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プロローグ
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「キャアアアア!!!」
「水瀬くーん!頑張ってー!!!」
ファンの声援に応えながら俺は手を振って応えた。
俺は水瀬霧。シークレットサービスに守られ、今日、出演作がノミネートされているアメリカの映画賞のイベントに向けて、飛行機の国際線で出発するところだ。
他のスタッフや出演者は先にアメリカ入りしているが、俺だけレコーディングがあったので今日になった。
施設育ちで親が誰か分からない俺だったけど、見てくれが良かったお陰で大手芸能事務所にスカウトされ、自分の働いた金で高校や大学に進学することも出来た。
俺を見つけて、育ててくれた社長さんには感謝してもしきれない。
だけれど数年前、社長さんは癌で若くして亡くなってしまった。
タレントから社長に転身した人で、40代前半だったけど、まだ独身で子どももいなかったのに。
社長が現役時代の出演した映画やドラマを俺は繰り返し見た。
俺は基本的に歌手だけど、芝居の仕事が入ることもあった。
たまにおねだりすると、台本の読み合わせの相手や演技指導もしてくれた優しい人。
瑞々しい演技をする、憑依型の役者で天才だと思った。
彼のようになりたくて。彼に恩返しがしたくて。頑張って来たようなものだ。
ガタガタガタガタ。
飛行機が乱気流?で揺れる。
だが、乱気流とはちょっと違う。外はそれほど雲がない。
揺れ始める前に、機体が震えた気がする。
暫くすると、エンジントラブルで不時着を試みる、落ち着いて、というアナウンスが流れた。
怯えた子ども。
叫び声。
乗客は皆不安でいっぱいだ。
機体が揺れる中、俺は客室乗務員のいる場所へ向かった。
「お客様!!危険ですので、お席へ―――――――
「水瀬霧。日本の歌手です。俺ができることをしたい。お客様が落ち着けるよう、俺に手伝わせてくれませんか?」
もしかしたら、今日、俺はここで死ぬかもしれない。
そんな予感があったのかもしれない。
だから、最後に。
自分が生まれた意味を。
大仕事をやりたかったんだ。
乗務員からマイクをもらい、機内に向けて発信する。
「こんにちは。俺はキリ・ミナセ。日本の歌手で、俳優です。アカデミー賞の授賞式に向かってたんだけど、今ここにいます。今日、この便に乗り合わせたみんなは『家族』です。国籍も、身分も、性別も、年齢も関係ない。大事な人への想い、明日への希望を。落ち着いて。俺の持ち歌でもいいんだけど、みんな知らないだろうから。クラシックで歓喜の歌を歌います。」
そして俺は―――――――。
「気が付いた?」
白い服で真っ白な見事な銀髪の美形が俺の顔を覗き込む。
「ここは?」
あたりを見回すと、そこは何もない空間だった。
指さす先は、空中に映像が投影され、飛行機の墜落事故のニュースが流れている。
誰かが撮影していたのか。
俺が最後に歌っている姿が流れている。
「ここは神の世界だよ。君は死んでこの場所に来た。私は神。アンジュといいます。はじめまして。」
ニコニコと愛層のいい神様だ。
「乗客のうち、死亡したのは君を含めて9名。君以外の人間は、また地球の人類として生まれ変わる。」
「俺、以外は?」
「うん。君は最後に素晴らしいことをしたからね。乗客としてあの場でやっていいことではなかったけど、結果的に君のおかげで乗客はパニックにならず、被害は最小限になったし、君のスピーチや歌は世界中に拡散されて、皆に感動を与えた。君の意思を汲んで戦争していた国は戦争をやめようとしているし、世界平和に貢献したといっても過言ではない。」
「…………つまり?」
「そんな素晴らしい君は、この私が愛し子として加護もりもりで自ら産んであげたいって思ってね?元居た世界もいいけど、丁度、君のいた世界から前に転生した子もいるし、そっちにしようと思って。魔法と剣の世界だよ?嬉しい?」
「……ゲームもラノベも好きだし、楽しそうだとは思うけど。日本より生きていくのは大変なんじゃ。」
「だいじょーぶだいじょーぶ。私の加護があれば無敵だよ!それに、衣食住に問題ないように父親はしかるべき地位の男にするから!なーに、私の魅力があればイチコロだよ!」
この神様軽いな…。
1年後。
神様は適当な王様を捕まえて、俺を産み。
さっさと神様の世界へ『命と引き換えに産んだ』体で還っていったのである。
「水瀬くーん!頑張ってー!!!」
ファンの声援に応えながら俺は手を振って応えた。
俺は水瀬霧。シークレットサービスに守られ、今日、出演作がノミネートされているアメリカの映画賞のイベントに向けて、飛行機の国際線で出発するところだ。
他のスタッフや出演者は先にアメリカ入りしているが、俺だけレコーディングがあったので今日になった。
施設育ちで親が誰か分からない俺だったけど、見てくれが良かったお陰で大手芸能事務所にスカウトされ、自分の働いた金で高校や大学に進学することも出来た。
俺を見つけて、育ててくれた社長さんには感謝してもしきれない。
だけれど数年前、社長さんは癌で若くして亡くなってしまった。
タレントから社長に転身した人で、40代前半だったけど、まだ独身で子どももいなかったのに。
社長が現役時代の出演した映画やドラマを俺は繰り返し見た。
俺は基本的に歌手だけど、芝居の仕事が入ることもあった。
たまにおねだりすると、台本の読み合わせの相手や演技指導もしてくれた優しい人。
瑞々しい演技をする、憑依型の役者で天才だと思った。
彼のようになりたくて。彼に恩返しがしたくて。頑張って来たようなものだ。
ガタガタガタガタ。
飛行機が乱気流?で揺れる。
だが、乱気流とはちょっと違う。外はそれほど雲がない。
揺れ始める前に、機体が震えた気がする。
暫くすると、エンジントラブルで不時着を試みる、落ち着いて、というアナウンスが流れた。
怯えた子ども。
叫び声。
乗客は皆不安でいっぱいだ。
機体が揺れる中、俺は客室乗務員のいる場所へ向かった。
「お客様!!危険ですので、お席へ―――――――
「水瀬霧。日本の歌手です。俺ができることをしたい。お客様が落ち着けるよう、俺に手伝わせてくれませんか?」
もしかしたら、今日、俺はここで死ぬかもしれない。
そんな予感があったのかもしれない。
だから、最後に。
自分が生まれた意味を。
大仕事をやりたかったんだ。
乗務員からマイクをもらい、機内に向けて発信する。
「こんにちは。俺はキリ・ミナセ。日本の歌手で、俳優です。アカデミー賞の授賞式に向かってたんだけど、今ここにいます。今日、この便に乗り合わせたみんなは『家族』です。国籍も、身分も、性別も、年齢も関係ない。大事な人への想い、明日への希望を。落ち着いて。俺の持ち歌でもいいんだけど、みんな知らないだろうから。クラシックで歓喜の歌を歌います。」
そして俺は―――――――。
「気が付いた?」
白い服で真っ白な見事な銀髪の美形が俺の顔を覗き込む。
「ここは?」
あたりを見回すと、そこは何もない空間だった。
指さす先は、空中に映像が投影され、飛行機の墜落事故のニュースが流れている。
誰かが撮影していたのか。
俺が最後に歌っている姿が流れている。
「ここは神の世界だよ。君は死んでこの場所に来た。私は神。アンジュといいます。はじめまして。」
ニコニコと愛層のいい神様だ。
「乗客のうち、死亡したのは君を含めて9名。君以外の人間は、また地球の人類として生まれ変わる。」
「俺、以外は?」
「うん。君は最後に素晴らしいことをしたからね。乗客としてあの場でやっていいことではなかったけど、結果的に君のおかげで乗客はパニックにならず、被害は最小限になったし、君のスピーチや歌は世界中に拡散されて、皆に感動を与えた。君の意思を汲んで戦争していた国は戦争をやめようとしているし、世界平和に貢献したといっても過言ではない。」
「…………つまり?」
「そんな素晴らしい君は、この私が愛し子として加護もりもりで自ら産んであげたいって思ってね?元居た世界もいいけど、丁度、君のいた世界から前に転生した子もいるし、そっちにしようと思って。魔法と剣の世界だよ?嬉しい?」
「……ゲームもラノベも好きだし、楽しそうだとは思うけど。日本より生きていくのは大変なんじゃ。」
「だいじょーぶだいじょーぶ。私の加護があれば無敵だよ!それに、衣食住に問題ないように父親はしかるべき地位の男にするから!なーに、私の魅力があればイチコロだよ!」
この神様軽いな…。
1年後。
神様は適当な王様を捕まえて、俺を産み。
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