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パラダイス王国からの招待状
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ちりん、ちりん。
「お。来客か。行ってくる!」
「行ってらっしゃい!」
「ダーリンは勉強がんばってね♡課題が全部終わたら、今度の休みにちょっと地上に遊びに行こう!」
どういう仕組みか、ミハイルの執務室には、あの呼び鈴が鳴るとすぐに音が聞こえるようだ。
しゅっと転移魔法で出かけて行った。
私が呼んだ時もこんなふうだったのだろう。
「あの仕組み、きになりますか?」
「はい…。」
「ふふ、それでは教えて差し上げましょう。」
ルフィン卿は優しい。
こんなに優しく、丁寧に教えてもらえたことなんてない。
文字もマナーも、独学で学ぶものだったから。
しゅんっと、ミハイルが戻って来た。
「ダーリンと俺あてに招待状だったよ。あの国の。半年後に建国祭があるからってさ。特産品を持ち寄って、領地の衣装を身に着けてくるようにってさ。ふふふ、よっぽど俺たちを馬鹿にして見世物にしたいらしい。」
「………父上たちが申し訳ありません。」
「いいよ。ちょうどいい機会だ。それに半年後っていうのも丁度いいね。ねえ、レジデュー。レジデューは今でも『私なんか』っていうけど、それは向こうの人にそう思わされているだけだからね?俺も本当にお前が気に入ってるんだから。お前は残り『かす』(レジデュー)じゃないよ。残り物に福があるっていうじゃん。お前は俺にとって『福』だよ。俺、お前でラッキー!」
だから自信をもって。
「俺のレジデューのすばらしさを知ってもらういい機会だよ。だから、俺を信じて。俺についてきて!」
手始めに地上にいる俺の部下たちからあの国の貴族の情報を得ている。
優しいレジデューはこんなこと、考えもしないだろう。
ふふふ。
半年後が楽しみだ。
「レジデュー、お揃いの衣装をこしらえよう。俺はドレスを作らないとな。ふふ、世界一の美女になってお前の隣に立ってやるぞ。」
わざと腕に腕を絡めて近寄ると、レジデューは耳まで真っ赤になった。
本当に初心なんだから。
かわいい旦那様。
まだひよこみたいな旦那様。
まだ婚約状態で口づけもまだだけど、これから先に進んだらどうするんだろうね?
俺だって処女だけど、上に乗っかってやってもいい。
でもやっぱり最初はノーマルに抱かれたいなぁ。
『森の開拓の件はどうなっている?丸め込んで結界を解かせろ。隣国への道を我が国は望んでいる。』
ふん。
こっちの手紙はナイナイ。
隣国との交易なんてどうでもいいくらい忙しくしてあげよう。
パラダイスの血族がいるから、こっちである程度、天候や地脈の管理をしてきたんだ。
摩擦しているマントルを定期的に抜いて岩盤のずれを抑制したり、積乱雲を散らして台風を抑制したり、ね…。
もともと俺たちは地上を見捨てたんだ。
血族であるレジデューがここにいる以上、あの国に対して何も思うところはないし、してやる義理なんてあるものか。
それに……魔物の間引きだってもうやってやらない。
大体あの森があるから、治水もできているし、土砂崩れの被害も防止できているんだ。
それも分からずに開拓なんて、笑止千万。
「お。来客か。行ってくる!」
「行ってらっしゃい!」
「ダーリンは勉強がんばってね♡課題が全部終わたら、今度の休みにちょっと地上に遊びに行こう!」
どういう仕組みか、ミハイルの執務室には、あの呼び鈴が鳴るとすぐに音が聞こえるようだ。
しゅっと転移魔法で出かけて行った。
私が呼んだ時もこんなふうだったのだろう。
「あの仕組み、きになりますか?」
「はい…。」
「ふふ、それでは教えて差し上げましょう。」
ルフィン卿は優しい。
こんなに優しく、丁寧に教えてもらえたことなんてない。
文字もマナーも、独学で学ぶものだったから。
しゅんっと、ミハイルが戻って来た。
「ダーリンと俺あてに招待状だったよ。あの国の。半年後に建国祭があるからってさ。特産品を持ち寄って、領地の衣装を身に着けてくるようにってさ。ふふふ、よっぽど俺たちを馬鹿にして見世物にしたいらしい。」
「………父上たちが申し訳ありません。」
「いいよ。ちょうどいい機会だ。それに半年後っていうのも丁度いいね。ねえ、レジデュー。レジデューは今でも『私なんか』っていうけど、それは向こうの人にそう思わされているだけだからね?俺も本当にお前が気に入ってるんだから。お前は残り『かす』(レジデュー)じゃないよ。残り物に福があるっていうじゃん。お前は俺にとって『福』だよ。俺、お前でラッキー!」
だから自信をもって。
「俺のレジデューのすばらしさを知ってもらういい機会だよ。だから、俺を信じて。俺についてきて!」
手始めに地上にいる俺の部下たちからあの国の貴族の情報を得ている。
優しいレジデューはこんなこと、考えもしないだろう。
ふふふ。
半年後が楽しみだ。
「レジデュー、お揃いの衣装をこしらえよう。俺はドレスを作らないとな。ふふ、世界一の美女になってお前の隣に立ってやるぞ。」
わざと腕に腕を絡めて近寄ると、レジデューは耳まで真っ赤になった。
本当に初心なんだから。
かわいい旦那様。
まだひよこみたいな旦那様。
まだ婚約状態で口づけもまだだけど、これから先に進んだらどうするんだろうね?
俺だって処女だけど、上に乗っかってやってもいい。
でもやっぱり最初はノーマルに抱かれたいなぁ。
『森の開拓の件はどうなっている?丸め込んで結界を解かせろ。隣国への道を我が国は望んでいる。』
ふん。
こっちの手紙はナイナイ。
隣国との交易なんてどうでもいいくらい忙しくしてあげよう。
パラダイスの血族がいるから、こっちである程度、天候や地脈の管理をしてきたんだ。
摩擦しているマントルを定期的に抜いて岩盤のずれを抑制したり、積乱雲を散らして台風を抑制したり、ね…。
もともと俺たちは地上を見捨てたんだ。
血族であるレジデューがここにいる以上、あの国に対して何も思うところはないし、してやる義理なんてあるものか。
それに……魔物の間引きだってもうやってやらない。
大体あの森があるから、治水もできているし、土砂崩れの被害も防止できているんだ。
それも分からずに開拓なんて、笑止千万。
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