その玉座、返してもらいます！虐げられた末王子は嫁の愛で下剋上する～婿入り先の辺境の蛮族は真の王家でした～

綻び（ベラ王妃）

建国祭まであと３か月
「アレの偽物が消えた…！！？」

王妃の部屋で、手の者から報告を受け、

陛下は弱り、建国祭までなんとか保つくらいで、最近は床から起きられない。
順調だったのに、閉じ込めたはずのニセモノが逃げたなんて。


ベラ王妃は爪を噛んだ。

もし、アレが姿を現したら…………。

いや、アレを嫁がせる予定の砂漠の王に契約違反で何をされるか分からない。


だが、あのニセモノが市井で生きていけるとは思えない。


建国祭には、アカデミック王国も、サラマンダー王国も、マジョリカ王国……錚々たる大国が新しい国王の誕生を祝いにくる。
そして、アレをやるはずだったサバーク王国も。

なんとかしてアレを見つけて、サバークのゼツリン陛下に引き渡さなくては。


アレ…………あれ。

ああ、アレの本当の名前は何だったかしら。




生意気な娼婦から赤ん坊を取り上げるとき、名前がついていたのよね。




そういえばあの女は私にこう言ったのだわ。




"貴女、私と同じね。昔の私とそっくり。今は好き勝手して楽しいでしょう？でもね……………"



あなたは断罪されて、必ず報いを受けるわ。

私よりよっぽど酷い目にあうでしょうね。




ーーーー娼婦落ちしたくせに何を言っているのだか。


私はね、この国の国母になるのよ。