【完結】神アイドルが転生したら魅了持ちのチートで破滅フラグ臭がするので大人しくしていたのに隣国王子が追っかけます

竜鳴躍

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逃がしませんよ?

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やばいやばい。

こんなラスボスみたいなヤバいスキル持ちは、目立たずひっそり生きるが吉なのに。

どこへいっても俺なら生きていけるだろうから、さっさと荷物をもって国を出よう。

えっと~、お気に入りのお洋服と、ヘアブラシと、髪につけるオイルと、化粧水と、せっけんと………。

芸能界歴長かったし、美容用品は譲れない…。

ぜいたく品なのは分かってるんだけどさ!

市井に下りたら手に入らないかもしれないから、しっかり持っていかなきゃ…。




「アクア様っ!!」

「ひ、ひゃい!!!」


聞き覚えのあるハスキートーンにびくっとなって振り返ると、昔、離宮で働いていた侍従が凄い形相で立っている。

確か名前はキーストン=ハサウェイ。
子爵家の息子だったはずだ。


「アクア様!!アポロ殿下の命です!50人いる王子のうち、12歳から35歳までの者を全員、見合いに参加させよと!」


「えっ……俺、参加したくない…。」

「ダメです!じゃあ、こう考えてください。アクア様が行かなかったら、陛下も兄君たちも全員処刑されるでしょう。選ばれなくていいですので、どうか一緒に来てください!」


えぇえ。………じゃあしょうがないかあ。






仕方なくキーストンを連れて転移すれば、玉座にえらそうな青年(まだ子ども?)が鎮座し、その前でひたすらに自分の父親である陛下?がペコペコしている。

「第50王子、アクア=トゥ=エトランゼ。ただいままいりました。」

「うむ。なるほど、地味だな。」


「そうでしょう???だから言ったでしょう???」王が声高に訴える。

「アクア王子、その幻覚を解きなさい。隣国の王太子たる私に失礼だと思わないのかね?」


ぎくり。こいつ、できる。




―――しかたない。








私は夢を見ているのだろうか。

確かアクアの母親はそれはもう美しい男だった。
アクアも生まれた頃は母親似で美しいと思ったが、物心つく時分になるとなぜか凡庸な感じになった。

そう、思っていたのに。




目の前の息子は、少し前髪が長すぎることを除けば、死んだ母親によく似ている。


まさか、今まで見ていた姿が幻覚だったとは。



ざわ…ざわ……。


「アクアのやつがあんなに可愛かったなんて!」

「きぃ、悔しい!負けない!」

「アポロ様の御心をつかむのはこの僕だっ!」

先に集まっていた王子達が騒ぎ出す。





「ふふふ。」


玉座からアポロ王子が立ち上がり、急ごしらえで用意させたらしい特設ステージの前に来た。

王者らしい風格、威圧的なオーラを一転させ、声を張る。


「どうぞ。」

なんか前世で見覚えのある………番号が書かれたバッジが侍従から配られたぞ?


「どんどんぱふぱふ!王子の妃は誰だ!さぁ~~~~~~!!それでは、候補者のみなさんには一人ずつ壇上にあがっていただき、自己紹介と、ちょっとしたステージをやってもらいましょう!魔法を使った出し物でもいいし、歌でもいいし!物まねでもいいですよ!それでは、エントリーNo1!!!カイ王子っ、どうぞ!!!!」


「はっ!はいっ!! エントリーNo.1 第7王子 カイ=トゥ=エトランゼ! 特技は剣!剣の演武をしますっ!」


カイ兄上が立派な演技をする。

はあはあと息を切らせて、アポロ王子にニコニコしている。


アポロ王子は、司会席から今度は審査員席へ移動した。





「うーーーーーん、すごいけど、私の心にビビッとこなかった。次!」



うん、怖くなったり、ふざけてみたり。雰囲気がまるでコロコロ変わって、面白い人だなあ。
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