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第三王子は幸せになる
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父に恵まれず、王家に嫁いだサリーは、常に王家と実家(父)との板挟みで苦しみ、こんな自分でも受け入れたからには大事にしてくれる夫や他の妃たちや子どもたちとの間で、長い長い、暗闇の中にいた。
オーレム陛下のフローラ妃も、実家とはそのような板挟みを抱えていたが、唯一の妃として愛されていた分、まだマシだったかもしれない。
同じように苦しんだ愛しい息子が幸せになる。
例え子に恵まれる結婚ではなくても、それだけでサリーは幸せだった。
「ありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。」
婿の両親に改めて挨拶をすると、幼いサファイアがミルクの匂いのする顔でふわぁっと笑った。
「ふふふ。あの二人ったら、サファイアをまるで自分の子のようにかわいがるんですよ。だからナニーをつける必要がないんです。サリー様も可愛がってくださいね。」
エメラルダがサリーにサファイアを抱かせた。
柔らかい。
可愛い。
年齢的に、息子たちはこの子の子ではなく、この子自身を自分の子のようにかわいがり、後継に育てるつもりなのだろう。
だとすれば、この子は自分の孫も同然なのかもしれない。
「ふふっ。すごくかわいい子。よろしくね、サファイア。」
「すごくきれいだ!かわいい。ハロルド。」
「クリスタルもカッコイイです。………まだ信じられない。夢じゃないかしら。僕、ずっとずっと好きだったの。まさか僕がクリスタルのお嫁さんになれるなんて!」
夢じゃないよ、とささやいて耳元にキス。
こそばゆくて肩をすくめると、周りからお祝いの言葉が飛び交った。
「おめでとー!」
「羨ましい!!」
「あーもお!陛下もいらっしゃる式だぞ!」
照れながらも、笑う。
まあ確かに王族はたくさんいるんだけれど、オーレムもジニアルも誰も気にしていないから大丈夫だろう。
フォートも、まあ仕方ないか、という顔をしている。
披露宴は、城の大広間を使ったけれど、料理は肉料理が多めで騎士たちに嬉しいメニューとなった。
フローラとフォートはお酒を飲まずに二人で並んで座っていて、夫たちがせっせと給餌している。
その様子を見て、『?』となるのは、前陛下の妃たちやエメラルダ等、出産経験のある夫人たちだけだったが、良識のある彼らは何も言わなかった。
「よろしく、おねがいします。」
ベッドの上で薄い夜着を羽織って、ちょこんと座っているハロルドを見て、クリスタルはたまらなく愛しく思った。
これから何があるのか、分かっているようで分かっていない顔をしている。
「よろしくお願いします。」
大事にしよう。
幸せにしよう。
ずっと無理と板挟みばかりで、母親を人質にとられて苦しんでいた彼を、癒してあげたい。
ころん、と自分で彼はベッドに横たわり、恥ずかし気に枕をぎゅっと抱きしめた。
「優しくするからね。心配しなくていいから。」
そういうと、可愛いつむじが頷いた。
オーレム陛下のフローラ妃も、実家とはそのような板挟みを抱えていたが、唯一の妃として愛されていた分、まだマシだったかもしれない。
同じように苦しんだ愛しい息子が幸せになる。
例え子に恵まれる結婚ではなくても、それだけでサリーは幸せだった。
「ありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。」
婿の両親に改めて挨拶をすると、幼いサファイアがミルクの匂いのする顔でふわぁっと笑った。
「ふふふ。あの二人ったら、サファイアをまるで自分の子のようにかわいがるんですよ。だからナニーをつける必要がないんです。サリー様も可愛がってくださいね。」
エメラルダがサリーにサファイアを抱かせた。
柔らかい。
可愛い。
年齢的に、息子たちはこの子の子ではなく、この子自身を自分の子のようにかわいがり、後継に育てるつもりなのだろう。
だとすれば、この子は自分の孫も同然なのかもしれない。
「ふふっ。すごくかわいい子。よろしくね、サファイア。」
「すごくきれいだ!かわいい。ハロルド。」
「クリスタルもカッコイイです。………まだ信じられない。夢じゃないかしら。僕、ずっとずっと好きだったの。まさか僕がクリスタルのお嫁さんになれるなんて!」
夢じゃないよ、とささやいて耳元にキス。
こそばゆくて肩をすくめると、周りからお祝いの言葉が飛び交った。
「おめでとー!」
「羨ましい!!」
「あーもお!陛下もいらっしゃる式だぞ!」
照れながらも、笑う。
まあ確かに王族はたくさんいるんだけれど、オーレムもジニアルも誰も気にしていないから大丈夫だろう。
フォートも、まあ仕方ないか、という顔をしている。
披露宴は、城の大広間を使ったけれど、料理は肉料理が多めで騎士たちに嬉しいメニューとなった。
フローラとフォートはお酒を飲まずに二人で並んで座っていて、夫たちがせっせと給餌している。
その様子を見て、『?』となるのは、前陛下の妃たちやエメラルダ等、出産経験のある夫人たちだけだったが、良識のある彼らは何も言わなかった。
「よろしく、おねがいします。」
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「よろしくお願いします。」
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幸せにしよう。
ずっと無理と板挟みばかりで、母親を人質にとられて苦しんでいた彼を、癒してあげたい。
ころん、と自分で彼はベッドに横たわり、恥ずかし気に枕をぎゅっと抱きしめた。
「優しくするからね。心配しなくていいから。」
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