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聖女
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「カトレア商会の商会長さん!今日はご指名ありがとうございますっ!ずっとお会いしたかったの。」
俺は、国一番の商会の会長の相手を今日はしている。
グリーンが誘導して、娼館に来させ、俺を指名させたんだけど。
向こうからしたら、高嶺の花を指名してみたらあってもらえた体だ。
「いやあ、指名してみるもんですなぁ。ずっと騎士団長の専属と伺っていたもので。」
「ふふふ、レイは過保護なんです。実は、私。まだ処女なんですよ。私のことを気にして、私が穢れないように気を使ってくださっているのです。団長は、兄上のお友達でしたから。……でも、ずっとこのままでもよくないって分かっているんです。所詮、娼妓ですからね。いい、って思える殿方に出会えたなら…。」
あどけない表情で瞳をうるうるさせると、庇護欲を掻き立てるようで、商会長はえっちなことをしようという気が失せたようだ。
「騎士団長がお守りくださるのなら、遠慮なく甘えなさい。そうですね、私ももう年だ。今更妻を、ということもないしアソコも自信ないですからね。まあ、そう勃たないのですよ。だからですね、私とはこうしてたまに話相手になっていただけると嬉しいです。」
「まあ…!ありがとうござます。実は、私、商会長さんにお願いしたい商品がありましたの。」
「なんですかな?」
「大翔、ここへ。」
「はっ。」
大翔が奥から、トレイにのせて恭しく運ぶ。
「こっ、これは…!!!」
きらきら輝く、超大粒のダイヤモンド。
「ふふふ、本物ですよ。(成分は)実はこれ、私が魔法で生み出しましたの。材料は炭です。でも、他の人じゃ加減が難しいから、きっとレシピを教えても私しか作れないし、だからこそほかの人には天然と区別がつかないでしょうね。」
「これは…すごい……。」
「材料さえ持ってきていただければ、いくらでも好きなだけ好きな時に格安でダイヤを作ってもいいですよ。あなたの商会だけ、特別です。」
商会長の目が鋭く光る。
「それで、何がお望みですかな?」
「商会長さん、実は俺の両親は、1年以上も前から毒に侵されていて、最近は全く国政ができない状況だったのですよ。圧政も、全て今の王。叔父がやったこと。このままでは、また叔父は圧政を繰り返すでしょう。そうしたら、商売もうまくいかなくなるかも。」
「……なるほど、そういうことでしたか。確かにあの王が急に圧政などおかしい。なぜ、今の今まで疑わなかったのか不思議なくらいだ。」
「信じてくださるのですね。」
「ここに来るまでは正直、憎い王の子をいたぶってやろうという感情が少しありましたが、門をくぐると不思議と落ち着いてきて…。頭の中の霧が晴れたような感じですよ。」
「霧……。そうですか。」
「それで、私は何を?」
「ああ、すみません。1年1月前、王家にモルピーネという薬草が大量に納品されています。その発注者は叔父のはず。騎士団の在庫記録はレイが、両親への投与についての情報はグリーンが洗ってくれています。なので、叔父に薬草を売った人物を探していただきたいのです。」
「承知いたしました。可愛い孫のような殿下の頼みですから、誠心誠意、やらせていただきます。」
「くれぐれも、お気をつけて…。」
「ふーーーーーー。」
商会長を見送って、一息つく。
「お疲れ様でした。さすが、政治家の秘書をこなされた方は交渉力が違いますね。」
大翔は、あんなことがあったのに変わりない。
抑制剤を飲んでいるのに、意識してみると、同じアルファでも大翔の香りはとてもいい匂いで、落ち着く。
大翔にならいいと思えるのに。
大翔は俺のことなんとも思ってないんだろうな、きっと。
俺だけ意識してバカみたい。
「ベネちゃん!たいへんよお!!」
紅茶を啜ろうとしたその時、下からおかみさんの気の抜けた声が聞こえた。
俺は、国一番の商会の会長の相手を今日はしている。
グリーンが誘導して、娼館に来させ、俺を指名させたんだけど。
向こうからしたら、高嶺の花を指名してみたらあってもらえた体だ。
「いやあ、指名してみるもんですなぁ。ずっと騎士団長の専属と伺っていたもので。」
「ふふふ、レイは過保護なんです。実は、私。まだ処女なんですよ。私のことを気にして、私が穢れないように気を使ってくださっているのです。団長は、兄上のお友達でしたから。……でも、ずっとこのままでもよくないって分かっているんです。所詮、娼妓ですからね。いい、って思える殿方に出会えたなら…。」
あどけない表情で瞳をうるうるさせると、庇護欲を掻き立てるようで、商会長はえっちなことをしようという気が失せたようだ。
「騎士団長がお守りくださるのなら、遠慮なく甘えなさい。そうですね、私ももう年だ。今更妻を、ということもないしアソコも自信ないですからね。まあ、そう勃たないのですよ。だからですね、私とはこうしてたまに話相手になっていただけると嬉しいです。」
「まあ…!ありがとうござます。実は、私、商会長さんにお願いしたい商品がありましたの。」
「なんですかな?」
「大翔、ここへ。」
「はっ。」
大翔が奥から、トレイにのせて恭しく運ぶ。
「こっ、これは…!!!」
きらきら輝く、超大粒のダイヤモンド。
「ふふふ、本物ですよ。(成分は)実はこれ、私が魔法で生み出しましたの。材料は炭です。でも、他の人じゃ加減が難しいから、きっとレシピを教えても私しか作れないし、だからこそほかの人には天然と区別がつかないでしょうね。」
「これは…すごい……。」
「材料さえ持ってきていただければ、いくらでも好きなだけ好きな時に格安でダイヤを作ってもいいですよ。あなたの商会だけ、特別です。」
商会長の目が鋭く光る。
「それで、何がお望みですかな?」
「商会長さん、実は俺の両親は、1年以上も前から毒に侵されていて、最近は全く国政ができない状況だったのですよ。圧政も、全て今の王。叔父がやったこと。このままでは、また叔父は圧政を繰り返すでしょう。そうしたら、商売もうまくいかなくなるかも。」
「……なるほど、そういうことでしたか。確かにあの王が急に圧政などおかしい。なぜ、今の今まで疑わなかったのか不思議なくらいだ。」
「信じてくださるのですね。」
「ここに来るまでは正直、憎い王の子をいたぶってやろうという感情が少しありましたが、門をくぐると不思議と落ち着いてきて…。頭の中の霧が晴れたような感じですよ。」
「霧……。そうですか。」
「それで、私は何を?」
「ああ、すみません。1年1月前、王家にモルピーネという薬草が大量に納品されています。その発注者は叔父のはず。騎士団の在庫記録はレイが、両親への投与についての情報はグリーンが洗ってくれています。なので、叔父に薬草を売った人物を探していただきたいのです。」
「承知いたしました。可愛い孫のような殿下の頼みですから、誠心誠意、やらせていただきます。」
「くれぐれも、お気をつけて…。」
「ふーーーーーー。」
商会長を見送って、一息つく。
「お疲れ様でした。さすが、政治家の秘書をこなされた方は交渉力が違いますね。」
大翔は、あんなことがあったのに変わりない。
抑制剤を飲んでいるのに、意識してみると、同じアルファでも大翔の香りはとてもいい匂いで、落ち着く。
大翔にならいいと思えるのに。
大翔は俺のことなんとも思ってないんだろうな、きっと。
俺だけ意識してバカみたい。
「ベネちゃん!たいへんよお!!」
紅茶を啜ろうとしたその時、下からおかみさんの気の抜けた声が聞こえた。
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