【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

新章（アリスの結婚編）

ざまあの日

きらびやかに装った若い男女が集う。

その中の意地の悪そうな少女は、派手なドレスを着て、学年で一番かっこいい男子にエスコートされていた。


私のはけ口の、豚ちゃんたちはどこかしら。

惨めな姿が見たい。


キョロキョロしていると、綺麗な薄茶色の髪のかっこいい男子にエスコートされて、黒髪の美少女が入ってきた。


誰かしら。

あんな子たち、見たことないわ。

だいたい、あんなかっこいい男子がいたなら、私のエスコート役にしたのに。



「ねえ、あなた。ここは貴族のパーティーなの。見ない顔だわ。部外者は出ていきなさい!」


みんなに聞こえるくらい、大きな声で、凛として言ってやったわ！



「あの、私たち。ヘンゼルとグレーテルですわ。」


えっ。


「ヘンゼルとグレーテル!?」



ワッとみんなが二人に集まる。

私のエスコート役も、あの二人に見とれて!

面白くないわ!!


「どうやって痩せましたの?」

「すごいわ！」

「クリスおばさまに鍛えていただいたのです。」


「まあ、あの竜胆の君!」

やはり、血は争えませんね。

など、二人をチヤホヤ。



なによ！



「みなさま、お忘れではなくて?　見た目が変わっても、中身は同じですわ!　きっとすぐまた――」


「そうだね、中身が大事だよね。」


人混みが分かれるように現れたのは、異国の王子たち。

茶色の髪と瞳で褐色の肌の、サウス王国の逞しい凛々しい王子たちは、ヘンゼルとグレーテルの前に立った。


「どうか僕たちとダンスを。」

「君たちの心は美しい。」


「「はい…。」」



「お待ちになって！殿下たちはご存知ないでしょうが、二人は本当に最近まで醜く太って」

「僕たちは心をほめているんだけど？」

「君の心は醜いね。君の醜い心を全部吐き出してごらん？」



そうよ！
みんな私を褒めなさい!讃えなさい!
他の者は引き立て役よ！
男の子はアクセサリー!
私よりちやほやされるなんて、許さないんだから!!!



こんな事、ぶちまけるつもりじゃなかったのに。
何故!?


さあっと人はいなくなり、私は破滅した。





美しい王子たちと踊る、双子の兄妹。



そして、舞台では、彼らの美しい従姉妹が兄王子の婚約者として、紹介されていた。