131 / 415
新章 溺愛編
事を成すにはまず根回しから
しおりを挟む
「マシューさん、お父様。お母さま、お集まりの皆様。初めての皆様も、僕はアリス=クレイソン。皆様にお集まりいただきましたのは、今回、提案したいプロジェクトがあったからです。それでは、ザオラル君。資料を皆様にお渡ししてください。」
応接間に集められた、俺たち。
お母さまもお父様も、今では隠居してノンビリしているおじいさまも、お兄様とキャサリンも、ケイトとキャンディスも、マシューさんも。なんだか全員集合。
一体何をプレゼンしようというんだ。
アリスとザオラルは、ぞろりとした白衣を身に着けて、アリスに至っては、伊達メガネまでかけている。
「これまでのスノーフォレストの技術では、男同士の場合や子宮に問題がある場合は、代理母の存在が必要不可欠でした。しかも、卵も提供してもらうためには、母親の親族が代理母になる必要があります。」
「そうですね、遺伝情報にこだわらないのならいいのですが、二人の遺伝子を使うなら、相性がありますからね。他人だとうまくいきませんでした。」
「そうです、マシューさん。でも、親族の代理母にこだわる場合に問題が生じます。」
「はい。」
キャサリンが手を挙げる。
「どうぞ、キャサリンおばさま。」
「それは、代理母の年齢ですね。年をとっていても、代理母にはなれない。そして、若くても好ましくない。これから結婚して、お相手の子を産む女性に、先に代理母になんてなってもらうわけにはいきません。母親の方のお母さまがまだお若いか、お姉さまか妹が既婚者で既に子がおり、その夫にも同意を得ている必要があり、ハードルが高いです。」
「そうねえ、アリスちゃんの時はコルママ、まだ若かったからイケたけど、これからアリスちゃんの兄弟を産んであげようと思ったら、もう難しいと思うわ。」
「私もまだまだ、旦那様の子どもを産む予定があるし、姉妹もある程度の年齢までいかないと難しいなら、タイミングが難しくなりそう。」
なんだこれ。
何の会議なんだこれは。
アリス、何が言いたいんだ。何をしようとしてるんだ。
「そこで、僕は研究しました。『子宮がないなら、作ってしまえばいいじゃない!』」
えっ。
「母親になる人の体に子宮ができるよう、体からあらかじめ採取した細胞から培養した子宮を…。(~なんちゃらかんちゃら~~~)」
この流れはもしかしたら、やばい。
アイスの視線が怖い。
汗がだらだらと流れる。
「みなさま。子宮を作る技術があれば、子宮を失った女性の治療にも役立ち!また、男同士のカップルだけでなく、女性の代わりに産んであげたい男性も産むことが可能です! ビバ!男女平等!!」
「おお、それはいいな。双子の時は、俺が代わりに産んであげたいってどれだけ思ったか!」
キリスお兄様も…っ!
「お父様お母様、お母様に子宮を作って差し上げますから。孕ませせっくす頑張ってくださいねっ。」
4歳の子が言う言葉じゃないぃぃぃ~!
アイスもがんばろうねーじゃない~~~~~~!!
でも、みんなにイガクノシンポガーとか、悩んでいる女性のためにもーとか言われて、アリスの母親である俺が、責任もって実験体にならないといけないと諭され、首を縦にふるしかなかった…。
アリス、根回し、・・・・・・・・・・してた?
応接間に集められた、俺たち。
お母さまもお父様も、今では隠居してノンビリしているおじいさまも、お兄様とキャサリンも、ケイトとキャンディスも、マシューさんも。なんだか全員集合。
一体何をプレゼンしようというんだ。
アリスとザオラルは、ぞろりとした白衣を身に着けて、アリスに至っては、伊達メガネまでかけている。
「これまでのスノーフォレストの技術では、男同士の場合や子宮に問題がある場合は、代理母の存在が必要不可欠でした。しかも、卵も提供してもらうためには、母親の親族が代理母になる必要があります。」
「そうですね、遺伝情報にこだわらないのならいいのですが、二人の遺伝子を使うなら、相性がありますからね。他人だとうまくいきませんでした。」
「そうです、マシューさん。でも、親族の代理母にこだわる場合に問題が生じます。」
「はい。」
キャサリンが手を挙げる。
「どうぞ、キャサリンおばさま。」
「それは、代理母の年齢ですね。年をとっていても、代理母にはなれない。そして、若くても好ましくない。これから結婚して、お相手の子を産む女性に、先に代理母になんてなってもらうわけにはいきません。母親の方のお母さまがまだお若いか、お姉さまか妹が既婚者で既に子がおり、その夫にも同意を得ている必要があり、ハードルが高いです。」
「そうねえ、アリスちゃんの時はコルママ、まだ若かったからイケたけど、これからアリスちゃんの兄弟を産んであげようと思ったら、もう難しいと思うわ。」
「私もまだまだ、旦那様の子どもを産む予定があるし、姉妹もある程度の年齢までいかないと難しいなら、タイミングが難しくなりそう。」
なんだこれ。
何の会議なんだこれは。
アリス、何が言いたいんだ。何をしようとしてるんだ。
「そこで、僕は研究しました。『子宮がないなら、作ってしまえばいいじゃない!』」
えっ。
「母親になる人の体に子宮ができるよう、体からあらかじめ採取した細胞から培養した子宮を…。(~なんちゃらかんちゃら~~~)」
この流れはもしかしたら、やばい。
アイスの視線が怖い。
汗がだらだらと流れる。
「みなさま。子宮を作る技術があれば、子宮を失った女性の治療にも役立ち!また、男同士のカップルだけでなく、女性の代わりに産んであげたい男性も産むことが可能です! ビバ!男女平等!!」
「おお、それはいいな。双子の時は、俺が代わりに産んであげたいってどれだけ思ったか!」
キリスお兄様も…っ!
「お父様お母様、お母様に子宮を作って差し上げますから。孕ませせっくす頑張ってくださいねっ。」
4歳の子が言う言葉じゃないぃぃぃ~!
アイスもがんばろうねーじゃない~~~~~~!!
でも、みんなにイガクノシンポガーとか、悩んでいる女性のためにもーとか言われて、アリスの母親である俺が、責任もって実験体にならないといけないと諭され、首を縦にふるしかなかった…。
アリス、根回し、・・・・・・・・・・してた?
0
お気に入りに追加
1,841
あなたにおすすめの小説
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません
八神紫音
BL
やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。
そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。
オメガの僕が運命の番と幸せを掴むまで
なの
BL
オメガで生まれなければよかった…そしたら人の人生が狂うことも、それに翻弄されて生きることもなかったのに…絶対に僕の人生も違っていただろう。やっぱりオメガになんて生まれなければよかった…
今度、生まれ変わったら、バース性のない世界に生まれたい。そして今度こそ、今度こそ幸せになりたい。
幸せになりたいと願ったオメガと辛い過去を引きずって生きてるアルファ…ある場所で出会い幸せを掴むまでのお話。
R18の場面には*を付けます。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
僕の大好きな旦那様は後悔する
小町
BL
バッドエンドです!
攻めのことが大好きな受けと政略結婚だから、と割り切り受けの愛を迷惑と感じる攻めのもだもだと、最終的に受けが死ぬことによって段々と攻めが後悔してくるお話です!拙作ですがよろしくお願いします!!
暗い話にするはずが、コメディぽくなってしまいました、、、。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる