その玉座、返してもらいます!虐げられた末王子は嫁の愛で下剋上する~婿入り先の辺境の蛮族は真の王家でした~

竜鳴躍

文字の大きさ
上 下
18 / 45

ニセモノ

しおりを挟む
俺様はレジデュー=エントラスト=パラダイス。

パラダイス王国の第4王子だが、産みの母は元々の正妃だ。

俺様こそが正統な王位継承者!


えらいんだ!




今の王妃は俺様にとって義母だが優しい。

「陛下には困ったものだわ…。陛下とあなたのお母様は政略結婚だったの。本当は私が王妃になるはずで……、長いこと子ができなかったものだから私が側妃になって、結局こうして王妃になったのだけど。貴方のお母様が命がけであなたを産んでくれたというのに。あなたのことが疎ましいのよ………。でも王妃様の実家であるアカデミック王国の手前、大事にしなければならない…。私の子を可愛がってくださるのはありがたいけど………辻褄合わせのように貴方に関わろうとしているのよ。酷い父親よね…。」

柔らかい肌が触れ、いい匂いが鼻孔をくすぐる。

抱きしめられ、彼女は泣きながら俺の頭を撫でた。



産みの母なんて知らない。

俺にはベラ様がいればいい。


身の回りの世話は侍女が全部やってくれるし、父親の顔を見たくないから食事も部屋で食べた。
父親の顔なんて見たくないし、話したくもない。
贈り物だって送り返してやる!

俺様は可愛そうな王子。
だけど、父親よりもずっとえらいんだ。
何故なら、母親が本当のこの国の王位継承者だったから!
勉強なんてしたくない。

全く家庭教師だなんて大きなお世話だ。
あの父親の仕業に違いない。

魔力が少ないから魔法の勉強も嫌だ。
こんな細腕の可憐な俺様に剣を握らせるなんて馬鹿にしてる。

好きなことだけしてこの部屋だけで生きていても、俺様は満たされている。



――――――――この幸せは、永遠に続く、と思っていた。






「貴方の遺棄場所が決まったわ?」

「え……??ベラ母様……??行き、場所?」

なんだか今日は雰囲気がおかしい…。


「ふふふ、あなたは本当はレジデュー=エントラスト=パラダイスじゃないの。私の可愛い可愛い王子に王位を継がせるため、見繕った娼婦と男娼の子よ。」


邪魔なレジデューを王位継承から排除するために、悪評を立て、愚かな王子にする必要があった?

万が一、陛下に策を気づかれないようにするために、本物は隠し、陛下に毒づく『愚かな偽物』が必要だった…??

「一応あなたの両親は元貴族だけどね。数々の貴族と浮名を流し高位貴族の妻の座を狙って社交界に混乱を起こしたあばずれと、努力が嫌いで廃嫡されたぐうたらの、まったくイイ所を引き継いでくれたわ!」

俺様は……ろくでなしで貴族の身分を失った……娼婦と男娼の…子……。


「私の王子はもうすぐ王位につくわ。そして、本物は蛮族の婿に出した。だからもうあなたは必要ないの!」


「ひっ……!!だれかっ、たすけっ!」

周囲の侍女侍従に手を伸ばす。


「あら?無駄よ?この城で働く者は私の息がかかっているのよ?それに、それがあなたの役割だったとはいえ、さんざん我がままを言って迷惑をかけられた相手を誰が助けようと思うのかしらね!」

「お、俺は殺されるのか??」


「殺したらもったいないじゃない。今まであなたには多額のお金をかけているのだから。あなたの写真を送ったら、気に入ってくれた殿方がいたのよ。ここから海を渡って、国を3つくらい越えた先の一夫多妻制の王があなたをハレムに加えたいそうよ?幼いころから脱色した偽物だけど、白い髪だし。引きこもっていたから色白で。黙っていればお人形さんみたいだものね。すこぉし、乱暴に扱う方でハレムの入れ替わりも早いようだけれど、せいぜい媚びを売って少しでも長く生きるのね。あ、あなたの髪を白くしていた特別な洗髪料もたくさん渡してあげるわね。」

え…っ。
自慢のプラチナブロンドは、偽物…。


「邪魔な男性機能は嫁入り前には切除しなくちゃね。」

アソコを軽くヒールの先で蹴られる。

「今すぐじゃないわ。ここでへまをするわけにはいかないもの。陛下が亡くなるか、建国祭でうちのグレイシャスが即位するか…、その後よ?だからそれまで、う~~~んと貴方には嫁入り準備をしてあげるわね。」



優しかった母は、鬼か悪魔のような女だった。

すっかりいうことを鵜吞みにして、悪い子だった俺が愚かだった。

母の命で、侍従たちがねじりよる。


「や……っ、な、なにをっ。」


「安心しろ、お相手との初夜まで純潔は散らさない。が、満足いただけるよう開発してやるだけだ。」

「男を飲み込む名器になるよう穴をしつけてやろう。」

「口淫も覚えるんだ。」


「い、いやあ、いやだぁぁ…。」

「お相手は抜かずに朝までヤれる程だそうだ。閨をともにすれば、すぐ壊れてしまうらしい。妃との子作りの前後で少しでも相手ができる者が必要なんだ。妃を壊すわけにはいかないからな。」


やだ……そんなの……。


愚かさを悔いても始まらない。

助けを呼んでも助けてはもらえない。


押さえつけられて、無理やり体を開発され、性技をしこまれる。


上手にできれば、『さすが娼婦と男娼の子だ。何の才能もないと思っていたが、コッチの才能はあったな。』と嗤われた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

俺は勇者のお友だち

むぎごはん
BL
俺は王都の隅にある宿屋でバイトをして暮らしている。たまに訪ねてきてくれる騎士のイゼルさんに会えることが、唯一の心の支えとなっている。 2年前、突然この世界に転移してきてしまった主人公が、頑張って生きていくお話。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない? ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

処理中です...