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新章(アリスの結婚編)
仮面舞踏会(キャッツアイ×アヴニール)2
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仮面舞踏会に潜入した。
お互い素性は分からないけれど、ある程度の爵位がなければ参加できないことになっている。
アヴニールは、自分をエスコートするキャッツアイを見た。
目元が隠れているけれど、スッとした背筋と身のこなしのスマートさ、長身のスタイルの良さや品位は隠せない。
きっと、ハンサムなんだろうなというのは、なんとなくわかるものだ。
俺も大人になったら、こんな感じになれるのかなぁ…?と思うけれど、母親似の自分は、どうあがいても母親のような感じにしかならない気がする。
お母さまよりは身長が高くなりそうだから、そこだけはちょっと期待。
アヴニールが周囲の気配に気を配っている間に、
キャッツアイは会場の様子をみて、情報を取れそうな年上の女性の集団にあたりをつけた。
着ているドレスは上物だが、男漁りに来ているのだろう、欲求不満が見て取れる、少し大胆なデザインだ。
高位貴族の女主人だ。
「これはこれは、美しいご婦人方に出会えるなんて、私はなんて幸運だ。」
「あらいやだ、こうみえてもおばさんですのよ?そんなことお世辞でもおっしゃっていただけるなんて、何年振りかしら。」
「あなたの隣の、パートナーに怒られちゃいますわよ?」
「私たちのパートナーは、ねえ?私たちそっちのけですけどね?」
「ははは、彼女は実は、遠縁の娘で。どうしても仮面舞踏会を見てみたいというものですから。お目付け役として私がついてきたのですよ。……それに。私は、女性はあなた方くらいが美しいと思います。若い女性など、考えも足りない、話も深みもないし面白みがありません。」
もちろん、ベッドもね。
と付け加えると、女性たちはまあ、と頬を染めて、キャッツアイにしなだれかかる。
「ねぇ、わたくし、どうかしら?」
「あら、彼女より私の方が胸は大きいのよ?」
「胸がすべてじゃないですわよ?」
「ふふふ、お望みとあらば、全員お相手するのもできますよ? ほら、公爵家のあの方のように。ね?」
「ああ、公爵家のアリス様ねぇ!」
「そういえば、元グレイス侯爵家の遠縁のグロリア伯爵家でしたっけ?なんかよく怖いこと言ってますわね。」
「怖いこと?」
「うふふ、ここだけの話ですわよ?伯爵には、年頃の美人の娘さんがいらっしゃるのですわ。あれだけ抱えるのだから、あと一人くらい増えたってかまわないだろうって。いろいろ作戦を考えているようですわよ?」
「さすがに4人目は難しいと思いますけどねぇ。」
「さすがに4人相手は私も厳しいなぁ…!」
おっと。旦那様方がこちらを見ているようだ。
「奥様方、残念ですが、旦那様はあなた方を離したくないようですよ。機会があれば、また…。その時はよろしくお願いしますね。」
彼女たちの手の甲にキスをして、紳士的に去る。
「グロリアか。」
「…どうしたの?」
「ほら、あいつだ。グロリア伯爵。あの感じ、立ち居振る舞い。お前はどう見る。ちなみに、俺はこれ以上近寄りたくない。」
「…あれは、玄人だと思う。お母さまほどじゃないけど、かなり強い。」
「犯罪を犯して首謀者のグレイス侯爵は処分を受けた。その仲間をしていた貴族の家も降格等、厳しい処分を受けている。だが、親族でもグロリアは加担した形跡がなく、お咎めはなかった。」
形跡がないって、不自然だよな。
「グレイス侯爵には、法の番人として、裏の騎士団を抱えていた。俺たちとは別の戦闘集団だ。お前のお母さまたちにつかまり、集団は解体されたが、死罪になったわけじゃない。そして、そこのトップは捕まっていない。秘密裏の組織だったから、全容が分からなかったんだ。」
「これ以上は調べられない。正式に部隊で調査しよう。」
そして、アリスに情報を飛ばそう。
どうやって、会場から自然に立ち去ろうかと考えていると、照明が一段と暗くなり、ムーディな曲調に変わった。
そのタイミングでともにいた男女が、体を寄せ合いダンスを踊りながら、深い口づけをかわしている。
(失敗した…!)
もっと早く去るべきだった…。
そう思っていると、グロリア伯爵が美しい女性とチークを踊りながら近づいてくる。
「どうされましたか? あなた方も楽しみに来られたのでしょう?」
怪しんでいる様子に、仕方なく。
「……!!」
アヴニールの腰を抱き、チークを踊りながら、深い口づけを。
キャッツアイは後で、自己嫌悪に陥ったらしい。
お互い素性は分からないけれど、ある程度の爵位がなければ参加できないことになっている。
アヴニールは、自分をエスコートするキャッツアイを見た。
目元が隠れているけれど、スッとした背筋と身のこなしのスマートさ、長身のスタイルの良さや品位は隠せない。
きっと、ハンサムなんだろうなというのは、なんとなくわかるものだ。
俺も大人になったら、こんな感じになれるのかなぁ…?と思うけれど、母親似の自分は、どうあがいても母親のような感じにしかならない気がする。
お母さまよりは身長が高くなりそうだから、そこだけはちょっと期待。
アヴニールが周囲の気配に気を配っている間に、
キャッツアイは会場の様子をみて、情報を取れそうな年上の女性の集団にあたりをつけた。
着ているドレスは上物だが、男漁りに来ているのだろう、欲求不満が見て取れる、少し大胆なデザインだ。
高位貴族の女主人だ。
「これはこれは、美しいご婦人方に出会えるなんて、私はなんて幸運だ。」
「あらいやだ、こうみえてもおばさんですのよ?そんなことお世辞でもおっしゃっていただけるなんて、何年振りかしら。」
「あなたの隣の、パートナーに怒られちゃいますわよ?」
「私たちのパートナーは、ねえ?私たちそっちのけですけどね?」
「ははは、彼女は実は、遠縁の娘で。どうしても仮面舞踏会を見てみたいというものですから。お目付け役として私がついてきたのですよ。……それに。私は、女性はあなた方くらいが美しいと思います。若い女性など、考えも足りない、話も深みもないし面白みがありません。」
もちろん、ベッドもね。
と付け加えると、女性たちはまあ、と頬を染めて、キャッツアイにしなだれかかる。
「ねぇ、わたくし、どうかしら?」
「あら、彼女より私の方が胸は大きいのよ?」
「胸がすべてじゃないですわよ?」
「ふふふ、お望みとあらば、全員お相手するのもできますよ? ほら、公爵家のあの方のように。ね?」
「ああ、公爵家のアリス様ねぇ!」
「そういえば、元グレイス侯爵家の遠縁のグロリア伯爵家でしたっけ?なんかよく怖いこと言ってますわね。」
「怖いこと?」
「うふふ、ここだけの話ですわよ?伯爵には、年頃の美人の娘さんがいらっしゃるのですわ。あれだけ抱えるのだから、あと一人くらい増えたってかまわないだろうって。いろいろ作戦を考えているようですわよ?」
「さすがに4人目は難しいと思いますけどねぇ。」
「さすがに4人相手は私も厳しいなぁ…!」
おっと。旦那様方がこちらを見ているようだ。
「奥様方、残念ですが、旦那様はあなた方を離したくないようですよ。機会があれば、また…。その時はよろしくお願いしますね。」
彼女たちの手の甲にキスをして、紳士的に去る。
「グロリアか。」
「…どうしたの?」
「ほら、あいつだ。グロリア伯爵。あの感じ、立ち居振る舞い。お前はどう見る。ちなみに、俺はこれ以上近寄りたくない。」
「…あれは、玄人だと思う。お母さまほどじゃないけど、かなり強い。」
「犯罪を犯して首謀者のグレイス侯爵は処分を受けた。その仲間をしていた貴族の家も降格等、厳しい処分を受けている。だが、親族でもグロリアは加担した形跡がなく、お咎めはなかった。」
形跡がないって、不自然だよな。
「グレイス侯爵には、法の番人として、裏の騎士団を抱えていた。俺たちとは別の戦闘集団だ。お前のお母さまたちにつかまり、集団は解体されたが、死罪になったわけじゃない。そして、そこのトップは捕まっていない。秘密裏の組織だったから、全容が分からなかったんだ。」
「これ以上は調べられない。正式に部隊で調査しよう。」
そして、アリスに情報を飛ばそう。
どうやって、会場から自然に立ち去ろうかと考えていると、照明が一段と暗くなり、ムーディな曲調に変わった。
そのタイミングでともにいた男女が、体を寄せ合いダンスを踊りながら、深い口づけをかわしている。
(失敗した…!)
もっと早く去るべきだった…。
そう思っていると、グロリア伯爵が美しい女性とチークを踊りながら近づいてくる。
「どうされましたか? あなた方も楽しみに来られたのでしょう?」
怪しんでいる様子に、仕方なく。
「……!!」
アヴニールの腰を抱き、チークを踊りながら、深い口づけを。
キャッツアイは後で、自己嫌悪に陥ったらしい。
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