その玉座、返してもらいます！虐げられた末王子は嫁の愛で下剋上する～婿入り先の辺境の蛮族は真の王家でした～

結婚式（終幕）

晴れた日に、エンジェリンとパラダイスの両国で大きな鐘が鳴った。


久しぶりの本来の王族の帰還。
パラダイス王国の大聖堂で親族と友人に見守られて、二人は結婚式を挙げた。


「レジデュー＝エントラスト＝パラダイス。パラダイス王国の国王とする。」


ワッと国民が沸く。

若い国王と女王の誕生だ。


元々はミハイルの方が王族だったこと、レジデューが対等な立場を望んだことで、二人はともに王となった。



マイアとマジーはそれぞれの団の代表として、正装に身を包みながら隣り合って警護を続ける。

同じように、一兵士としてグレイシャスも見守りながら目を細める。


グレイシャスの血筋は血を残さないほうが良い。

そう思っていた矢先、ミラクルがどうやらレオと付き合いだしたようで、応援している。

レオがエッチすぎるので困っているらしいが、ミラクルは自制心が強いから大丈夫だと信じたい。


すっかり教育されたスペシャルは、今では立派なサバーク大王の愛妾となった。
文句を言いながらも、素直な性格なのでそこに落ち着いてよかった。


エクセレントはあんなことをしなければ、一魔法師としてこき使われるくらいで済んだだろうに、幽閉され魔力を吸われ続けている。








ミハイルは、レジデューを見つめた。
宣言をして、夫婦となり、そして手を繋いでバルコニーに立ち、国民を見下ろす。

（あんなに、子犬みたいだったのに……。）


いい子すぎて放っておけないって思った。

最初はまあ、いいか、結婚してやっても、といった感じだった。

でも、真っすぐで、努力家で、すごく能力があって……。

彼が成長するたび、新しい能力を身に着けて、ちがう顔を見せるたび、胸がキュンキュンして。





レジデューはミハイルを見た。

綺麗で凄い人。愛を教えてくれた人。

そのころころ変わる表情が愛おしくて。





手を繋いで、レジデューは深呼吸した。



「今日、即位した。レジデュー＝エクセレント＝パラダイスだ。至らないところも多いと思うが、エンジェリンで受けた知識を皆にも共有して、少しずつ、この国をよくしていきたい。これからよろしく頼む！」


２人の未来はこれから。




end