その玉座、返してもらいます！虐げられた末王子は嫁の愛で下剋上する～婿入り先の辺境の蛮族は真の王家でした～

レジデューは生まれ変わる

勉強が楽しい。

剣が楽しい。

魔法が楽しい。

できることが増えてくると自信がついてくる。


もう、何もできないレジデューではないのだ。



自分を見つめてまっすぐほほ笑んでくれる愛しいミハイルのためにも、彼に相応しい男になりたい。

鍛えてはいても、栄養不足でひょろっとした体は、見違えるほど厚みを増して、筋肉量が増えた。
身長も５センチ伸びた。


『エデン』で学び、学位を得た。
今では、ミハイルとともに大統領の仕事を手伝っている。


「レジデュー、準備できた？」

「もちろんだよ。アカデミックで作った身分証に、サラマンダー王国とマジョリカ王国の勲章とSSランクの冒険者証…………。」


誂えた冒険者の服は、軽量だけど刃を通さず、全ての魔法耐性を持つ優れモノ。
どことなく聖騎士か勇者のいでたちのようで、わくわくする。

だけど、目の前の愛しい人の美しさときたら！


「ああ、ミハイル。なんて素敵なんだ。君を誰にも見せたくないって思ってしまうくらいだよ。」

光沢のある純白のローブは、彼の清廉さを表している。
抱き寄せて喜びのまま、くるっと回転すれば、ドレープを描いてまるで白鳥のように優雅に舞う。

「もう、やだっ！レジデューったら！」



仕事の休みの日にこうして冒険者の装いをしては、地上に降りる。

エデンの者は、地上に全く行かないわけではない。
地上で何が起こっているか情報収集を行い、地上では対処できないことに対して、人知れず対処している。
エデンの情報収集力は凄い。
『インターネット』とかいうもので、地上の各地にいる諜報員からあっという間に膨大な情報が集まる。
そのインターネットも、通話もできる小さな薄い板でできるのだから…。


この間は、サラマンダー王国にスタンピードが発生したと聞いて、二人で駆けつけたのだ。
そして、今回はパラダイス王国の南端だという。

リヴァイアサンとファイアードラゴンがいるらしい。
リヴァイアサンの鱗は、私の瞳の色。

夜会に向けて、ぜひ自ら手に入れて、ミハイルを飾りたい。


「ミハイル。」

彼の手をとり、エスコートして。


私たちは地上に降り立つ。