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新章 溺愛編

事を成すにはまず根回しから

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「マシューさん、お父様。お母さま、お集まりの皆様。初めての皆様も、僕はアリス=クレイソン。皆様にお集まりいただきましたのは、今回、提案したいプロジェクトがあったからです。それでは、ザオラル君。資料を皆様にお渡ししてください。」


応接間に集められた、俺たち。
お母さまもお父様も、今では隠居してノンビリしているおじいさまも、お兄様とキャサリンも、ケイトとキャンディスも、マシューさんも。なんだか全員集合。

一体何をプレゼンしようというんだ。



アリスとザオラルは、ぞろりとした白衣を身に着けて、アリスに至っては、伊達メガネまでかけている。



「これまでのスノーフォレストの技術では、男同士の場合や子宮に問題がある場合は、代理母の存在が必要不可欠でした。しかも、卵も提供してもらうためには、母親の親族が代理母になる必要があります。」


「そうですね、遺伝情報にこだわらないのならいいのですが、二人の遺伝子を使うなら、相性がありますからね。他人だとうまくいきませんでした。」


「そうです、マシューさん。でも、親族の代理母にこだわる場合に問題が生じます。」



「はい。」
キャサリンが手を挙げる。


「どうぞ、キャサリンおばさま。」


「それは、代理母の年齢ですね。年をとっていても、代理母にはなれない。そして、若くても好ましくない。これから結婚して、お相手の子を産む女性に、先に代理母になんてなってもらうわけにはいきません。母親の方のお母さまがまだお若いか、お姉さまか妹が既婚者で既に子がおり、その夫にも同意を得ている必要があり、ハードルが高いです。」


「そうねえ、アリスちゃんの時はコルママ、まだ若かったからイケたけど、これからアリスちゃんの兄弟を産んであげようと思ったら、もう難しいと思うわ。」

「私もまだまだ、旦那様の子どもを産む予定があるし、姉妹もある程度の年齢までいかないと難しいなら、タイミングが難しくなりそう。」




なんだこれ。


何の会議なんだこれは。


アリス、何が言いたいんだ。何をしようとしてるんだ。




「そこで、僕は研究しました。『子宮がないなら、作ってしまえばいいじゃない!』」




えっ。



「母親になる人の体に子宮ができるよう、体からあらかじめ採取した細胞から培養した子宮を…。(~なんちゃらかんちゃら~~~)」


この流れはもしかしたら、やばい。

アイスの視線が怖い。



汗がだらだらと流れる。



「みなさま。子宮を作る技術があれば、子宮を失った女性の治療にも役立ち!また、男同士のカップルだけでなく、女性の代わりに産んであげたい男性も産むことが可能です! ビバ!男女平等!!」


「おお、それはいいな。双子の時は、俺が代わりに産んであげたいってどれだけ思ったか!」


キリスお兄様も…っ!




「お父様お母様、お母様に子宮を作って差し上げますから。孕ませせっくす頑張ってくださいねっ。」




4歳の子が言う言葉じゃないぃぃぃ~!


アイスもがんばろうねーじゃない~~~~~~!!




でも、みんなにイガクノシンポガーとか、悩んでいる女性のためにもーとか言われて、アリスの母親である俺が、責任もって実験体にならないといけないと諭され、首を縦にふるしかなかった…。



アリス、根回し、・・・・・・・・・・してた?
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