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偽物の懺悔
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『皆さま、ごめんなさい。今まで、レジデュー様だということになっていたのは、おr…わたしだったんです!』
エンジェリンで鍛え、背が伸び、たくましくなった今となっては背格好が似ても似つかないが、本物のレジデューを幾分か幼くした顔立ちの青年が、テレビを通して泣きながら詫びる。
その髪は先の方は白いが、根元の方は薄い黄色だ。
「あっ……。確かにあの子が私が教えた子だ。王族なのに魔力がほとんどなかった。道理で…。」
会場にいたマジーの師匠が髭を撫でた。
「確かにあの子ですね。私の剣の授業を無視したのは。」
辺境伯。
「ああ、勉強嫌いで椅子にさえ座ってくれなかったなぁ。授業にならなかったんだよなあ。」
研究棟の錬金術師が続く。
『陛下、ごめんなさい。陛下のことを悪い父親だと思って…。私は本当のレジデューだと思っていたんです。陛下に嫌われてるって思って…。本物の殿下もごめんなさい。私のせいで、私がいたから。だから…。』
『もうそう泣くでない。お前が悪かったのではない。そうなるようにお前をレジデューとすり替えて、育てた者が悪い。自分の子を王位につけたかったベラとその父親は、城の者を懇意の者で固め、私の愛する妃に薬を盛り、子どもができないようにした。それより先、私の父を毒殺したのもお前たち。そうして、私に取り入り、奇跡的に生まれてきてくれたレジデューを貶め、私に毒を盛った。王位簒奪の罪で宰相一族は処刑とする。』
「なんて可憐なんだろう。」
「かわいそうに、偽物として都合がいいように育てられたのね。」
会場は名前のない『レジデュー王子の偽物』に好意的だ。
「くッ……。」
テレビを見ながら拳を握りしめるベラの背後には、巨漢の男が立つ。
「ベラ王妃。貴様はとんでもない女だな。お前はわしに、あれは罪を犯した者だといって斡旋したではないか。貴様、自分の都合が悪くなった者を押し付けようとしたな。」
「ヒッ……!サバーク……王!」
「丁度いい。約束は果たしてもらわなければなるまい。そもそも、あんな脆弱な男ではわしの相手など務まるものか。あいつを貰っていく。」
サバーク王は、スペシャルの首根っこを捕まえた。
「へ?」
「見るに、こいつとそいつはお飾りの団長で、いてもいなくてもいいような存在だろう。エントラストのには悪いが、文句は言うなよ?」
『構わん。双子は自分大好きで二人とも相手がおらん。可愛がってくれ。』
「え?俺、俺が嫁ぐの!!??」
「去勢はこっちでやってやろう。」
「去勢??俺のマグナムなくなっちゃうの!!?やだ、父上!助けて!」
『恨むなら祖父と母を恨め。これだけのことをした者の一族をおとがめなしにはできぬ。例え半分私の血が入っていたとしてもだ。』
嘘……。嘘よ……………
座り込む私にグレイシャスが近づく。
お父様は階段のところで泡をふいて騎士団が抑えている。
「お母様…。」
「おお、グレイシャス!お前は私の味方よね!お前が王!王になるの!あんなの、偽物よ!そう、偽物の陛下に違いないわ!!」
その瞬間、グレイシャスの顔が歪んだと思うと、顔に痛みが走った。
エンジェリンで鍛え、背が伸び、たくましくなった今となっては背格好が似ても似つかないが、本物のレジデューを幾分か幼くした顔立ちの青年が、テレビを通して泣きながら詫びる。
その髪は先の方は白いが、根元の方は薄い黄色だ。
「あっ……。確かにあの子が私が教えた子だ。王族なのに魔力がほとんどなかった。道理で…。」
会場にいたマジーの師匠が髭を撫でた。
「確かにあの子ですね。私の剣の授業を無視したのは。」
辺境伯。
「ああ、勉強嫌いで椅子にさえ座ってくれなかったなぁ。授業にならなかったんだよなあ。」
研究棟の錬金術師が続く。
『陛下、ごめんなさい。陛下のことを悪い父親だと思って…。私は本当のレジデューだと思っていたんです。陛下に嫌われてるって思って…。本物の殿下もごめんなさい。私のせいで、私がいたから。だから…。』
『もうそう泣くでない。お前が悪かったのではない。そうなるようにお前をレジデューとすり替えて、育てた者が悪い。自分の子を王位につけたかったベラとその父親は、城の者を懇意の者で固め、私の愛する妃に薬を盛り、子どもができないようにした。それより先、私の父を毒殺したのもお前たち。そうして、私に取り入り、奇跡的に生まれてきてくれたレジデューを貶め、私に毒を盛った。王位簒奪の罪で宰相一族は処刑とする。』
「なんて可憐なんだろう。」
「かわいそうに、偽物として都合がいいように育てられたのね。」
会場は名前のない『レジデュー王子の偽物』に好意的だ。
「くッ……。」
テレビを見ながら拳を握りしめるベラの背後には、巨漢の男が立つ。
「ベラ王妃。貴様はとんでもない女だな。お前はわしに、あれは罪を犯した者だといって斡旋したではないか。貴様、自分の都合が悪くなった者を押し付けようとしたな。」
「ヒッ……!サバーク……王!」
「丁度いい。約束は果たしてもらわなければなるまい。そもそも、あんな脆弱な男ではわしの相手など務まるものか。あいつを貰っていく。」
サバーク王は、スペシャルの首根っこを捕まえた。
「へ?」
「見るに、こいつとそいつはお飾りの団長で、いてもいなくてもいいような存在だろう。エントラストのには悪いが、文句は言うなよ?」
『構わん。双子は自分大好きで二人とも相手がおらん。可愛がってくれ。』
「え?俺、俺が嫁ぐの!!??」
「去勢はこっちでやってやろう。」
「去勢??俺のマグナムなくなっちゃうの!!?やだ、父上!助けて!」
『恨むなら祖父と母を恨め。これだけのことをした者の一族をおとがめなしにはできぬ。例え半分私の血が入っていたとしてもだ。』
嘘……。嘘よ……………
座り込む私にグレイシャスが近づく。
お父様は階段のところで泡をふいて騎士団が抑えている。
「お母様…。」
「おお、グレイシャス!お前は私の味方よね!お前が王!王になるの!あんなの、偽物よ!そう、偽物の陛下に違いないわ!!」
その瞬間、グレイシャスの顔が歪んだと思うと、顔に痛みが走った。
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