異世界転生したら王子なのに身売りさせられるところでしたが聖女でした。魔王を倒したのでいちゃいちゃしたいです。

竜鳴躍

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花木大翔

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「おかみさん、俺、大翔に会ってみたい。」

「いいわよ。でも驚かないでね。大翔はすごくきれいな子なんだけど、囚人だから安いのよ。」


それは、この娼館の中で彼の扱いがあまりよくないことを示していた。



俺の部屋は、3階建てのこの娼館で、一番上の日当たりのいい場所にある。

2階、1階に下りるにしたがって扱いは悪くなっていく。


2階の子は個室はあるけど、俺の部屋みたいな高級感はなく、
1階の子は個室はない。

そして、娼館の本館を出て、薔薇園を抜け、離れになった東屋に彼はいた。



それでも、汚らしさはないだけ、この娼館はまともなのだと思う。

どちらかというと、古民家風といった感じだろうか。



素朴な家に似つかわしくない、きれいな男の子。
背中はまっすぐで、体幹がいい。
しなやかな筋肉ののった、スレンダーな体に子猫のように吊り目がちの、くりくりした瞳。


フリルのついたシャツにズボンを履いて、頭には娼妓らしく大きな青い花が飾られている。

庭の鶏に餌をあげているところだった。



遠目から、彼の観察を続ける。


年齢は15歳くらいだと、おかみが言った。


「この子が囚人?」

情報を嗅ぎまわって捕まったというから、もっと年上を想像していた。


「この子もあなたとある意味同じね。あの王を失脚させるため。真実を探して捕まったのだから。悪いことはしていない。」


「でもなぜ、まだ子どもなのにそんなことを。」


「彼は、若くして諜報部にいたのよ。たたき上げの子爵家の長男。本名は、ブルー=マリーナだったかしら。」



じゃあ、暫くしたら迎えに来るわと言い残して、おかみさんが去り、俺は彼に声をかけた。


「花木さん。」


花木大翔。


きっと、この名前は。



「一ノ瀬和真さん。」


黒い瞳が揺れ、彼はバッと地に伏せる。



「俺はあの時、あなたを追い詰めて死なせてしまった記者です。」
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