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新章 溺愛編
時は流れて…
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あれから、何年もたって、俺は35歳になった。
年相応になったと言いたいところだが、まだまだ20代で通用すると言われる。
渋みのあるナイスミドルに憧れる…。
騎士団長が引退し、新しく団長に就任したが、あまりやることは変わっていない。
お祖父様は、アリスに全ての技を伝授し、称号を譲り渡すと、安心したかのように去年亡くなった。
かつて、娘が駆け落ちして寂しい思いをしていたお祖父様は、孫やひ孫に囲まれて幸せそうに、天国へ旅立って行った。
「クリス。」
自室で書類に目を通していると、アイスが後から抱きしめてくる。
もう、何年経っても変わらないんだから。
「アイスはもう、仕事終わったんだ。」
「ああ。新製品も完成したぞ!」
もう47歳なのに、あまり変わらないアイス。
アイスはいろいろと衰えたくないらしくて、いろんな研究に手を出している。
マシューさんは共同研究者だ。
「この間は、アンチエイジングの基礎化粧品を作ったとか言ってたよな。んで、その前は育毛剤だっけ?
んで、今度は何を作ったの?」
そのうち不老不死の研究をしそうで怖い。
この間、イデンシガーとかインシヲトクテイシタとか分けわからないことをアリスと話してたし。
あんまり老けないのはいいけど、ずっと死なないのは、それはそれでいやかなあ。
「今度発明したのはですね、奥様も大喜びだと思いますよ?」
「もったいぶって何なのさ。」
「加齢によるアッチの元気をモリモリに治します!」
「……お前は、50前になってもまだそれか。」
本当にいい加減にしてほしい。
「だって、クリスが魅力的だから!」
「お前は何を言ってるんだ。俺だってもうおじさんだぞ。若いころじゃあるまいし。」
華だっていつか枯れるわ。
「そんなことはない。若いころは若いころの、今は今の魅力があるよ。年を重ねて熟成した上質なワインのような色気がある。」
「そんなこと言うのは、お前だけだ。」
「ご存じないのかな?我が国の騎士団長は、男も女も虜にする魔性と、あちこちで言われているんだぞ?」
そんなモテモテなクリスを取られたくないから、必死に若さを保っているのに。
「しーらない。」
椅子の後ろから降りてくる口づけに応えて。
「…んっ。」
自然とベッドに足が行くのは、もういつものこと。
「では、行ってまいります。」
「行ってきます!」
「行ってまいりますわ!」
「お兄さま、いってらしゃい!」
「いいなあ、俺も早くいきたいなあ。」
朝、可愛い妹と弟が見送ってくれる。
僕は15歳になり、レッドキングダム学園に入学した。
婚約者のルージュも同い年で、留学という形をとって我が家から一緒に通っている。
ザオラルは、年齢からするとまだ先なのだけど、神獣の成長は人間と違うらしい。
実は既に成獣なのだと言われ、そういえば身長も伸びて大人っぽくなったと思った。
ザオラルも学園に通いたいというので、こうして3人で学園することになったのだ。
学校の勉強は僕にとって新しい学びはないけれど、それでも友達を作って、世界を広げるのは必要なことだと。
他の人の考え方や、感じ方を知るのも大事なことだと。
そう、お父様とお母様に言われた。
「今朝も、アイスお父様とクリスお母様に会えませんでしたわ。」
「いつまでも仲良しだから仕方ないよ。」
「そうだね、ザオラル。でもそろそろ騎士団に行かないといけないから、お母さまはお父さまにぷりぷり怒りながら、ベッドから跳ね起きると思う。」
いつまでも元気なのはいいことだ。
だけど、あの調子だと、『もうできないと思ってたから油断してたらできちゃった子』が出来てしまう、そんな気がする。
それでも僕はいいけどね。
学園を卒業したら、すぐに結婚しよう。
お父様のように、大好きな奥さんたちを大切にしたい。
そして、二人のようにいつまでも仲良しの夫婦でいたいと思う。
年相応になったと言いたいところだが、まだまだ20代で通用すると言われる。
渋みのあるナイスミドルに憧れる…。
騎士団長が引退し、新しく団長に就任したが、あまりやることは変わっていない。
お祖父様は、アリスに全ての技を伝授し、称号を譲り渡すと、安心したかのように去年亡くなった。
かつて、娘が駆け落ちして寂しい思いをしていたお祖父様は、孫やひ孫に囲まれて幸せそうに、天国へ旅立って行った。
「クリス。」
自室で書類に目を通していると、アイスが後から抱きしめてくる。
もう、何年経っても変わらないんだから。
「アイスはもう、仕事終わったんだ。」
「ああ。新製品も完成したぞ!」
もう47歳なのに、あまり変わらないアイス。
アイスはいろいろと衰えたくないらしくて、いろんな研究に手を出している。
マシューさんは共同研究者だ。
「この間は、アンチエイジングの基礎化粧品を作ったとか言ってたよな。んで、その前は育毛剤だっけ?
んで、今度は何を作ったの?」
そのうち不老不死の研究をしそうで怖い。
この間、イデンシガーとかインシヲトクテイシタとか分けわからないことをアリスと話してたし。
あんまり老けないのはいいけど、ずっと死なないのは、それはそれでいやかなあ。
「今度発明したのはですね、奥様も大喜びだと思いますよ?」
「もったいぶって何なのさ。」
「加齢によるアッチの元気をモリモリに治します!」
「……お前は、50前になってもまだそれか。」
本当にいい加減にしてほしい。
「だって、クリスが魅力的だから!」
「お前は何を言ってるんだ。俺だってもうおじさんだぞ。若いころじゃあるまいし。」
華だっていつか枯れるわ。
「そんなことはない。若いころは若いころの、今は今の魅力があるよ。年を重ねて熟成した上質なワインのような色気がある。」
「そんなこと言うのは、お前だけだ。」
「ご存じないのかな?我が国の騎士団長は、男も女も虜にする魔性と、あちこちで言われているんだぞ?」
そんなモテモテなクリスを取られたくないから、必死に若さを保っているのに。
「しーらない。」
椅子の後ろから降りてくる口づけに応えて。
「…んっ。」
自然とベッドに足が行くのは、もういつものこと。
「では、行ってまいります。」
「行ってきます!」
「行ってまいりますわ!」
「お兄さま、いってらしゃい!」
「いいなあ、俺も早くいきたいなあ。」
朝、可愛い妹と弟が見送ってくれる。
僕は15歳になり、レッドキングダム学園に入学した。
婚約者のルージュも同い年で、留学という形をとって我が家から一緒に通っている。
ザオラルは、年齢からするとまだ先なのだけど、神獣の成長は人間と違うらしい。
実は既に成獣なのだと言われ、そういえば身長も伸びて大人っぽくなったと思った。
ザオラルも学園に通いたいというので、こうして3人で学園することになったのだ。
学校の勉強は僕にとって新しい学びはないけれど、それでも友達を作って、世界を広げるのは必要なことだと。
他の人の考え方や、感じ方を知るのも大事なことだと。
そう、お父様とお母様に言われた。
「今朝も、アイスお父様とクリスお母様に会えませんでしたわ。」
「いつまでも仲良しだから仕方ないよ。」
「そうだね、ザオラル。でもそろそろ騎士団に行かないといけないから、お母さまはお父さまにぷりぷり怒りながら、ベッドから跳ね起きると思う。」
いつまでも元気なのはいいことだ。
だけど、あの調子だと、『もうできないと思ってたから油断してたらできちゃった子』が出来てしまう、そんな気がする。
それでも僕はいいけどね。
学園を卒業したら、すぐに結婚しよう。
お父様のように、大好きな奥さんたちを大切にしたい。
そして、二人のようにいつまでも仲良しの夫婦でいたいと思う。
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