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エクセレントの結末
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「それではこれより、模擬戦を開始する。」
マイアの合図でマジーはエクセレントの魔封じを解いた。
会場には結界が施され、存分に魔法を放てる環境である。
エクセレントはほくそ笑んだ。
(あんな出来損ない、思い知らせてやる。きっと天使様もこの戦いを見て、私のほうがいいって思うはずさ。)
観客席のミハイルにウインクをしたが、ミハイルはすぐに隠れた。
(シャイだなあ。可愛いところもあるじゃないか。)
その隣で冷めた眼差しの陛下には気が付かないようだ。
エクセレントは杖を掲げる。
「みよ、私のウルトラビューティフルファイヤーアタック!」
レジデューも皆も、冷めた目で見ていた。
見た目が派手なだけで威力のない攻撃魔法は、レジデューに簡単に消される。
「へ?そんなっ」
「当たり前でしょう。そんな初級の魔法。」
そしてレジデューからは。
「エクスプロージョン」
「フリーズ」
「サンダーボルト」
「トルネード」
「メイルシュトローム」
「う、うわあ、なんだ。あんな巨大な!なんだ、この莫大な魔力は!」
迫りくる爆発と氷結と稲妻と竜巻と水流に、エクセレントは逃げ惑い、放尿して失神した。
「流石だな。」
「まあこうなりますよね。」
マイアとマジーは、レジデューの圧倒的勝利を判ずる。
「やったああ!さすがレジデュー殿下!」
観客席も沸いた。
「だから言わんこっちゃない。」
ズルズルとグレイシャスがエクセレントを回収する。
「魔道具を没収して、一生魔力抽出奴隷になるだろう。決めるのは陛下だが、北の塔への収監になるのではないかな。とりあえずマジーに封じてもらって牢に入れておく。陛下の指示だ。」
「兄上。」
「こいつの自業自得だ。それから、私に気にせず王になれ。元々お前の席だ。天使様もお前についてきてくれるだろう。それに、天使様もお前も、元からこの国を奪い返すつもりだっただろう?………だから、今更ぐじゃぐじゃ気にするんじゃない。私は今が一番幸せなんだ。」
「分かっていたのですね。」
「天災や戦争で荒れ果てた地に限り、国に諮らなくとも一定の領地の売買は各領主に一任されている。あの日、お前の周りにはこの国の貴族もいた。他国で功績を積み、この国の貴族と関わって、お前は地盤を固めてきていた。後から知ったが、この国の要所はお前のものになっているじゃないか。戦争ではなく、領土を買い取ることで国を作る…。そうしてこの国は徐々にお前のものになる筋書きだったんじゃないか?」
「さすが元王太子です。」
「だから遠慮するな。」
「レジデュー!」
入れ替わりにミハイルが走ってくる。
「さっすが俺のレジデュー!はやくえっちしよ!」
マイアの合図でマジーはエクセレントの魔封じを解いた。
会場には結界が施され、存分に魔法を放てる環境である。
エクセレントはほくそ笑んだ。
(あんな出来損ない、思い知らせてやる。きっと天使様もこの戦いを見て、私のほうがいいって思うはずさ。)
観客席のミハイルにウインクをしたが、ミハイルはすぐに隠れた。
(シャイだなあ。可愛いところもあるじゃないか。)
その隣で冷めた眼差しの陛下には気が付かないようだ。
エクセレントは杖を掲げる。
「みよ、私のウルトラビューティフルファイヤーアタック!」
レジデューも皆も、冷めた目で見ていた。
見た目が派手なだけで威力のない攻撃魔法は、レジデューに簡単に消される。
「へ?そんなっ」
「当たり前でしょう。そんな初級の魔法。」
そしてレジデューからは。
「エクスプロージョン」
「フリーズ」
「サンダーボルト」
「トルネード」
「メイルシュトローム」
「う、うわあ、なんだ。あんな巨大な!なんだ、この莫大な魔力は!」
迫りくる爆発と氷結と稲妻と竜巻と水流に、エクセレントは逃げ惑い、放尿して失神した。
「流石だな。」
「まあこうなりますよね。」
マイアとマジーは、レジデューの圧倒的勝利を判ずる。
「やったああ!さすがレジデュー殿下!」
観客席も沸いた。
「だから言わんこっちゃない。」
ズルズルとグレイシャスがエクセレントを回収する。
「魔道具を没収して、一生魔力抽出奴隷になるだろう。決めるのは陛下だが、北の塔への収監になるのではないかな。とりあえずマジーに封じてもらって牢に入れておく。陛下の指示だ。」
「兄上。」
「こいつの自業自得だ。それから、私に気にせず王になれ。元々お前の席だ。天使様もお前についてきてくれるだろう。それに、天使様もお前も、元からこの国を奪い返すつもりだっただろう?………だから、今更ぐじゃぐじゃ気にするんじゃない。私は今が一番幸せなんだ。」
「分かっていたのですね。」
「天災や戦争で荒れ果てた地に限り、国に諮らなくとも一定の領地の売買は各領主に一任されている。あの日、お前の周りにはこの国の貴族もいた。他国で功績を積み、この国の貴族と関わって、お前は地盤を固めてきていた。後から知ったが、この国の要所はお前のものになっているじゃないか。戦争ではなく、領土を買い取ることで国を作る…。そうしてこの国は徐々にお前のものになる筋書きだったんじゃないか?」
「さすが元王太子です。」
「だから遠慮するな。」
「レジデュー!」
入れ替わりにミハイルが走ってくる。
「さっすが俺のレジデュー!はやくえっちしよ!」
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