
助けてくれて、ありがとうって。これまで、団長が助けた人たちや、友人たちからの手紙ですよ。」
ぽろっと、目から涙がこぼれる。
「冒険者ギルドが集めてくれました。」
手紙の箱を受け取る。
「それとお母さま。これ…。」
「これーーーーーーーー。」
見間違えようはずもない。
就職できなくて、冒険者になって。まだ、自分に自信がなかったころ。
自分の在り方に悩んで悩んで、自分の価値を見出せなくて、苦しんで傷ついていたとき。
そんなときに使っていた、冒険者になって初めての剣。
「冒険者の人が取っててくれたんだって。ちゃんと直してるって。」
箱をアイスに渡して、剣を抱きしめる。
「…俺、つよくなる。忘れられるわけじゃないけど、ちゃんと生きていくから。ありがとう、ありがとうみんな。」
雪が解け、手折られた竜胆の花は、新しい芽を吹かせようとしていた。
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