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ニセモノ
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俺様はレジデュー=エントラスト=パラダイス。
パラダイス王国の第4王子だが、産みの母は元々の正妃だ。
俺様こそが正統な王位継承者!
えらいんだ!
今の王妃は俺様にとって義母だが優しい。
「陛下には困ったものだわ…。陛下とあなたのお母様は政略結婚だったの。本当は私が王妃になるはずで……、長いこと子ができなかったものだから私が側妃になって、結局こうして王妃になったのだけど。貴方のお母様が命がけであなたを産んでくれたというのに。あなたのことが疎ましいのよ………。でも王妃様の実家であるアカデミック王国の手前、大事にしなければならない…。私の子を可愛がってくださるのはありがたいけど………辻褄合わせのように貴方に関わろうとしているのよ。酷い父親よね…。」
柔らかい肌が触れ、いい匂いが鼻孔をくすぐる。
抱きしめられ、彼女は泣きながら俺の頭を撫でた。
産みの母なんて知らない。
俺にはベラ様がいればいい。
身の回りの世話は侍女が全部やってくれるし、父親の顔を見たくないから食事も部屋で食べた。
父親の顔なんて見たくないし、話したくもない。
贈り物だって送り返してやる!
俺様は可愛そうな王子。
だけど、父親よりもずっとえらいんだ。
何故なら、母親が本当のこの国の王位継承者だったから!
勉強なんてしたくない。
全く家庭教師だなんて大きなお世話だ。
あの父親の仕業に違いない。
魔力が少ないから魔法の勉強も嫌だ。
こんな細腕の可憐な俺様に剣を握らせるなんて馬鹿にしてる。
好きなことだけしてこの部屋だけで生きていても、俺様は満たされている。
――――――――この幸せは、永遠に続く、と思っていた。
「貴方の遺棄場所が決まったわ?」
「え……??ベラ母様……??行き、場所?」
なんだか今日は雰囲気がおかしい…。
「ふふふ、あなたは本当はレジデュー=エントラスト=パラダイスじゃないの。私の可愛い可愛い王子に王位を継がせるため、見繕った娼婦と男娼の子よ。」
邪魔なレジデューを王位継承から排除するために、悪評を立て、愚かな王子にする必要があった?
万が一、陛下に策を気づかれないようにするために、本物は隠し、陛下に毒づく『愚かな偽物』が必要だった…??
「一応あなたの両親は元貴族だけどね。数々の貴族と浮名を流し高位貴族の妻の座を狙って社交界に混乱を起こしたあばずれと、努力が嫌いで廃嫡されたぐうたらの、まったくイイ所を引き継いでくれたわ!」
俺様は……ろくでなしで貴族の身分を失った……娼婦と男娼の…子……。
「私の王子はもうすぐ王位につくわ。そして、本物は蛮族の婿に出した。だからもうあなたは必要ないの!」
「ひっ……!!だれかっ、たすけっ!」
周囲の侍女侍従に手を伸ばす。
「あら?無駄よ?この城で働く者は私の息がかかっているのよ?それに、それがあなたの役割だったとはいえ、さんざん我がままを言って迷惑をかけられた相手を誰が助けようと思うのかしらね!」
「お、俺は殺されるのか??」
「殺したらもったいないじゃない。今まであなたには多額のお金をかけているのだから。あなたの写真を送ったら、気に入ってくれた殿方がいたのよ。ここから海を渡って、国を3つくらい越えた先の一夫多妻制の王があなたをハレムに加えたいそうよ?幼いころから脱色した偽物だけど、白い髪だし。引きこもっていたから色白で。黙っていればお人形さんみたいだものね。すこぉし、乱暴に扱う方でハレムの入れ替わりも早いようだけれど、せいぜい媚びを売って少しでも長く生きるのね。あ、あなたの髪を白くしていた特別な洗髪料もたくさん渡してあげるわね。」
え…っ。
自慢のプラチナブロンドは、偽物…。
「邪魔な男性機能は嫁入り前には切除しなくちゃね。」
アソコを軽くヒールの先で蹴られる。
「今すぐじゃないわ。ここでへまをするわけにはいかないもの。陛下が亡くなるか、建国祭でうちのグレイシャスが即位するか…、その後よ?だからそれまで、う~~~んと貴方には嫁入り準備をしてあげるわね。」
優しかった母は、鬼か悪魔のような女だった。
すっかりいうことを鵜吞みにして、悪い子だった俺が愚かだった。
母の命で、侍従たちがねじりよる。
「や……っ、な、なにをっ。」
「安心しろ、お相手との初夜まで純潔は散らさない。が、満足いただけるよう開発してやるだけだ。」
「男を飲み込む名器になるよう穴をしつけてやろう。」
「口淫も覚えるんだ。」
「い、いやあ、いやだぁぁ…。」
「お相手は抜かずに朝までヤれる程だそうだ。閨をともにすれば、すぐ壊れてしまうらしい。妃との子作りの前後で少しでも相手ができる者が必要なんだ。妃を壊すわけにはいかないからな。」
やだ……そんなの……。
愚かさを悔いても始まらない。
助けを呼んでも助けてはもらえない。
押さえつけられて、無理やり体を開発され、性技をしこまれる。
上手にできれば、『さすが娼婦と男娼の子だ。何の才能もないと思っていたが、コッチの才能はあったな。』と嗤われた。
パラダイス王国の第4王子だが、産みの母は元々の正妃だ。
俺様こそが正統な王位継承者!
えらいんだ!
今の王妃は俺様にとって義母だが優しい。
「陛下には困ったものだわ…。陛下とあなたのお母様は政略結婚だったの。本当は私が王妃になるはずで……、長いこと子ができなかったものだから私が側妃になって、結局こうして王妃になったのだけど。貴方のお母様が命がけであなたを産んでくれたというのに。あなたのことが疎ましいのよ………。でも王妃様の実家であるアカデミック王国の手前、大事にしなければならない…。私の子を可愛がってくださるのはありがたいけど………辻褄合わせのように貴方に関わろうとしているのよ。酷い父親よね…。」
柔らかい肌が触れ、いい匂いが鼻孔をくすぐる。
抱きしめられ、彼女は泣きながら俺の頭を撫でた。
産みの母なんて知らない。
俺にはベラ様がいればいい。
身の回りの世話は侍女が全部やってくれるし、父親の顔を見たくないから食事も部屋で食べた。
父親の顔なんて見たくないし、話したくもない。
贈り物だって送り返してやる!
俺様は可愛そうな王子。
だけど、父親よりもずっとえらいんだ。
何故なら、母親が本当のこの国の王位継承者だったから!
勉強なんてしたくない。
全く家庭教師だなんて大きなお世話だ。
あの父親の仕業に違いない。
魔力が少ないから魔法の勉強も嫌だ。
こんな細腕の可憐な俺様に剣を握らせるなんて馬鹿にしてる。
好きなことだけしてこの部屋だけで生きていても、俺様は満たされている。
――――――――この幸せは、永遠に続く、と思っていた。
「貴方の遺棄場所が決まったわ?」
「え……??ベラ母様……??行き、場所?」
なんだか今日は雰囲気がおかしい…。
「ふふふ、あなたは本当はレジデュー=エントラスト=パラダイスじゃないの。私の可愛い可愛い王子に王位を継がせるため、見繕った娼婦と男娼の子よ。」
邪魔なレジデューを王位継承から排除するために、悪評を立て、愚かな王子にする必要があった?
万が一、陛下に策を気づかれないようにするために、本物は隠し、陛下に毒づく『愚かな偽物』が必要だった…??
「一応あなたの両親は元貴族だけどね。数々の貴族と浮名を流し高位貴族の妻の座を狙って社交界に混乱を起こしたあばずれと、努力が嫌いで廃嫡されたぐうたらの、まったくイイ所を引き継いでくれたわ!」
俺様は……ろくでなしで貴族の身分を失った……娼婦と男娼の…子……。
「私の王子はもうすぐ王位につくわ。そして、本物は蛮族の婿に出した。だからもうあなたは必要ないの!」
「ひっ……!!だれかっ、たすけっ!」
周囲の侍女侍従に手を伸ばす。
「あら?無駄よ?この城で働く者は私の息がかかっているのよ?それに、それがあなたの役割だったとはいえ、さんざん我がままを言って迷惑をかけられた相手を誰が助けようと思うのかしらね!」
「お、俺は殺されるのか??」
「殺したらもったいないじゃない。今まであなたには多額のお金をかけているのだから。あなたの写真を送ったら、気に入ってくれた殿方がいたのよ。ここから海を渡って、国を3つくらい越えた先の一夫多妻制の王があなたをハレムに加えたいそうよ?幼いころから脱色した偽物だけど、白い髪だし。引きこもっていたから色白で。黙っていればお人形さんみたいだものね。すこぉし、乱暴に扱う方でハレムの入れ替わりも早いようだけれど、せいぜい媚びを売って少しでも長く生きるのね。あ、あなたの髪を白くしていた特別な洗髪料もたくさん渡してあげるわね。」
え…っ。
自慢のプラチナブロンドは、偽物…。
「邪魔な男性機能は嫁入り前には切除しなくちゃね。」
アソコを軽くヒールの先で蹴られる。
「今すぐじゃないわ。ここでへまをするわけにはいかないもの。陛下が亡くなるか、建国祭でうちのグレイシャスが即位するか…、その後よ?だからそれまで、う~~~んと貴方には嫁入り準備をしてあげるわね。」
優しかった母は、鬼か悪魔のような女だった。
すっかりいうことを鵜吞みにして、悪い子だった俺が愚かだった。
母の命で、侍従たちがねじりよる。
「や……っ、な、なにをっ。」
「安心しろ、お相手との初夜まで純潔は散らさない。が、満足いただけるよう開発してやるだけだ。」
「男を飲み込む名器になるよう穴をしつけてやろう。」
「口淫も覚えるんだ。」
「い、いやあ、いやだぁぁ…。」
「お相手は抜かずに朝までヤれる程だそうだ。閨をともにすれば、すぐ壊れてしまうらしい。妃との子作りの前後で少しでも相手ができる者が必要なんだ。妃を壊すわけにはいかないからな。」
やだ……そんなの……。
愚かさを悔いても始まらない。
助けを呼んでも助けてはもらえない。
押さえつけられて、無理やり体を開発され、性技をしこまれる。
上手にできれば、『さすが娼婦と男娼の子だ。何の才能もないと思っていたが、コッチの才能はあったな。』と嗤われた。
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