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本編
グレイス侯爵との対決
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グレイス侯爵家は、レッドキングダムの法の番人だ。
法で裁けない者を処するために、裏の人間も多く雇っていた。
キャサリンは、じっと旦那様を見る。
「ワインが… 重たくて。」
旦那様の後ろにも、複数の視線を感じる。
騎士団とは別の、実働部隊を旦那様が抱えているのはわかっていたけど、
全部なんだわ!
この屋敷にいる、全員が。
侍女も、家令も、みんなが…。
「籠を渡せ、キャサリン。重いだろう。持ってやる。」
「結構ですわ!」
「…そうか。それなら…」
侯爵が指をパチンと鳴らす。
視線の主が現れる。
周囲を囲まれている。
「自分に子どもができないからと、公爵の子どもを攫ってくるとは、なんて女だ。友人に子が生まれたのを嫉妬し、その子を殺して逃げたのを捕まえようとして、殺してしまった。 そういう筋書きはどうだろうか。」
ぎゅっと籠を持つ手が震え、籠の中から寝ているクリスの子を取り出し、抱きかかえる。
持ちにくい籠を捨て、抱いて門の方へ向かおうとしたが、侍女3名に捕まえられてしまった。
刃が迫る。
(…クリス様!!!)
ーーーーーーーーーーーーー風圧がして。
侯爵の庭に巨大な獣が2羽、舞い降りる。
「!!?」
風圧に顔をゆがめた侯爵が、その背に乗っている者を見て驚愕する。
「キャサリン、ありがとう。守ってくれて。」
「クリス様!」
キャサリンとその胸で守られているアリスの寝顔を見て、ほっとする。
二人をアイスに預けて、アイスは神獣たちに守らせた。
「部隊長がなぜここに…! それに、フォルテ伯爵⁉ アッシュフォード男爵?」
伯爵と男爵がここにいるのはわかる。
公爵夫人の出自が噂されていたから。
それは、真実だったということなのだろう。
神獣の前に、二人を守るようにして立つ。
「俺がこの子の母親だ! 俺たちの子に手を出したこと、後悔させてやる!!!!!!!!!!」
腰から2振りの剣を抜く。
「うちの可愛いひ孫を攫い、我が愛娘を傷つけた罪。この『閃光』のタクト=フォルテが処してやるわっ!」
幅広の長剣の銀が、妖しく光る。
「いくら私でもね、怒るんですよ⁉」
弓にキリキリ、指に矢を複数持つ。
「侯爵かわいそうに。あなたはもう御終いだ。」
アイスの目は冷ややかだ。
「…くぅっ! 私はっ、私はこの国のために…! お前ら、いけっ!」
侯爵は逃げ、屋敷中の者ーーーー侯爵子飼いの、闇の部隊が襲い掛かる。
アイスが侯爵を追う。
さぁ、断罪の時間だ。
法で裁けない者を処するために、裏の人間も多く雇っていた。
キャサリンは、じっと旦那様を見る。
「ワインが… 重たくて。」
旦那様の後ろにも、複数の視線を感じる。
騎士団とは別の、実働部隊を旦那様が抱えているのはわかっていたけど、
全部なんだわ!
この屋敷にいる、全員が。
侍女も、家令も、みんなが…。
「籠を渡せ、キャサリン。重いだろう。持ってやる。」
「結構ですわ!」
「…そうか。それなら…」
侯爵が指をパチンと鳴らす。
視線の主が現れる。
周囲を囲まれている。
「自分に子どもができないからと、公爵の子どもを攫ってくるとは、なんて女だ。友人に子が生まれたのを嫉妬し、その子を殺して逃げたのを捕まえようとして、殺してしまった。 そういう筋書きはどうだろうか。」
ぎゅっと籠を持つ手が震え、籠の中から寝ているクリスの子を取り出し、抱きかかえる。
持ちにくい籠を捨て、抱いて門の方へ向かおうとしたが、侍女3名に捕まえられてしまった。
刃が迫る。
(…クリス様!!!)
ーーーーーーーーーーーーー風圧がして。
侯爵の庭に巨大な獣が2羽、舞い降りる。
「!!?」
風圧に顔をゆがめた侯爵が、その背に乗っている者を見て驚愕する。
「キャサリン、ありがとう。守ってくれて。」
「クリス様!」
キャサリンとその胸で守られているアリスの寝顔を見て、ほっとする。
二人をアイスに預けて、アイスは神獣たちに守らせた。
「部隊長がなぜここに…! それに、フォルテ伯爵⁉ アッシュフォード男爵?」
伯爵と男爵がここにいるのはわかる。
公爵夫人の出自が噂されていたから。
それは、真実だったということなのだろう。
神獣の前に、二人を守るようにして立つ。
「俺がこの子の母親だ! 俺たちの子に手を出したこと、後悔させてやる!!!!!!!!!!」
腰から2振りの剣を抜く。
「うちの可愛いひ孫を攫い、我が愛娘を傷つけた罪。この『閃光』のタクト=フォルテが処してやるわっ!」
幅広の長剣の銀が、妖しく光る。
「いくら私でもね、怒るんですよ⁉」
弓にキリキリ、指に矢を複数持つ。
「侯爵かわいそうに。あなたはもう御終いだ。」
アイスの目は冷ややかだ。
「…くぅっ! 私はっ、私はこの国のために…! お前ら、いけっ!」
侯爵は逃げ、屋敷中の者ーーーー侯爵子飼いの、闇の部隊が襲い掛かる。
アイスが侯爵を追う。
さぁ、断罪の時間だ。
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