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あいつが幸せになるなんて許さない
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あいつが幸せになるなんて許さない。
実家も裕福で、家族に愛されて。頭もよくて一流大学、顔だっていい。
挫折なんてしたことないんだろう。
女だってよりどりみどりなんだろう?
俺はイケメンが大嫌いだ。
正論をいうヤツが大嫌いだ。
正論だけでわたっていけるほど、世の中は甘くないんだよ。
それが正義だというやつらは、幸せな人生しか送ってこなかった、おめでたいヤツなんだろう。
俺の実家は貧しくて、奨学金で大学に入った。
本当はそんなに頭はよくなかったが、どうにかして貧しさから抜け出そうと思ったら、いい大学を出なければならない。
奨学金を得るためには、成績優秀である必要がある。
塾に通うお金なんてない。
だから毎日遅くまで血反吐を吐くような思いで、勉強にかじりついた。
死ぬほど頑張って、優秀な成績で卒業はできたけど、そこまでだった。
俺は本当は価値のない人間なんだと思い知らされた。
就職ができない。
だから、仕方なく政治家の秘書になった。
世の中綺麗事じゃない。
清濁併せ呑む俺は、政治家に気に入られて婿養子になった。
地盤を継いだ。
カネで汚いことをしているのは俺だけじゃないんだよ!
政治家だけじゃない、多かれ少なかれ皆理想と戦いながら、グレーゾーンなこともやってんだろう!?
何故、俺だけが責められる。
俺は、勝ち続けなきゃいけなかったんだよ!
皆に尻尾を切られて見捨てられ、離縁されて、居場所をなくした。
一ノ瀬のせいだ。
花木のせいだ。
転生して、幸せに?
許せない。
ビルから落ちて闇の中、俺は泥の中で産まれた。
「ただいま。」
王家も通う格式高い教会。
「おかえり、フィナンシェ。」
一見温和で柔らかそうに、ニヤリと笑う父親。
この聖なる場所に魔が巣食っているとは、誰も思うまい。
司祭である父親の影は大きく歪み、黒い翼を映す。
俺は悪魔の子。
2歳の頃、あいつを見つけた。
第二王子。
女神の祝福を受け、輝くばかりに美しく、幸福な人生を約束されている。
許せない。
家族の中で1人だけオメガだから、距離を置かれてはいたが、愛されていないわけではない。
そのうちお姫様は素敵な王子様と結ばれるのだろう。
ふと、宰相があいつの母親を熱く見つめるのに気づいた。
面白い。
王である兄と比べ、美貌も才覚も劣り、初恋の幼なじみもとられて、諦めきれない男。
「ねぇ……。」
声をかけ、誘導した。幼いあいつにいたずらしようとして、王妃に見つかり、王妃は教会に相談する。
俺はまんまとあいつから美貌を奪った。
惨めに生きればいい。
国をめちゃくちゃにしてやる。
面白いことに花木も見つけた。
こいつもイケメンで気に入らない。
二人仲良く娼館送りにしてやった。
あいつの魔法はとけたらしいが、後の祭りだろう。
花木は最下層の娼妓で、毎日元同僚に輪姦されているらしい。
出る杭を気に入らないと思っていたのだろう。
いい気味だ。
「くくく、フィナンシェよ。かわいい俺の愛し子。人間は面白いな。次はどうする?」
父である魔王が嗤う。
「そうですね。この国は周囲を他国に囲まれているから、戦争でも起こしましょうかね。」
ケンカしたらこんな国、生きていけないから。
実家も裕福で、家族に愛されて。頭もよくて一流大学、顔だっていい。
挫折なんてしたことないんだろう。
女だってよりどりみどりなんだろう?
俺はイケメンが大嫌いだ。
正論をいうヤツが大嫌いだ。
正論だけでわたっていけるほど、世の中は甘くないんだよ。
それが正義だというやつらは、幸せな人生しか送ってこなかった、おめでたいヤツなんだろう。
俺の実家は貧しくて、奨学金で大学に入った。
本当はそんなに頭はよくなかったが、どうにかして貧しさから抜け出そうと思ったら、いい大学を出なければならない。
奨学金を得るためには、成績優秀である必要がある。
塾に通うお金なんてない。
だから毎日遅くまで血反吐を吐くような思いで、勉強にかじりついた。
死ぬほど頑張って、優秀な成績で卒業はできたけど、そこまでだった。
俺は本当は価値のない人間なんだと思い知らされた。
就職ができない。
だから、仕方なく政治家の秘書になった。
世の中綺麗事じゃない。
清濁併せ呑む俺は、政治家に気に入られて婿養子になった。
地盤を継いだ。
カネで汚いことをしているのは俺だけじゃないんだよ!
政治家だけじゃない、多かれ少なかれ皆理想と戦いながら、グレーゾーンなこともやってんだろう!?
何故、俺だけが責められる。
俺は、勝ち続けなきゃいけなかったんだよ!
皆に尻尾を切られて見捨てられ、離縁されて、居場所をなくした。
一ノ瀬のせいだ。
花木のせいだ。
転生して、幸せに?
許せない。
ビルから落ちて闇の中、俺は泥の中で産まれた。
「ただいま。」
王家も通う格式高い教会。
「おかえり、フィナンシェ。」
一見温和で柔らかそうに、ニヤリと笑う父親。
この聖なる場所に魔が巣食っているとは、誰も思うまい。
司祭である父親の影は大きく歪み、黒い翼を映す。
俺は悪魔の子。
2歳の頃、あいつを見つけた。
第二王子。
女神の祝福を受け、輝くばかりに美しく、幸福な人生を約束されている。
許せない。
家族の中で1人だけオメガだから、距離を置かれてはいたが、愛されていないわけではない。
そのうちお姫様は素敵な王子様と結ばれるのだろう。
ふと、宰相があいつの母親を熱く見つめるのに気づいた。
面白い。
王である兄と比べ、美貌も才覚も劣り、初恋の幼なじみもとられて、諦めきれない男。
「ねぇ……。」
声をかけ、誘導した。幼いあいつにいたずらしようとして、王妃に見つかり、王妃は教会に相談する。
俺はまんまとあいつから美貌を奪った。
惨めに生きればいい。
国をめちゃくちゃにしてやる。
面白いことに花木も見つけた。
こいつもイケメンで気に入らない。
二人仲良く娼館送りにしてやった。
あいつの魔法はとけたらしいが、後の祭りだろう。
花木は最下層の娼妓で、毎日元同僚に輪姦されているらしい。
出る杭を気に入らないと思っていたのだろう。
いい気味だ。
「くくく、フィナンシェよ。かわいい俺の愛し子。人間は面白いな。次はどうする?」
父である魔王が嗤う。
「そうですね。この国は周囲を他国に囲まれているから、戦争でも起こしましょうかね。」
ケンカしたらこんな国、生きていけないから。
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